第3話 優しい深雪

 あの後、皐月から諸々の事情を聴いて考える間もなく俺は行動を始めた。仲間……いや、家族が殺された。俺のやることは決まっている。一分一秒すら無駄にできない。


 実は皐月は、俺に新年の挨拶をするためだけに京都に向かっているそうで、その途中に仲間の凶報を聞かされたそうだ。皐月にとっても折り紙は家族同然。絶望に叩き落されたようなものだろう。


 俺は着替えて家を出る。上下黒のスーツに黒い無地のネクタイ。スーツは俺のためだけに作られた特注品だ。皐月は車でこちらに来る。家の周辺には道路は無いため、俺が直接道路まで向かうしかない。


 俺は最短距離で山の中を駆け抜ける。雪の比較的少ない場所を見極めて走りながら周囲を見渡す。この山は全て俺の遊び場で訓練場だ。それが容易くこなせるのは、日々の積み重ねのおかげである。雪が大量に靴の中に入るがそれを気にしていられる余裕は正直なかった。


 今、優先する事は生きている者の命を守る。そして、首謀者の把握。仲間の死に感傷する時間なんて無い。


 そのために俺が出来る事は、ただ一つ。東京に行くことだ。俺以外の折り紙の人間は、仕事や依頼で東京に行っている。そこで起きたということは、東京に犯人がいる。


 そして、全員を殺すつもりならば、俺が東京に居ないことにも気づく。折り紙に手を出すということは、相当の手練れが数十人はいてもおかしくない。家の場所は、割られていると考えて行動すべきだ。ということは間違いなく、京都に刺客が送られてきている。


 相手が馬鹿じゃなければ、恐らく捨て駒だろう。本命は、東京。そこで首謀者を守っている。そして、相手は俺が東京に来ることを予想しているはずだ。しかもそれが、俺にとっての最善手であるのが痛い。


 犯人は、間違いなく政府関係者だろう。裏社会の奴らと殺し合いをしたところで、まず負けないのが折り紙だ。きっと指揮を執っているのは、裏社会の人間とある程度繋がることが出来て、情報を操作できる地位にある。それが出来れば、秘密裏に折り紙の人間ですら殺せる。


 折り紙の強みは、大量の情報を手に入れる事が出来る点だ。それのおかげで、依頼に適している人材を送り込むことが出来るからだ。それをコントロールされてしまえば、現状がどうなっているのかの把握は難しい。


 だとしたら、必然的に首謀者が浮かび上がってきた。


 現内閣総理大臣の光原巌令ひかりはらがんれい。あいつで間違いない。


 第九五代目内閣総理大臣の光原は、二年前に総裁選で勝ち、総理大臣に指名された。表向きでは、口上手で国民に寄り添う政治をモットーにしている。まあ、よくいる政治家だ。


 しかし裏では、冷酷な一面をもっており、自分の地位を守るためならどんな悪手でも実行するクズだ。過去には衆議院選挙にて自身が当選するために、同じ選挙区のライバルをある殺し屋に依頼をして暗殺させていたことがある。折り紙は、幾度も総理大臣の座を降りることを警告したが、全て却下された。その後、折り紙が内閣支持率を二〇バーセント以下まで操作したことにより、恨みを買われたこともあるくらいだ。


