第33話 襲い掛かるトカゲの大群。そして俺を殺しに掛かる通知の嵐。もうやめてくれ……




 問答無用の戦闘を強いられた俺は沙耶が魔法で撃ち漏らした敵を倒すことにした。

 でも正直いって、殺せる自信はない。皆無だ。

 

 ただペナルティが分からない以上、仮にデスペナルティである場合と考えないといけない。

 そうすると殺せないなんか言ってる場合じゃない。

 そうしたら俺が死ぬことになる。

 何これ。なんかの拷問だよね?俺の心を殺しにかかってるよね?


[リザードの見た目をゴ◯ブリに変えることを提案します。忌避感により殺すことに抵抗がなくなる可能性が高いです。]


 嫌だわ! 新手のいじめか!

 なんで巨大ゴキ◯リを見ないといけないんだよ!

 控えめに言って最悪だわ!


[スキル『ゴキブリ特攻レベル1』を獲得しました。]


 ……お前ら舐めてる?

 絶対に俺のこと舐め腐ってるに違いない。

 本当に覚えとけよ。


「習くん? 何してるの?」


「いや。なんでもない。通知に舐められたところ」


「そっか……ドンマイ! じゃあ行こっか!」


「……行きたくねぇ〜〜」


 そのまま沙耶はズンズンと進んで行った。

 まるでゲームで敵を倒すようにトカゲを殺している。

 俺は惨い光景に何度も吐いた。

 そうしたらついに吐気無効とかを入手してしまった。


 これ、沙耶だけでもう良くないですか?


「あ。習くんそういえば一回も戦闘してなかったよね。取り合えず一回くらいはしとこうよ!」


 あなたがさせてくれなかっただけでは?

 毎回毎回ドカンとやって前方のやつ消し飛ばしてたじゃん。しかも顔色一つ変えずに。

 やっぱ沙耶、怖い。怖すぎる。


「え……まあやらなきゃだし。そうだな一回くらいなら」


「でもここらへんのトカゲさんは全部一掃しちゃったからな〜〜」


 何気に怖い。その発言に狂気を感じる。

 異世界系の主人公って相当イカれてることが今ここで証明されたらしい。

 まあいきなり殺しとかよく考えたら頭おかしいもんな。

 沙耶に並ぶかは知らないが少なくとも異常者しかいないんだろうな。


[スキル『狂化レベル1』を獲得しました。]


 いらない。

 俺は狂いたくない。あとうるさい。

 全く、無慈悲だ。


[スキル『無慈悲レベル1』を獲得しました。]


 おいっ、煽るな。


[スキル『無慈悲』を使用することを推奨します。]


 え? 嫌なんだけど。

 なんでそんなデメリットそうなスキルを使わないといけないんだよ。


[リザードを倒すことに抵抗がなくなると判断したためです。]


 ……確かに。

 多分俺はこのままだときっと殺せない。

 前の鳥がトラウマになってるくらいには殺すことに抵抗がある。


 分かった。使おうじゃないか。

 でも、戦闘するときだけな?

 終わったらちゃんと解除しろよ?


[了解しました。]


「あ! こっち側隠し扉あったー! トカゲさんもいるよ! ほらこっちこっち!」


「分かったから! 今行く」


 えっと……これって俺一人で行かなきゃいけない感じですかね。

 ですよね~~知ってた。

 本当に俺を殺しに来てると思う。


「私が行ったらつい全滅させちゃいそうだし習くん一人で行ったら?」


「え? マジで?」


 それは沙耶が気を付ければいいだけの話じゃないか?

 俺に押し付けるのはやめて欲しい。

 でも確かに沙耶の狂い具合的には本当にそうしてしまいそうだ。

 ……あーあ。これ一人で行かなきゃいけないやつか。


「大マジだよ? 習くん頑張って! 『完全強化パーフェクト・エンチャント!』」


 あー嫌だ。

 でも俺に拒否権はなさそうだな。


「ああ、行ってくる」


 そういえばこういう時って大体嫌なことが起きるんだよな。

 こんな変な日常になる前もあったけ?

 確か、以前電車に乗った時だ。


 先に乗っといてと言われて電車に乗ったが、さやが反対方向に行ってしまい結局俺が迎えに行く羽目になった。自分でこっちまで来てほしかったがあいつのことだから絶対にポカをやらかすと思い、俺が行くしかなかった。


 そんなとき以上に嫌な予感がする。

 まあ強制だし。

 仕方がないか。腹をくくろう……

 そのまま俺はその扉の先に入った。


[警告します。モンスターハウスに閉じ込められました。この空間では魔法が封じられます。即座に戦闘態勢に入ってください。]


 は? え? 

