第7話
信じられなさすぎて、ステラはボクの発言を確認するために訊ねる。
「きっと幻聴……きっと幻聴です……。す、すみません。聞き間違いだったら申し訳ないんですけど……今、魂が入れ替わってるとかセンカ様の魂が消失しているとおっしゃいましたか?」
ボクはその疑問に、
「うん! 聞き間違えなんかじゃない! その通りだよ!」
顔を引きつるステラに、元気良く! 笑顔いっぱいで答えた!
すると、元気満々なボクとは対照的に、「もう訳がわかりませんっ!!」と頭を抱えてステラはしゃがんだ。
どうしたんだろう、ステラ……。急にしゃがんじゃったりして—――あっ!
どうしてステラがそんなことをしてるのか考えていると、ボクはあることを思い出した。
「ステラ! ステラ! まだこの世界の魔法について説明してなかったよね?」
そうだった……。
解説してる途中にボクがステラのトラウマに踏み込んじゃって、何の説明もなしに、
『魂が入れ替わってる』
っていきなり言ったら、そうなるのは当たり前だよね。
「まずは説明からしないと……。ごめんね? ステラ。話す順番、間違えちゃった」
「い、いえ……それより魔法についてとは、いったい……」
ボクの差し出した手を掴みステラが立ち上がった。
早速、ステラの疑問を答えるべく、ボクは「こほんっ」と咳ばらいを一つ零して、魔法の説明を始める。
「この世界では、ステラも知ってるように魔法は『おひとり様一点限り』—――つまり、一人につき一種類の魔法を所有してるんだよね」
「ん? は、はい……存じています……」
『おひとり様一点限り』という言葉が引っ掛かったのか一瞬、ステラが疑問符を浮かべた。
前世の世界を例にしたことに反省しつつも、結果的に話を脱線せず持ち直したことに安堵する。
もちろん、どっちも表情には出さないように、ポーカーフェイスを装ってね。
そして、
「そこで、だ—――」
今から本題に入りますよー、という意味を込めて言葉を区切ると、ステラは重要だと思ったのだろう。
真剣な面持ちで、耳を傾けていた。
「一人につき一種類ということは……複数の魔法を所有できないってことになるよね……。それは、どうしてだと思う?」
「……体が耐えられない、もしくは—――何かしらの条件、制約がある……ということでしょうか?」
「—――そのとお~り!!」
華麗にターンを決めて指差すと、ステラは「きゃっ!」と小さく悲鳴を上げて少し後ろへ下がる。
突然のボクの行動に驚いたのかな? でも、そんなこと今はどうでもいい……!
「普通なら肉体的な理由を考えちゃうけど、さすがステラ! それ以外のことを思い付くなんて頭がイイね!」
「い、いえ……それほどでも……」
顔を赤くして俯くステラ。
体をもじもじとさせて指先を合わせたり離したり照れ隠しをしている。
けど、薄っすらとほっぺが緩んでいる顔を見ると、照れには勝てなかったようだ。
それに……嬉しそうにも見える。
そんなステラを見て、とても微笑ましく癒されてボクもほっぺがゆるゆるになるのがわかった。
「ふふっ……。さっきステラが言ったように、魔法が一つであることには条件と制約がある……それというのは—――」
ごくりっ、とステラが喉を鳴らして固唾を吞む。
「—――魂が一つしかない。だから、魔法も一つしかないんだ!」
〜あとがき〜
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