第15話 ダンジョン1
なんだかいつになくせまっ苦しいと思ったらパエリとサーフラお嬢様の間に挟まれていた。
昨夜は無事?パーティも終えて寝ようかって時に2人でオレを取り合って、結局じゃあ一緒にって事になった。
オレの意見なんか何も聞いちゃいない。
思春期の少年からすれば女の子2人の取り合いの対象になるなんて夢みたいな状況なんだけど違うんだ。
この子たちは決して思春期の少年を取り合っているんじゃ無くて、あったかくてふわふわでぽよぽよの幼児って言うかペットって言うかぬいぐるみみたいなものを取り合っているんだ。
残念。
結果的に自分がどう思われてようとかわいいお嬢様方に挟まれているってのは悪くはないと思うだろう?
そうでもないんだ。
小さな子供に転生してしてから体に合わせる様に感覚や感情が変化して行っているみたいなんだ。
どんどん性的な感覚がなくなってしまってただ狭いとか苦しいと感じる様になって来ているんだ。
なんかとっても残念。
「どう?レベルに変化はあった?」
「ステータスは少しずつ上がっているんだけどレベルは1のまま。」
パエリはなんか悪いの?って顔をしている。
「レベルが上がらないとスキルが生えて来ないからなー。不便だろう?」
「何が?」
せっかくダンジョンが近所にあるんだからってさっそく来てみた。
ここは初心者向けのスタンダードな回廊型のダンジョンで20階層まである。
そんなに強い魔物は出て来ない。
いろいろなドロップアイテムが手に入るようになっていて初心者がレベリングするのに最適。
スライムやコボルト、ゴブリン、オーグの弱い奴が出て来る。
パエリの力任せでも大丈夫。
持たせている装備は勇者専用の聖衣って奴だし剣も聖剣だからね。
本当はゲームの終盤にしか手に入らないんだ。
勇者だからレベル関係なしに使えるんだからズルだよね。
「ムールってばー。お腹すいたー。もう飽きたー。帰ろう。」
パエリのやる気が尽きたみたいだ。
初めはもの珍しくて元気だったのに。
「だってー、同じダンジョン50回も周回するもんなの?」
まあかなりのドロップアイテムや金貨も拾ったし、いいか。
パエリはもうすっかり帰るつもりで両手を広げてこっちを向いている。
クリーンとヒールをかけてスッキリさせろって事だよね。
なんかオレ、ただの便利な奴って感じじゃないか?
クリーンで爽やかになったパエリはオレをひょいと抱き上げて歩き始める。
ステータスだけは充分上がっているから力持ちだ。
「ワーリク侯爵の屋敷に行くわ。サーフラがケーキ作ってくれるって言ってたし。楽しみね。」
「う、うん、そうだね。」
なんだかオレはパエリが嬉しそうにしていればそれでいいって気持ちになる。
これって勇者のスキルじゃないよね。
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