2話 食い違う証言
その後、加奈のクラスメイト、羽田咲月に取材することに成功した。すると意外なことが判明する。
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〜クラスメイト、羽田咲月への取材〜
「キヨちゃんは加奈ちゃんのこと、いじめてませんよ?」
「え?どういうこと?キヨちゃんにそう言えって言われたの?」
「いや、違います。本当にいじめてないんです。むしろキヨちゃんのおかげで加奈ちゃん、学校生活楽しかったと思いますよ」
「どういうこと?」
「加奈ちゃん、入学当初は友達いなかったんです。クラスでも一人ぼっちだったんです。でもキヨちゃんが自分のグループに入れてくれた。最初はキヨちゃんのグループがいわゆるThe1軍って感じで周りのメンバーは加奈ちゃんのこと良く思ってなかったんです。加奈ちゃんはちょっと地味な子でしたから。でもキヨちゃんが加奈ちゃんのこと、軽くイジり始めたらいじられキャラが定着してきて!加奈ちゃんもいじられキャラでいないとそのグループにいられないことは分かってたと思います。だからいじってくれるキヨちゃんには感謝していたはずです」
「でもさ、それってかなり無理してるよね?」
「いや、自分からいじられにいってるときもありましたよ。何か定着してたみたいで。」
「でも教科書隠したり金属バットで殴ったりゴミを口に入れたりはイジりの範疇を超えてるんじゃない?」
「教科書は誤解です。加奈ちゃんが教科書なくしたら勝手に先生がキヨちゃんのせいにしてました。今野先生、キヨちゃんにちょっとアタリ強かったからすぐキヨちゃんを疑ってたんですよ。ほら、他の生徒はちゃん付けで呼ぶのにキヨちゃんには呼び捨てだったでしょ?」
「た、確かに」
「結局、すぐ見つかってキヨちゃんへの疑惑は晴れましたよ。金属バットとゴミの件は私、知らないです。でもいくら裏でもキヨちゃんがそんなことするとは思えません。キヨちゃんはみんなに優しかったですから!」
今野先生と宮本彩に聞いた時の印象とはまるで違う清水キヨの印象にジャーナリストは驚いていた。しかし、一人の意見だけでは真相は分からないと思い、他の生徒、松本大地に取材してみた。
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〜クラスメイト、松本大地への取材〜
「キヨ?めっちゃ良い子ですよ。クラスのみんなに優しくて。まあ冗談で死ねって言ったことはあると思うけどキヨは絶対冗談だって分かるように言いますし相手との関係とかも考えて発言できる人です。加奈とは仲良かったみたいだからそのくらいの関係性はあったんじゃないですか。金属バットとゴミの件は本当に知らないです」
「そうですか。彩ちゃんって生徒がそう言ってたんだけど」
「え?宮本彩?だとしたらキヨをはめるために嘘ついてますよ。同じグループだけどキヨの事を毛嫌いしてるって有名なんで」
「どういうこと?」
「彩はグループのリーダーになりたいんだけどキヨが人望ありすぎて叶わないから元々嫌ってたみたいなんです。でも最近、彩の好きな人がキヨと付き合ってから本気でキヨのこと憎んでるみたいで。キヨも彩が好きなこと知らなかったっぽくて彩に謝ってたんですけど彩は許してないみたいで。上履きに画鋲入れたりしたって噂です。それでもキヨは彩を庇ったりしてました。本当に良い子ですよ」
「じゃあ自殺の原因は何だと思いますか?」
「えぇー。わかんないです。でも今野先生も少しあるのかなぁ。今野先生、何でもいじめって断定してしつこかったし。加奈はキヨのこと好きだからキヨがいじめてるって疑われるのも嫌だって言ってましたよ。それか親かなぁ?」
「親?」
「はい。加奈の親はかなりの毒親と聞きました。DVされてるとかいう噂も。加奈も今野先生はキヨにいじめられてるって断定してくるから相談しずらかったみたいでそういう話は大体友達か校長先生に相談してたみたいです。噂で聞いた程度だからどこまで本当かは分からないですよ?でも親のDVが原因の可能性もなくはないと思います」
ジャーナリストは他の生徒にも数人にインタビューし、キヨがいじめてたという事実はほぼないことを確信した。そして親からの暴力の話をどこまで知ってるか探るべく校長先生に取材しに行った。
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