 ……危険察知ちゃんと機能しろよ……

 俺、こんな目に逢いたくないのに……

 武器も持ってないのにどうしろと?

 魔法使えないとかクソゲーじゃんか。


[スキル『無慈悲』が発動しました。]


 取り合えず倒せるだけ倒すか。

 武器もないのにこの状況は頭おかしいだろ。

 殴るしかないよな……

 どうか耳だけは痛くなりませんように!


[スキル『格闘術』、『拳聖術』を発動しました。]

[称号『大物喰ジャイアントキリングらい』の効果が発動します。]


 うわっ唾液かかったんだけど。

 痛っ。噛まれた。肉が見える。気持ち悪い。気色悪い。

 ……もう嫌になってきた。なんで俺がこんな目に逢わなくちゃいけないんだよ!

 ……もうコイツら絶対に許さない。


「おらっ!『正拳突き』!」


 トカゲの腹に俺の拳が食い込む。

 その瞬間、トカゲは他の集団を巻き込んで前方に吹き飛んだ。

 それも束の間、


[スキル『衝撃波レベル1』、『衝撃付与レベル1』、『蜥蜴特攻レベル1』、『水生特攻レベル1』、『格闘技レベル1』、『狩猟レベル1』、『正面突破レベル1』、『ノックバックレベル1』、を獲得しました。]


 また始まった。

 本当にやめてくれよ!

 はあ、クソっ。

 もうこの怒りもすべてこのトカゲにぶつけてやる!

 

[経験値を獲得しました。]

[レベルが17になりました。]


 は?


[スキル『自動戦闘レベル1』を獲得しました。]

[スキル『自動戦闘』を発動しました。]


 おいっ!

 勝手はよせって!

 なあ! このポンコツめ……許さん!

 おい!聞いてんのか。

 ……はあ。


[スキル『衝撃波レベル1』、『衝撃付与レベル1』、『蜥蜴特攻レベル1』、『水生特攻レベル1』、『格闘技レベル1』、『狩猟レベル1』、『正面突破レベル1』、『ノックバックレベル1』、を獲得しました。]

[経験値を獲得しました。]

[レベルが19になりました。]

[スキル『衝撃波レベル1』、『衝撃付与レベル1』、『蜥蜴特攻レベル1』、『水生特攻レベル1』、『格闘技レベル1』、『狩猟レベル1』、『正面突破レベル1』、『ノックバックレベル1』、を獲得しました。]

[経験値を獲得しました。]

[レベルが21になりました。]

[スキル『衝撃波レベル1』、『衝撃付与レベル1』、『蜥蜴特攻レベル1』、『水生特攻レベル1』、『格闘技レベル1』、『狩猟レベル1』、『正面突破レベル1』、『ノックバックレベル1』、を獲得しました。]

[経験値を獲得しました。]

[レベルが22になりました。]

[スキル『衝撃波レベル1』、『衝撃付与レベル1』、『蜥蜴特攻レベル1』、『水生特攻レベル1』、『格闘技レベル1』、『狩猟レベル1』、『正面突破レベル1』、『ノックバックレベル1』、を獲得しました。]

[経験値を獲得しました。]

[レベルが23になりました。]

[スキル『衝撃波レベル1』、『衝撃付与レベル1』、『蜥蜴特攻レベル1』、『水生特攻レベル1』、『格闘技レベル1』、『狩猟レベル1』、『正面突破レベル1』、『ノックバックレベル1』、を獲得しました。]

[経験値を獲得しました。]

[レベルが24になりました。]

[スキル『衝撃波レベル1』、『衝撃付与レベル1』、『蜥蜴特攻レベル1』、『水生特攻レベル1』、『格闘技レベル1』、『狩猟レベル1』、『正面突破レベル1』、『ノックバックレベル1』、を獲得しました。]

[経験値を獲得しました。]

[レベルが25になりました。]

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[スキル『衝撃波レベル1』、『衝撃付与レベル1』、『蜥蜴特攻レベル1』、『水生特攻レベル1』、『格闘技レベル1』、『狩猟レベル1』、『正面突破レベル1』、『ノックバックレベル1』、を獲得しました。]

[経験値を獲得しました。]

[レベルが26になりました。]

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[レベルが27になりました。]

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[経験値を獲得しました。]

[レベルが28になりました。]

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[スキル『衝撃波レベル1』、『衝撃付与レベル1』、『蜥蜴特攻レベル1』、『水生特攻レベル1』、『格闘技レベル1』、『狩猟レベル1』、『正面突破レベル1』、『ノックバックレベル1』、を獲得しました。]

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[経験値を獲得しました。]

[レベルが61に上がりました。]

