第2話全て貧乏の仕業

僕んちは、兼業農家で祖父を在宅介護していたので、小さな時から貧乏だった。だが、僕は貧乏が悪いとは思っていなかった。

友達が親に遊びに連れて行ってもらったとか聴くと、羨ましかったが将棋やオセロで良かった。

親の休みは農家の作業に追われ、いつも寝たきりの祖父の事があるので、外出出来ないのだ。

だから、祖父の入浴介助や休みの日は田んぼの思い出しかない。

公立の進学校に進んで、大学を受験し大学に進学した。

しかし、僕は教科書が買えないのでアルバイトを3つ掛け持ちして、奨学金制度を利用して、親が学年ローンを組んだが、ほとんど親が生活費にした。

僕は将来が無いと考えて、大学を自主退学して働き始めた。


だが、貧乏は続いた。農薬のお金の滞納を親がしており、肩代わりした。

だから、田舎の給料じゃ無理だから、名古屋に出て働き始めた。田舎の3倍給料をもらう事を親が知ると、毎月の様にお金を貸してくれと、電話があった。

ある夏休み、実家に帰ると、親父は夏祭りでお好み焼きの半玉を買った事にイチャモンを付けて僕にケチだと言った。7000円も使わされたのに。

しかも、僕は給料じゃ間に合わなくなり、銀行から300万円借りて、250万円は親へ渡し残りは自分の生活費にした。

20代で作った借金は35歳で返済した。

みんな、結婚した。

僕もしたが、幸せにはなれなかった。子供が唯一の宝物。


今、母の面倒を見ている。

将来、母の施設にお金が必要だろう。だが、母には借金がある。

何にそんなに金を使うのか分からないが、毎月年金前は、僕からお金を借りる。

全ては、辞めればいいのに農家を続け、今より制度が整っていない時の、在宅介護で相当お金を使った事に他ならない。

僕も、親からむしり取らなければもっと楽な生活が出来たのに。

缶ビール1本飲む時でも罪悪感が湧く。

はぁ〜。

ため息しか出ない。

貧乏でも楽しくやっていれば苦にならないが、いつまでも続く貧乏は精神的に悪い。

だからと言って、今すぐ転職は出来ないのだから、質素倹約でいくしかあるまい。

僕だけなら、十分だが家族に渡す金が多すぎる。

自由に使えるお金は、3万円だ。

親にお金があれば、全額返してもらいたいが、親父は死んだ。

自己殺人するくらいなら、農家辞めておけば良かったのに。

この愚痴は、誰にも言えないでいたが書いた。

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