3話 真実 第2章完
「3年前に菅原ひなたちゃんを轢いてしまったのは私かもしれません」
私は思い切って奏さんに打ち明けた。
「というのはどういうことですか?」
「私、3年前に今と同じようなことがこの交差点であったんです。前から子供が飛び出してきて。ちょうどその時、時間に間に合わなそうでイライラしてたんで止まる余裕もなく、ハンドルを横に切って交わしました。私はその時、上手く交わせたと思って何も確認せずにそのまま走っていったんです。まさか自分が事故を起こしてるなんて思いもしなかったんですが、後で冷静になってもし何か事故を起こしていたらどうしようって思って数週間はニュースや新聞を見ないようにしてました。だから轢き逃げ事故が近所であったことも気づかなかったんだと思います。でも菅原さんの話を聞いてくうちにその時の車は私なんじゃないかって気が気じゃなくなっていって。話の詳細的に私の可能性はかなり高いなって気づいちゃって。それからはとにかく早く帰りたいと思ってました。」
「なるほど」
「どうしましょう。私、捕まっちゃうんですかね?」
「あなたはどうなりたいですか?」
「黙ってて欲しいです。無理、、ですかね?」
私のその言葉を聞いて奏さんはニヤリと笑った。そしてどこかに電話をかけた。
「もしもし?はい。確かに証拠掴めましたよ」
私は頭の中がハテナでいっぱいだった。
「奏さん、今の電話」
「ああ!菅原さんです!轢き逃げ犯の証言取れましたよ〜って!」
「ど、どういうことですか?」
「だってひなたちゃん轢いたの、あなたですよね?」
「おそらくそうですけど!奏さんが何で菅原さんにそれを伝えるんですか?」
「じゃあネタバラシしますね。まず、ストーカーの犯人は僕です」
「どういうことですか!?!?」
本当にわけがわからなかった。
「最初に菅原さんに依頼されたんですよ。轢き逃げ犯を捕まえてほしいって。それで話の詳細と菅原さんの覚えてる状況的に僕が容疑者を絞り込んでいってあなたが容疑者に浮上したんです。あなたを見張っていると普段から運転が荒いのも散見できましたし、ほぼ確定かなーって思いました。でも普段の生活見てるとあなたは本当に自分勝手で怒りっぽい性格だと思ったんで問い詰めても自首はしないだろうなって思いました。だから確実な証言が欲しかったんです。そのためにはまず精神的にあなたを追い詰める必要があった。得体の知れないストーカーの被害に合って精神的に追い込まれた状況で僕が助け舟を出せばあっさり轢き逃げに関する情報を喋ってくれるんじゃないかと。それで昨日、僕の助手に頼んで家の窓ガラスを割ってもらいました。その後、菅原ひなたという名前を出せばあなたは自白してくれるんじゃないかと。でもあなたはその名前にピンときてなかった。ここで僕はあなたが人を轢いた事を認識していないんじゃないかって思ったんです。ひなたちゃんの名前を出しても動揺すらしてなかったんで。だから今日、実際に菅原さんに事故の詳細を話してもらってその轢き逃げ犯は自分なんじゃないかと認識させる必要があった。狙い通り、話を聞いてからのあなたの様子はおかしかった。それであなたが犯人と確信が持てました。ストーカー被害で精神的に追い込まれた状況で自分が過去の轢き逃げの犯人なのかもしれないって事実を知るだけでもいてもたってもいられなくなりますよね。さらにその状態で3年前と同じシチュエーションになったら尚更。そんな時に寄り添ってくれる人が現れたらその人に打ち明けたくなっちゃいますよね。その心理を利用させてもらいました。」
「つまり私が轢き逃げ犯という証拠を掴むためにストーカー行為までしてたってことですか?」
「そういうことです。さっきあなたの車の前に飛び出した女性も私の助手です。警察に手を回してあなたにストーカーの相談されても捜査するなって圧もかけときました。そうしたら必然的に探偵の僕の元に依頼来るだろうなって思ってたんで!」
「そんな、、そこまでします?普通」
「ええ。僕は事件解決のためなら何でもする探偵ですから!」
こうして私は轢き逃げ犯として警察に連行された。
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