 走りながら思考を巡らせる。二十分も走り続けていると、さすがに顔が冷たくなってくる。


 下を向いて凌いでいたが、それが功を奏したのかもしれない。


「………っ!」


 視認したのは、俺が走ってきた方角に向いている足跡一つ。一度止まって屈み、形をしっかりと見る。


「仲間の靴の足跡とは一致しない。やっぱり誰か来ている」


 だが、足跡が一つだけ残しておく必要はない。


 いや………。こいつらは、意外と馬鹿ではないのかもしれない。ならば、こちらはそれに敬意を示してあげるしかない。


「いや~。意外とあっけねえなあ」


 俺は後ろを振り向く。どうやら、かなり焦ってしまっているようだ。


「あの天下の折り紙様も、一人じゃ何も出来ないみたいだな」


 俺が来た道から、顔以外は完全武装した男が近づいてきた。肩から狙撃銃がぶら下がっている。そして、なぜかサングラスをしている。


「ほらな?あいつらも言ってただろ?この道は近道なんだって」


「いや、だとしてもだろ?こんな簡単に見つかるかよ」


 反対側から同じような恰好をした男二人が会話をして俺を挟み込む。計三人。絶体絶命だ。


「お~い。聞こえてますか~。しゃがんでないで、立ち上がってくださ~い」


 二人側のどちらかが、後ろで煽ってくる。仕方なく立ち上がり、サングラスの男と向かい合う。二人組の方をチラッと見るとアサルトライフルを肩から掛けているが、撃つ様子は見られない。俺は微かな望みに懸けて交渉を行おうとした。


「ここ一帯はうちの敷地だけど、何か用かな」


「お前は時之宮鳴海だな?報告通り白髪の長身だ」


「お、正解。そうだよ。俺が時之宮鳴海だ。あと、イケメンで高収入って報告はないのかい?それがないなら違うと思うよ」


「はあ?何ふざけたこと言っているんだ。こっちは武装しているが、お前は丸腰。仮に、仕込み刀を持っていたとしても、お前はなにも出来ずに蜂の巣になって終わりだ。ほら、命だけは助けてやるから懇願しろよ。殺さないでくださいって」


 サングラスのブラウンのレンズ越しに卑しい目でこちらを見てくる。後ろの二人は、俺たちの会話を聞いて笑っておりかなり余裕そうだ。


「そうかい」


 普段は相手にされない程の差があるため、ここぞとばかりに調子に乗っている。


「京都のお土産は何にするつもりなの?それと、誰からの命令なの?」


「土産なんか誰も興味ねえよ。……つうか言うわけねえだろ。お前馬鹿なのか?」


「まあそうだね」


 簡単には教えてもらえないらしい。雇われていることと、この辺の人間ではないことは確定。あとは、誰が指揮を執っているかだ。


「そんなにお金積んでもらってるの?ヒントすらくれないなんて酷くないかな」


「あ、じゃあおれがヒントやるよ」


 そう言ったのは、俺の真後ろにいたちょっとふざけている人だ。はいはい!と手を挙げていて、危機感がまるでない。


「いや、止めとけよ。あいつはあの折り紙だ。危険すぎる」


 その様子を見ていた隣の慎重派の男が焦燥し、止めに入る。


「へーきだって。おい白髪。何でも一個だけ答えてやるよ。もちろんだけど、直接的な答えのやつは答えないけどな」


「ったく」


 どうやら、諦めてくれたようだ。最悪殺せばいいとか思っているのだろう。あっちは武装しているし、負けるとはちっとも考えてないみたいだ。


「じゃあ、質問だ。この計画に、自分たちの所属している組織を含めて幾つの勢力が加担している?お前ら三人が同時に数を言えよ」


「ああ、いいぜ」


 ついでに三人に目を閉じさせる。これで嘘は言えない。


「せーのっ」


 サングラスの男が合図をする。


「「「3」」」


「おー。すげえ」


 どうやら、本当に嘘がないようだ。後ろの奴らからも、緊張感がない。ならここからは、こいつらがどの勢力なのかを当てる必要がある。だが、そんなものは簡単だ。

 関東周辺で一番強いグループで総理大臣と繋がることが出来て、折り紙を潰したいと心底思っている奴らが一つ目。そして二つ目は、総理大臣。三つ目は、予想したくないが現状で、俺が一番厄介だと思っている勢力。目の前にいる奴らは、一つ目の勢力だ。


