第10話 Sweet Sixteen③

最後のナンバーは、BlackPinkの「As if it's your last」だった。私の好きな曲。


男は最初になりたがり女は最後になりたがる、とはよく言ったものだ。誰の言葉か知らないが言い得て妙だと思う。

私がSの最初で最後の愛になれたらいいのに。

あなたが戯れにこぼす愛の言葉もくれる体温も、永遠になればいいのに。

私達にそんな結末はあり得ないと知りながら、願わずにいられない。


この小さな箱庭を出てしまえば、きっともう会うことも思い出すこともないのだろう。

同窓会で誰かが私達のことを話題に出しても、「そんなこともあったね」なんてごまかし笑いで鈍い胸の痛みをやり過ごす。

帰って一人、誰にも触れられたくない古傷をそっとなぞるみたいに戻れない時に思いを巡らせる。

そして次の日からは何事もなかったみたいに生きていく。


もうすぐステージが終わってしまう。

舞踏会にやってきたシンデレラの魔法も、いつかは解けるように。

二度と戻らない、私達のSweet Sixteen。

報われないならいっそ、この時を止めて永遠にしたいのに。

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