第44話 説教の最中に通知が流れたせいで聞き取れなかっただけなのに、何度も説教を繰り返す母親から親はイカれていると思う。



「なんで昼は来なかったのかしら? それとあれだけ鍵は閉めるなって昔に言ったはずよね? 本当にどうして?」


 絶賛、俺は説教を受けている。

 その過程はもう誰もが知っているだろう。

 ちなみに鍵を閉めるなって何回も言われたのは小一の時だし、そのことを蒸し返すのはおかしいと思うし。

 かといってそんなことは言えるはずがないけど。


「いや、それは聞こえなくて……その……」


「そこは言い訳言わない。分かっ?」


「はい……すいませんでした。次からは気をつけます……」


「それ聞いたの何回目だと思ってんの? もう四桁超えたよ? どうしてこうも聞き分けが悪いんだか……」


 総怒られ回数を今まで三桁台で済むように抑えていたし、別に聞き分けは悪くはないと思う。

 むしろ、かなり聞き分けが良い方じゃないか?

 いや、そうに違いない。

 だって母さんの説教の回数って保育園の時とか小学校低学年とかに怒った回数も含んでるし。


[スキル『保育レベル1』、『教育レベル1』を獲得しました。]


 絶対に考え方がイカれてると思う。

 事実、友達に愚痴ったら毒親って言われてめっちゃ心配されたし。

 俺、環境に恵まれなかったのかな……


「話聞いてるの? ボーっとしてる暇があったら話をちゃんと聞きなさい。そもそもどうして習は昼に来なかったの? 言い訳は言わず、ちゃんとした理由を言いなさい」


 理由も何も寝てただけだしな……

 萎縮しちゃって嘘も言えなさそうだ。


「……寝て……ました……」


「言い訳は言わずに。そういったはずだけど?」


「別に言い訳じゃないのに……」


 言い訳じゃないんだけど……

 やっぱりここは嘘をついてやり過ごすしか……


「……あのね。本当に将来が……」


[スキル『虚言レベル1』、『簡易予知』、『未来予測レベル1』を獲得しました。]


 完全に馬鹿にされた。

 なんだよ。虚言って。


「聞いてるの? 聞いてなかったわよね?」

 

「すいませんでした……」

 

「もう一度言うわね。私はねそんなんで将来……」


[スキル『簡易予知』、『未来予測レベル1』を獲得しました。]

[スキル『予知レベル2』、『未来予測レベル2』に統合しました。]


 ……あのさ、同じところでわざと話遮ってない?


[スキル『遮蔽レベル1』、『情報統制レベル1』、『妨害レベル1』を獲得しました。]


 うざ。

 ってこれまた聞いてなかったとか言われて説教最初からやられるのでは?

 なんか馬鹿げてる。同じことを何度もやるなんて非効率だし不快だし。

 夕飯できたから呼びに来たんじゃなかったの?

 もう説教がメインになってる。


「話聞いてた? 私がなんて言ってたか話してみなさい」


 えっと……

 言葉が出てこない。


[スキル『言霊(物理)レベル1』を獲得しました。]


 ネタを披露しないでもらえます?

 俺の説教が延びるだけなんですが?

 母さんの前で笑わせようとしてきてるじゃんか。

 これもう実質死刑だろ。どれだけ母さんのヘイトを俺に向けたいの?

 もう、頭おかしいだろ。


[スキル『延長レベル1』、『ネタ披露レベル1』、『攻撃対象誘導レベル1』、『敵意集中レベル1』、『ヘイト管理レベル1』を獲得しました。]


「話聞いてた? 聞いてたなら私が何言ってたか分かっているわよね? ほら言ってみなさい」


 叡智さん助けて。

 いつもの悪口はさすがに謝れないけど頼む!


[スキル『叡智』による情報の記録は不要と判断された場合、自動的に消されることがほとんどです。今回のケースはその場合に当てはまるためその申し出は受けれません。申し訳ございません。]


 肝心な時ばっかり役に立たない。

 いらない時ばかりにスキルをフル活用させている。

 もうちょっと考えるってことを学んでほしい。


「ごめんなさい……聞いてませんでした」


「いい加減にしなさい。何度言ったら話を聞くの? 本当に……もう見てられない。」


 え? 呆れられた

 これ最悪捨てられる?


「取りあえず、高校卒業までは面倒は一応うちで見てあげる。その後は家から出ていきなさい」

 

 捨てられはしないっぽい。

 まあ別に自立はしたいし、そもそもこんな精神的に窮屈な家に長居はしたくない。


[スキル『自立レベル1』、『自律レベル1』、『狭小化レベル1』、『狭窄レベル1』、『居住レベル1』、『自宅管理レベル1』、『居候レベル1』を獲得しました。]


 でも自分で選択肢を減らしてしまったかも。

 あと、卒業してすぐって流石に酷くないか?

 頭おかしいだろ。

 不動産屋とか行ってさ、選ぶのにも購入するにも時間がかかる。

 それなのに受験が終わって、すぐくらいの時期に探すのは骨が折れる。

 卒業後すぐっていうのもなかなかに厳しい。


[スキル『間取り把握レベル1』、『土地作成レベル1』、『建造物生成レベル1』、『所望品探知レベル1』を獲得しました。]

[ユニークスキル『粉骨砕身』を獲得しました。]


 うっさいわ!

 今の俺はブルーなの!


[スキル『染色(青)レベル1』を獲得しました。]


 色ごとに?

 あとうるさい。

 そんなこと伝える暇があr………………


「それはそうと、説教が終わってなかったわね。」


 どうやらまだ説教は続くらしい。

 どう考えても終わりの雰囲気だったよね!?

 期待させて落とすとか鬼かよ。

 不条理が過ぎるよ……



_________________


 作者です。

 まだスキルの獲得が少ないので、ステータスは次話ではなく、第50話に書こうと思っています。それと急遽作ったので大きな修正があるかもです。

 悪しからず。

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