[スキル『衝撃波レベル1』、『衝撃付与レベル1』、『蜥蜴特攻レベル1』、『水生特攻レベル1』、『格闘技レベル1』、『狩猟レベル1』、『正面突破レベル1』、『ノックバックレベル1』、を獲得しました。]

[経験値を獲得しました。]

[スキル『衝撃波レベル1』、『衝撃付与レベル1』、『蜥蜴特攻レベル1』、『水生特攻レベル1』、『格闘技レベル1』、『狩猟レベル1』、『正面突破レベル1』、『ノックバックレベル1』、を獲得しました。]

[経験値を獲得しました。]

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[スキル『衝撃波レベル1』、『衝撃付与レベル1』、『蜥蜴特攻レベル1』、『水生特攻レベル1』、『格闘技レベル1』、『狩猟レベル1』、『正面突破レベル1』、『ノックバックレベル1』、を獲得しました。]

[経験値を獲得しました。]

[スキル『衝撃波レベル1』、『衝撃付与レベル1』、『蜥蜴特攻レベル1』、『水生特攻レベル1』、『格闘技レベル1』、『狩猟レベル1』、『正面突破レベル1』、『ノックバックレベル1』、を獲得しました。]

[経験値を獲得しました。]

[スキル『衝撃波レベル1』、『衝撃付与レベル1』、『蜥蜴特攻レベル1』、『水生特攻レベル1』、『格闘技レベル1』、『狩猟レベル1』、『正面突破レベル1』、『ノックバックレベル1』、を獲得しました。]

[経験値を獲得しました。]

[レベルが62に上がりました。]

[モンスターハウスを完全攻略しました。]

[この空間における魔法の封印が解除されました。]


 うげっ。死ぬ……


[スキル『衝撃波レベルMAX』、『衝撃付与レベルMAX』、『蜥蜴特攻レベルMAX』、『水生特攻レベルMAX』、『格闘技レベルMAX』、『狩猟レベルMAX』、『正面突破レベルMAX』、『ノックバックレベルMAX』、を獲得しました。]


[スキル『格闘技』のレベルが最大になりました。]

[スキル『拳聖技』を獲得しました。]


[レベルが一定値を超えたことにより、スキル『偽装レベル2』、『鑑定レベル2』にレベルが上昇しました。]


[条件を満たしました。]

[称号『魔巣窟モンスターハウスの踏破者』、『殴りマジ』、『殺戮マシーン』を獲得しました。]


[スキル『亜空間収納』を発動しました。]

[スキル『精神再生』を発動しました。]

[スキル『無慈悲』が解除されました。]


 その瞬間、えげつないほどの罪悪感に襲われた。

 俺がまた殺したという事実に耐えられそうにない。

 俺は沙耶とは違うんだ。

 ……もうツッコむ気すら起きねーよ。

 最悪だ……


[システムメッセージです。モンスターハウスの完全攻略を確認しました。]

[特別なイベントが発生しました。]

[ユニークモンスター『トライ・リザード・センチネル』が出現します。]


 は? いやいやいや。

 本当にふざけてるよね!? 何考えてんの?

 俺今めちゃくちゃ疲れてんの!

 死にそうなの!

 連戦とか馬鹿じゃないの? もう戦いたくない……

 ……本当に今日は最悪だよ……………



_______________




 作者です。

 今回は連戦のため、叡智が鑑定する時間がありません。

 よって、下記で説明しようと思います。悪しからず。

 また、次回は沙耶回に続く本格的な戦闘回です。お楽しみに。



______________


【称号】魔巣窟モンスターハウスの踏破者


 モンスターハウスを攻略したもの全員に与えられる称号。

 敵対する生物が味方の数の5倍以上の時、自分以外の味方のステータスを(敵数×2)倍にする。

 またこの時、相手の攻撃を回避しやすくなる。

 補正値は敵の強さ関係なく残敵数を参照する。


______________


【称号】殴りマジ


 一回の戦闘で合計千体以上の敵を武器を使わずに物理攻撃で討伐したものに与えられる称号。

 武器を使わず、物理攻撃をした際の与ダメージが5倍になる。

 またこの時、物理耐性、物理攻撃無効を貫通して相手にダメージを与える。

 また会心率も上昇し、その上昇値は討伐敵数に比例して増加する。


______________


【称号】殺戮マシーン


 一回の戦闘で合計五千体以上を単純作業で討伐したものに与えられる称号。

 全ての物理攻撃に0.1パーセントの即死がのるようになる。

 また、この即死効果は任意でオンオフを切り替えられる。

 そしてこの称号による即死効果はあらゆる耐性やスキルを貫通する。


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