第2話 彼女

彼女の名前は仮にSとしておこう。

Sと私は高校の同級生だった。

髪はつややかな黒で肌は透き通るような白、典型的な美少女である。

文字で書くと物静かで病弱な深窓の令嬢のようだが、そうではない。

大きな瞳には強い意志が宿り、シャープな鼻筋が通っており、淡い桜色の唇にはさりげなく色付きのリップをさしている。

彼女は美しかった。

勉強は中の上くらい、運動神経も良く毎年リレー選手に選ばれている。

豪胆で溌剌とした性格でいつも人の輪の中心にいた。

いるだけで場が華やぎ、雰囲気が明るくなる。

知り合う前、私が彼女について知っていたのはその程度だ。

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