第7話 聖女

「ふーん、ステータスは少し伸びているけどレベルはまだ1なのね。」


教会のシスターみたいな人が言う。


戸外にいる村人達がみんなひざまづいている。


もう1人のひざまづいているシスターが言う。


「エリミリア大聖女様の前よ。ひざまづきなさい。」


そんな偉い人なんか?


ひざまづこうとすると。


「シスタースリメリ、勇者様とその従者になにを言っているの?」


とシスターの方が怒られた。


この世界で勇者は王より尊い絶対の存在だからね。


でもオレって勇者の従者ってポジションだったのね。


「まだ弱っちいのね。」


エリミリア大聖女の目はこっちを向いている。


エリミリアのメニュー画面を見てびっくりだカンストしているし、すでに2万年は生きている。

不死者だ。

下手をすると神よりも尊いかも。


「まあまあ強い先生がついているみたいだから任せておこうかしら。」


なんだか寒気がする。


ずーっとパエリの世話をしろっての?


いや、もちろん簡単に放りだしたりはしないけれど役割みたいに言われたくないな。


ひょいと大聖女に抱き上げられた。

ぎゅーっと抱きしめられた。


なんか弾力性のある2つの丸いもの間に挟まった。


だから中味は思春期の少年なんだからダメだって。


「頼みましたよ。」


耳元で言われた。


大聖女の足元に降ろされた時にはクターっと脱力していた。


拒絶することの出来ない絶対的な力を感じた。


訳がわかっていないパエリがオレを抱えて大聖女を睨む。


「あなた、ムールになにをしたの?」


「あなたが守りたいのなら強くなることね。あーははは。」


大聖女エリミリアが聖女っぽくない悪役風の笑い声を上げながら消えて行った。


あれって魔王より怖いんじゃないか?


大聖女エリミリアが去ってゴブリンも退治されたので村人達の緊張も薄れたようだ。


「お腹が空いた、お腹が空いた、お腹が空いた。」


それ3回言わないとダメなの。


「パン以外のものが食べたい。」


少し慣れてきたのだろう余裕が出てきたようだ。


「宿屋の食堂で夕食にしようか?」


パエリがにーって唇を横に伸ばして少しへんてこな笑顔をする。


まあこれはこれでかわいいからいいか。

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