一分で読める意外な結末ストーリー

じんせいRTA

赤の章

第1話:鏡よ鏡

少女は聞いた。


「鏡よ鏡、世界で一番、美しいのは誰?」


「それは、あなた様であります」


少女は聞いた。


「鏡よ鏡、世界で一番、歌がうまいのは誰?」


「それも、あなた様であります」


少女は聞いた。


「鏡よ鏡、世界で一番、おしゃべりが上手なのは誰?」


「あなた様であります」


少女はあきれた。


「いつもそう答えるじゃない」


「だって、仕方がないじゃないですか」


少女は首を傾げた。


「どういうこと?」


鏡は無視した。『質問』として認識できてなかったようだ。


少女は聞いた。


「鏡よ鏡、世界で一番、楽しいのは誰?」


「それは、あなた様であります」


「鏡よ鏡、世界で一番、頭がいいのは誰?」


「それは、あなた様であります」


少女は聞いた。


「なぜいつも私だというの?」


「仕方がないじゃないですか」


「仕方がないってどういうことよ」


「仕方がないんですよ」


少女は聞いた。


「鏡よ鏡、世界で一番、愚かなのは誰?」


「それは、あなた様であります」


少女は笑った。


「そうね、私は、愚かだ…」


―数年前、ある戦争がきっかけで、核までも扱う大戦争が起き、人類は滅亡した。だが、たった一人残った少女がいた。その少女は、この現実から目を背けるために、鏡といつも会話をしていた。


少女は、鏡から目を背け、『現実』を見た。


「これで、どうしろっていうのよ…」


それは果たして、『質問』だったのか。


それは、少女もわからなかった。

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