異世界から来た俺は、この世界の『キャンプ』を知る。〜そのために勉強をする〜

魔邪鵺

第1話 異国の地

『俺は死んだ』

 そう思っていた。

 目の前が地獄でも天国でもないと知ってからは、これが現実なのだと痛感した。


 ある日のこと。

 辺境に住んでいた俺は、みやこで買い物をしていた。

「うーん。めっちゃ買ったなー」

 食料、武器、防具など日常生活で必要な物を買うために、1週間に1回だけこの都に立ち寄る。

 その日が今日だ。

「おやおや、今日もたくさん買ったね」

 毎回、屋台のおばさんが微笑んで声をかけてくれる。

「ええ、あまり来れないので、ついつい買ってしまうです」

「そうか。気をつけて帰ることだよ」

「はい!いつもありがとうございます!」

 お礼をして、その場から離れる。

 毎回、この会話が必ずある。

 その後、家へ帰る。

 このルーティンで動いている。

 いつものように、門に向かって進んでいたら、突如、意識を失い倒れた。

「どうした、どうした」

「誰か治癒魔法の冒険者を呼んできてぇー」

「マジ!?……かよ……」


 周りの人たち、空気が騒めいている。

 たくさんの声で目を覚めた。

 先ほどまで、元気だったはずの体を起こそうとしてもびくとも動かない。麻痺にでも起こったような感じ。

 唯一動くのが、頭だけだ。

 毒でも盛られたのだろうか……

「この体勢ですみません。ちなみに、何かあったのですか?」近くにいた主婦に聞いた。

「いいよ。君が倒れたから騒然しているんだよ」

 もう、頭も動かなくなったようで

「ドン!」

 頭が地面を打つ衝撃がした。

「あれ?死ぬのかな?ああー死ぬのかー」

 人は、いつかは死ぬ生き物だ。

 だから、そこまで死を抗うことはしない。

「やばい……目の前がクラクラする……」

 意識があった最後のことだ。


 ここはどこだ?

 街なのか?それとも、天国なのか?地獄なのか?

「グゥーーー」腹の音が鳴り止まない。

 何か食べたいなー

「おや、君は誰だい?見たことがない顔のようだ」

「おい、この子を店に運びたい。手伝ってはくれないか」

 誰だろ?白い服を着た人?

 眠い……

 目を瞑る。


「おい、起きろ!」

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