和尚憑き

碧美安紗奈

プロローグ

 昔、この福島県耶麻郡磐梯町の恵日寺付近に住んでいた男が、都会に出稼ぎに行っていたときのことだ。


 そこには朝遅く起き酒を飲み風呂に入る以外は以降ひたすら賭博や女遊びに費やすのみで、やがて餓死する人間が必ず一人いるというおかしな光景があった。


 町の者たちが、そんな遊び死にする者を〝和尚憑き〟と呼んで恐れていたので男は由来を訊くがそこまでは誰も知らない。気になった男は〝和尚憑き〟の言葉を頼りに、手近な寺の住職に尋ねてみることにしたそうだ。


 すると玄関先で質問されるや、和尚は訳知り顔で男を仏間に招き入れ、語りだしたという。

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