第7話:高畑 パセリさんって。

「あの・・・未来ちゃん?」


「ん?なに?」


「この部屋に入った時から、ずっと見えてるんだけど・・」


「何が?・・・なにが見えてんの?」


「女の人がひとりいるの、そこに・・・」


「え?、うそ、待て待て・・・気持ち悪いこと言うなよ・・・なんだよそれ?」

「それって・・・もしかして・・・霊とか?」


「だね」


「だね、じゃなくて・・・セシル・・・なんでそんなものが見えるんだよ」


「私、霊感めっちゃ強いから・・・」


「ガイノイドが?・・・霊感?」


「だって見えるんだもん」

「あのね、女の人に話聞いたら、その人、以前この部屋に住んでた人なんだって」

「でね、この部屋で自殺したんだって・・・ 」


「まじか〜?」

「あ〜そうか・・・不動産屋が隠してたことってこれか?」


「でね、未来ちゃんに取り憑こうと思ったらしいんだけど、毎日生活してる

うちに未来ちゃんのことが好きになっちゃったらしいのね 」

「だから、ここままここにいることにしたんだって・・・」

「そう言ってるよ」


「この人のお名前「高畑 パセリ」さんって言うんだって」


「たかはた?・・・ぱせり・・・え?外人?・・・ハーフ?」


「ハーフだって」


「訳あり物件だって知ってて借りたけど・・・そうか・・・」

「でも、僕には見えないしな・・・俺、霊とかそういうの怖くないし悪さ

しないならここにいてくれてもいいけど・・・」


「よかったですね、パセリさん・・・未来ちゃんが、いていいって

言ってますよ」

「うん・・・よかったですね・・・」

「未来ちゃん、彼女喜んでます」


「俺はいきなりモテモテだな・・・ガイノイドに幽霊って・・・ふたりとも

人間じゃないってのがな・・・」


「でも私、パセリさんにヤキモチ妬いちゃう」

「未来ちゃんは私だけのものだもん」


「麻里奈さん、悪いけど、あなたには未来ちゃんは渡しませんからね」

「それにエッチできるぶんだけ、私のほうが有利ですから」


「なに?、セシル幽霊にライバル意識燃やしてるのか?」


「だって、未来ちゃんに色目使う人は誰でも私のライバルなの」

「だからパセリさんに言い寄られても浮気しちゃイヤだよ」

「そんなことしたら、私・・・」


「自壊するって言うんだろ?」

「やめろよ、僕の部屋に幽霊がまたひとり増えるじゃないかよ」

「浮気なんかしやしないよ・・・セシルだけだよ・・・」


「え?今なんて言ったの?」


「浮気なんかしないって言ったの・・・」


「その後だよ」


「え?・・・セシルだけだよ・・・って・・・」


「本当に?・・・それほんと?・・・私の片想いじゃないんだね」


「いや、片想いなんかじゃないと思うけどな」

「俺だって・・・セシルのこと嫌いじゃないし・・・」


「嫌いじゃないしって、その言い方微妙じゃない?」


「いやそのままだけど・・・嫌いじゃないってことは嫌いじゃないってことだろ?」


「何言ってんの?」


「嫌いじゃないってことは好意は持ってるけど好きってわけでもないってことでしょ?・・・」


「そう言うことにはならないだろ、それは解釈の問題だよ」


「未来ちゃん」

「あんたらおバカねって、パセリさんが言ってるけど・・・」


つづく。



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