「もう。……いいかな」


「は?」


「武器も持ってないし、勝てる気がしないよ。だから、殺してくれ」


 俺は両手を上げて降参の意思を示す。しかし、どうやらそれは逆効果だったようだ。


「なんだよ。折り紙って、つえー奴らがいるからわざわざ京都に来て、つらいのに潜伏してたんだよ。時間返してくれよ」


 分かりやすくカリカリしているサングラスの男は、頭を掻いて後ろの二人にも聞こえそうな舌打ちをした。


「ああ、悪いな。だから一思いに殺してくれよ」


「はあ、冷めたわ。わかったから死んでくれ」


 そして、肩に掛けていた狙撃銃を構える。距離は約三メートル。普通なら絶対に避けられない。俺はすっと、少しだけ左にズレた。


「あの折り紙の最期を見れるなんて………奇跡だな」


「頭をちゃんと狙えよ~」


 どうやら真後ろのお二人は、そこで傍観することにしたみたいだ。その方が楽だしありがたい。だがせっかくなので、ある頼みを聞いてもらうことにした。


「ああそうだ。死ぬときは、綺麗に死ぬって決めていたんだよ。弱者の俺に情けを掛けて心臓を貫いてくれ。顔は、やめてほしいな」


 そう言って自分の胸を人差し指で、とん、とん、と優しく叩く。


「ああ?いいぜ。折り紙殺しになれるんだ。最後はてめーの願いくらいは叶えてやるよ」


「ありがとう。これで思い残す事は無く死ねるよ」


 両手を下ろしてその時を待つ。引き金をゆっくり引いている指を眺める。その瞬間、サングラスの男がほんの少し歯を見せた。やはり、こいつらは信用すべきではなかったな。


「おい、早く撃てよ。愚図が」


「死ね」


 引き金が完全に引かれる前に、首を右に傾ける。放たれた弾丸は俺を通り過ぎていく。


 そして着弾すると、ぶしゅっ、という音を立てた。


「う……うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


「はぁ⁈」


 その瞬間、地面を蹴って後ろに向かって飛ぶ。横でふざけていたヤツの脳みそが剥き出しになりながら倒れていくのを見て、呆気に取られていたので俺が近付いていることに気付かない。武装している男の太ももに、ナイフホルダーが装着されているのを見逃さず、懐に潜り込んでナイフを抜く。


 すかさずナイフを首元まで持っていき、一瞬でもう一人の頸動脈を裂く。血を避けながら、アサルトライフルに繋がっていたベルトを切る。それと同時に、男を道の端に蹴り飛ばし、ナイフを後ろすら見ずに、サングラスの男の引き金を引いていた手を狙って放った。


「いぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」


 地面に落ちたアサルトライフルを拾って振り返ると、サングラスの男はしっかり握っていた狙撃銃を持つのを止めて、ナイフが深く刺さっていた右手の手首を、左手で強く握っていた。俺は、ライフルを捨てて男のもとに向かう。


「痛い?」


 軽くあざ笑って体勢を低くしていた男を見下した。男はサングラス越しでも分かるほどの鬼の形相で声を荒げる。


「て、てめぇぇぇぇぇぇぇぇ!」


「ああ、うるさいよ」


「かはぁっ!ぅぅ……」


 一度だけみぞおちを軽く殴ると、膝から崩れる。武装していても俺はそれ以上に鍛えているためそれなりに痛いはずだ。


 俺たちの後ろでは、色味の悪いかき氷が出来ていた。誰も食べることはないだろう。最後に少しでも、情報を引き出そうとして髪の毛を掴み、仰向けに倒して脅迫を始めた。


「ねえ、なんか情報を教えてくれる?」


 そう聞くと、唇を噛みつつ首をぶんぶん振る。


「そっか。まあ、無抵抗なら別に殺す必要はないしね。どうしよっか」


 男の上に跨り、口を強引に開けてその中に雪を詰める。そしてあることを尋ねた。


「そう言えば君さ、その目は何かの病気なのかな?」


 それを聞いた瞬間、男は足をバタバタさせる。何かを伝えよとしているみたいだが、雪を詰めているため、唸り声しか聞こえない。


「図星か~。そのサングラスって遮光眼鏡だよね。ほかの二人は、持ってすらなかったのに君だけ着けるのはおかしいよね。ここは標高高くないけど、雪山の紫外線は強いもんね」


