第20話 告白
当時の私は、世界は自分が思うよりずっと広く、学校はその中のちっぽけな水槽の1つでしかないことを知らなかった。
彼女の色に染まることが私の指針になった。
認められたかった。求められたかった。愛した分愛されたかった。身も心も独占したかった。
否、やはり私の中に燻る激情にそんな綺麗な言葉は似つかわしくない。
率直に言おう。
彼女をどうしようもなく愛していた。
誰からも愛されて羨ましかった。
才能や運に恵まれて妬ましかった。
私の手に入らないものを全て持っているくせに、貪欲に高みを目指す彼女が恐ろしかった。
自分にしかないもの、誰にも負けない唯一の誇りさえ彼女の前では霞んで見えた。
彼女に惹かれる程に自分が弱くなる気がした。
自分が自分でなくなるようで、これ以上好きになるのが怖かった。
出会わなければ、孤独でも強くいられたのに。
だから私は逃げ出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます