第7話 祟り神

「荒御霊(あらみたま)であり畏怖され忌避されるものだが、手厚く祀りあげることで強力な守護神となる」と一般に解釈されているようです…が、実はそんな生易しいものではありません。

 その実体は…神々の悪い部分(完璧に清廉潔白とまで言えない部分)が“ひとつの意識を持つ集合体”となったもので、元来、神から発生しているものであるために、その集合体も神となってしまったものです。あらゆる神の悪い部分、つまりは“悪いエキス”を大量に蓄えているので非常に強力な力を持っているのです。

 そのため、祟り神が移動した後は木は朽ち果て、草花も枯れ、動物たちも一切近寄らなくなるのです。ましてや“光脈(生命の根源・源流)”の上を通っただけでも光脈は穢れ、生態系に甚大な被害をもたらします。

 100年に一度、10月の満月に体内より鳩の卵ほどの茶色い土のかたまりを一つ落とします。それは体内に長い年月の間に蓄えた神々の悪い部分にわずかに混ざっていた“清浄な部分が溜まって出来たもの”です。祟り神にとっては必要としない、逆に溜め続けてしまうと本来の力を弱めてしまうものです。

 もしどこかでそれを拾ったら、大切にしてください。祟り神は近寄ってきたりしないでしょう。祟り神を手厚く祀ったりなどしたら逆に大変なことになります…まさに「触らぬ神に祟り無し」です。

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