傭兵部隊のサイキッカー
キングライト・ウォーカー
中学生編
序列「合同訓練」
第1話「第一関門の道のり」
私の将来は傭兵部隊を目指している。それもただの兵士ではなかった。【サイキックソルジャー】と呼ばれるようないわゆる超能力を扱った兵士だ。このように超能力が扱える兵士と言うのは、日本国におけるテロリストなどに対応した実力を有し、それなりの戦力ともなれる人間だったことが評価されていた。しかし、そのテロリストたちと言うのも、中には超能力者がいて、それらに対抗するために有効な人材として【サイキックソルジャー】と呼称された人間を幼い頃から育て上げ、現代では【大規模犯罪組織】と呼ばれるようになった凶悪犯たちを仕留めるに至る教育を施している。
そんな有力な人材の中に私はいるのだが、そこで自身が産まれた時から授かった超能力としては、【意思によって炎を操る】と言った能力だ。これを私が名付けるとしたら【炎操】である。炎なんかを自在に操作して、現在では火力を上げる訓練やさらなるコントロールの精密さなどを鍛え上げていた。
そして現在に至る。今の時点で私は中学校に通っているのだが、そこにも自分と同じく【サイキックソルジャー】を目指す超能力者は存在した。丁度中学校も放課後を迎え、その【サイキックソルジャー】と呼称される職業を志す女の子と並列に歩いている。
「今日も授業が終わって良かったねぇ!」
「でも、この後はしっかりと訓練だよぉ。疲れるよねー?」
そこで放課後に受ける【サイキックソルジャー】の訓練に対して面倒だと思っていた女子友達は
そして肝心の私は
「「ただいまー!」」
先ほど車で下校して来たところだった。やはり現在通っている中学校から施設までは距離があるので、そう言うところは校長先生から承諾を得ている。何せこの傭兵部隊での活動資格はすでに取得しているので、今後は施設に行くまでの距離は車での通学を余儀なくされていたのだ。なので、私たちに関しては、そのように車で送り届けてもらっている。
「お帰りなさい。二人とも学校はどうだった?」
「楽しかったよー! 今日は普段からの訓練が体育の授業に現れた気がする!」
「私も! どこぞの男子よりも記録が出せたかも知れない!」
「ふーん? それは良かったわね? それじゃあ部屋に戻ったら早速訓練に移りますよ? 制服から訓練着に着替えてください」
「「了解でーす!」」
私たちはそうやって受付の女性に言われたことを守るため、一旦自分たちの部屋に戻った。そうすることで着替えを済ませ、訓練場に向かうのである。
「ふぅぅぅ〜! いざ訓練に参った!」
「やる気満々で来たけど、何だか疲れて宿題忘れそ〜」
すると、そこに私たち二人を迎えた指導員の女性がやって来て訓練を始める。それこそ彼女の存在感はあり過ぎて誰もが視線を向けてしまいそうになるみたいだった。
「よぉし! 早速始めてくぞぉ! 凶悪犯は今日もこの日本のどこかに潜んでいる!」
「「はい!」」
元気の良い返事で指導員を迎えた私たち。指導員として私たちを指導して行く役割を担っているのは、この叉長幸子と言う女性だった。この人の超能力は【遠距離からでも探索が可能で、対象の動きを正確に把握できる】と言ったスナイパーライフルなどの武器を用いればどんな敵でも捉えられる。まさしく戦闘向けの能力であった。さらにその功績はとても優秀なもので、実際には戦場で活躍した【サイキックソルジャー】でもあるからして、その指導力は並じゃない。凄く教えるのが上手で戦場での心得や気配の消し方と探り方なども指導して下さった。
「それじゃあ【歩行倉庫】の舞子は他の連中らとの合同訓練だ。今回は収納できる量を拡大するよりも、実際に武器や治療器具などをいつでも取り出せるように仕舞って置き、そこからの実践訓練だ」
「はい!」
「そこで【炎操】の燐火は、即戦力となるであろう【サイキックソルジャー】との合同訓練に参加してもらう。今回は戦闘を主流とした訓練になるが、怪我をしても救急班に控えている治療能力を施せる訓練生がいるから、そいつに治癒をしてもらう予定だ。つまり怪我は覚悟してもらわなければ行けない。そこは配慮しておくべし!」
「了解!」
「よし! 二人にはちゃんと指示を与えた。ここでどう動けるかが【サイキックソルジャー】の見せどころだ。安易に考えるな? ここはしっかり気を付けながら精進しろ! では行動に移せ!」
「「はい!」」