 男のサングラスに手を掛ける。こいつにとって、これは命の次に大事なものであろう。


「う~ん。網膜色素変性症?さっきの言い方だと白内障の手術後って感じかな?でも、そんなこともう気にしなくてもいいよ」


 俺はサングラスを外して自分に掛ける。そして、男の右手に刺さっているナイフを抜く。感覚が鈍っているのだろうか、反応が薄い。男は、目を思いっきり瞑って紫外線を防ごうと頑張っている。そして俺は男のこめかみの少し下に、ナイフの切っ先を付ける。刃先を顔の内側に向けた。それをゆっくり動かしていく。


「ゔ~~~~~!ゔ~~~~~!!」


 そのまま進んでいく。先ほどよりも、足の動きが激しくなってもがくがなにもさせてやらない。目の横で刃を止めたところで、静かに言う。


「一思いにやるから黙れ」



 何もなかったかのように、立ち上がってその場から立ち去る。あれだけ賑やかだったのに、もう何かが這いつくばるような音しか聞こえない。ちらっと振り返ると、一人の男があるものを探している。


「め……がね………」


 ああ、眼鏡。俺が着けているやつのことか。太陽がいつもより見やすい気がする。戦利品として奪ったが、あまり良いものではない。返してやろうか迷ったが、彼にもう希望はない。助かる可能性はもうないだろう。


 犯罪者の終わりはろくなものでない。死に場所を選べたら奇跡。だから恨まないでもらいたいものだ。だが、俺と彼らは同じ犯罪者。そして日本人だ。この国を生きた者の最期にふさわしくないな。


「ねえ」


「………」


 何も言わないか。それでいい。


「これ、落ちてた。大事にしなよ」


 外したサングラスを男の手のひらに置いていく。それくらい憐れんでも良いだろう。サングラスを置いた瞬間、それをぎゅっと握ろうとしたが、止まってしまう。


 その場で正座をし、手を合わせて合掌する。一分ほどで終えると、彼の所持品を漁ってその中からスマホを見つけ出してあることをする。


「これか…………ええっと。これで完了っと」


 慣れないデジタルの恩恵を受けながら、そのスマホを破壊して、立ち去ろうとする。


 しかし、遺体をここに置いておくのもナンセンスだ。俺は辺りを見渡し、雪が多く積もっているところを探して、彼らをそこまで運んで全身が見えなくなるまで、隈なく雪を被せていく。三人分しっかりやって、暫くはそこで待ってもらいつつその場を離れる。


 ゆっくりと公道に歩みを進めながら、気になったことを思い出す。


「弱い。弱いな」


 この程度で俺以外が全滅なんてあり得ない。戦闘に慣れていない者もいるが、それでも全員が負けたという事実に不信感を抱く。最悪な予想が脳裏を過ぎる。しかも、それの可能性が一番高いのが厄介だ。そして、何よりも敵の頭がかなり良い。


 あの足跡は、俺が止まると確信を持って付けさせたものだろう。


 もし最悪な予想が当たっていたら、もうこっちに帰ってこられない可能性がある。


 今いるこの山は、人生の全てだ。十五年間も過ごした場所に、二度と戻れないことは、少し悲しいものがある。


 でも、そんなぬるいことはもう言えない。仲間たちが死んだ。このまま俺だけが戦わないことがあってはいけない。


 覚悟はできた。………いや、この言葉は飽きた。その言葉は俺の辞書に存在しない。


 これは運命なのだ。この才能をもらった時から決まっていたのだ。


 俺はとやかく考えるのを止めて、道路まで走り始める。そして、十分ほど走ると、一台の車が見えてくる。やっと公道に出ることが出来た。敵に遭遇したせいで、タイムロスをしたが、彼女はそれくらいでは何も言わないだろう。


 皐月が乗っている黒のポルシェ。車に興味がない俺でも知っているものだ。まだ二十五歳で、普通だったら社会人三年目の人間が買えるものではないだろう。確かあれは、数年前から乗っていた。それだけ、折り紙の仲介人の収入は良いものなのだろう。


 俺は道路に出て、車に近付く。後ろからゆっくりと進んで脅かしてやろうと思ったのだが、その思惑はばれていたようで、テールランプが意味もなく点灯した。ドッキリは諦めて、車に迫る。そして右側の助手席に乗り込み、またあの言葉を言う。


「明けましておめ…………」


 途中まで言えたのだが、また遮られてしまう。それは、言葉ではなく行動で。


 俺は皐月に思いっきり抱きつかれた。俺も皐月も何も言わない。彼女がそうしたいのなら、と快く受け入れる。この車の中に充満しているたばこの臭いも、彼女の香水の匂いと混じって気にならなくなる。そして俺はゆっくりと、皐月の頭に手をまわして艶やかな髪を撫でる。


 するとさらに、勢いよく抱きつかれたため、その衝撃が俺の胸辺りにやってくるが、その正体は皐月の蠱惑的で大きな胸だった。


 彼女の呼吸やぶるぶると震えるたびに形を変えてくる。だが、その程度では全く動じない。伊達に犯罪者をやっているわけではないのだ。男としては失格だけど。


「あぁ……よかった。一応無事………というか余裕そうね」


 数分すると、満足したのだろうか、俺から体を離す。そして改めて、安堵している。不安が無くなった晴れやかな笑顔でいつも通りを取り繕っていた。


「一応だけど。外では遺体が三人落ちているよ。皐月も無事みたいだな」


「ええ、一応。ね」


 胸まで伸びているミルクティー色の髪の自他共に認める美女。その髪色は一〇年くらい前から染めている。白のモックネックセーターに黒のマイクロミニスカート。シンプルでオトナっぽさを醸し出している。


 彼女が折り紙の仲介役である皐月だ。


「とりあえず東京に向かおう。それで相手の出方を見ないと何も出来ないし」


「そうね。ところで荷物は?もしかして手ぶらで行くつもりなの?」


「ああ。あっちで買えばいいよ。公共の場じゃ、あいつらも襲ってこないだろうし。それに、すぐ終わらせるつもりだ。いつでも準備ばっちり」


「わかったわ。じゃあ行きましょう」


 そう言って、皐月はアクセルを踏んで車を発進させる。俺はシートベルトを締めて、窓に反射した彼女を眺めながら言う。


「あ、そうだ」


「ん?どうしたの?」


 運転をしているので、皐月は声だけで反応をする。


「明けましておめでとう。いや」


 そして、また言い忘れた言葉をかける。危険な世界で生きる俺たちが、言葉を紡いで思いを伝える。どんなに素敵なことだろうか。


 俺たちは家族だ。家族が亡くなったら悲しいし、家族が誕生日を迎えたらプレゼントでお祝いをする。生きる喜びを知っている俺たちには、まずこの言葉が必要だった。


「生きていてくれてありがとう。皐月」


 皐月の方を向いてその言葉を渡した。それを受け取ってくれた彼女は、俺の頭を右手で撫でる。俺は、少し頬が緩んだ。暖かい気持ちが慌ただしかった心を癒す。スキンシップは嬉しいものだ。


 そして、母親が生まれて間もない自分の子供にかけるような優しい声で、皐月は俺に言葉をくれた。


「生きていてくれてありがと。なるちゃん」

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