そうやって私たちはこの合同訓練によって何か掴めることを期待される。幸子指導員から指示を受けた後は、私も舞子もそれぞれの場所に向かった。そこで各々の役割を果たしに行くため、全力を尽くして行く方針で動く。
「私はこっちだよな? 誰と戦闘訓練をするんだろう? まさかあいつとかいないよね?」
すると、そこで私の方に自身からしたライバルとも呼べる存在が声を掛けて来た。それも仁王立ちをしてである。
「やぁやぁ! 燐火兵士よ! さすがに僕たちは避けられない運命だね!」
「あちゃー。苦手なのが来た」
そう、相手は異性。それ以前に超能力の相性も悪かった。何せ向こうは水系統の能力であり、実力派とも言われている。実力は互角と言えるが、炎で相手する私なら、苦戦を強いられると思われた。
彼の名前は
「さて、今すぐにでも溺れさせてあげるよ? 僕の前ではどんな超能力者だとしても敵わないのさ!」
「生意気ね? 幸子先生なら遠距離からの射撃で貴方を撃ち殺せる」
「残念。僕の身体は常時水の膜で覆われていて弾丸なんて通しはしない。それは君の炎でもだ」
そう、彼の身体には【水膜】と言うもので覆われており、どんな攻撃も緩和させてしまう。それらを踏まえると、その水膜に一定以上の攻撃を加えないと行けないのかも知れない。しかし、彼はどんどん強くなって行くのだった。ならば、それ以上を叩き出すには相当な力量を持ち合わせなければならない。それを可能にするには膨大な訓練が必要であった。
しかし、それをも簡単に撃破してしまう存在ならいる。それも私との相性は悪いが逆に縮也となら良いと思われる人物が数人だった。
「そうやって燐火に対してばっか言うなよ。だったら俺を超えてみな?」
「なっ⁉︎ 君はあの【意識すると視界で捉えた対象を凍らせる】能力の持ち主!
「なるほど! さすがに水膜を凍らされては砕かれる恐れがある。一体どこの施設から来たんだ⁉︎」
「俺を知らないとはな。しかし、良いだろう。お前の火力で俺の氷が溶かせるのか楽しみにしてるぞ。まぁ、有効なのは俺の方だろうけどな」
(視界に入ると厄介だな? でも、捉えられなきゃ問題ない。それに私は炎を操れるんだ。ならば、氷斗の視界を塞げれば凍らされることはない。しかし、どうやって塞ぐ?)
まず第一関門は開かれた。後はそこをくぐるだけである。
すると、他にも沢山の【サイキックソルジャー】が現れ始めて来た。そこでは一人一人が訓練着を見に纏い、それらしい雰囲気が出ている。しかも、強豪揃いと窺えた。
(この中で私は訓練を施して行くんだ……! だったのなら頑張るぞ……!)
そうやって私の訓練は始まった。これから幾つもの試練が立ちはだかって来るだろう。そこでどうやって私はみんなを超えて行けるかだった。
「それじゃあみんな揃ったね! 合同訓練の始まりだ‼︎」
「到頭この日がやって来ましたね? 幸子先生から一言お願いします」
「よし。それでは私から一言。ここに集まってくれたみんなは全員が中学生だ。しかし、よそ者とは違う特別な能力を持っている。それをフルに活かし、凶悪犯どもをやっつける糧としよう!」
「よっしゃぁ! やってやろうぜ!」
「それなら十分に思うところはある。どんな奴らにも負けてはいられないね!」
(さすが幸子先生。周囲を沸き立たせる一言で、みんなを奮わせた! さすが私の指導員でもあるな!)
そう心の中で私を普段から指導して下さっている人物は思わせた。さすがに彼女はプロであり、本格的に戦場を渡り歩いた人物だ。やはり言うことが違う。
そんな風に合同訓練は始まりを告げた。周りにいる奴らが見せるやる気のある顔つきはやっぱり一味違うような気がしてならない。しかし、それなら私だって同じだ。だからこそ、負けるつもりなどないのだ。
「さて、じゃあまずは四人組のチームを決めて、これから行動を共にする仲間を定めるぞ!」
「各チームすでにこちらで決定しているので、それに従って組んで欲しい!」
(マジか……。やっぱ緊張感が増してくなぁ。一体どんなチームを組んで来るのか疑
問に思うが、まぁここは幸子先生たちの決めた三人と頑張って行こう)
そう言うことで四人組チームで行動することになった。そう言ったチームを組んで一体何をするのかはまだ謎に包まれているが、それでも私はこの合同訓練によって得られるものはあると思う。なので、幸子先生たちに従ってどんな難関だって乗り越えてやりたかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます