第36話 頭パンパン

「た…… 逮捕とか…… し……しないよね?」


 雪菜が肩をすぼめながら言った。

 

「しない……」


「っほ ま まあ元だし…… っで何話してたっけ雪華?」


「え…… あっ……」


(色々気になるけど…… とりあえず雪菜さんと雪乃さんに……)


「どんな人が どれくらいの人が 住んでるかなど条件次第で割合は変わりますが 犯罪をなくす事はできないんです あと一応 私の言い方は厳密にはちょっと違うって事だけ言っときます」


「できない……?」


「これは…… うーん あったかいお湯が時間が経てば冷めるのと同じくらい当たり前と言いますか…… 理由とかはなくって 私達の生きてる世界がそうなってるとしか言いようがない……です」


「わかった それは受け入れるしか無いって事でしょ それで落葉地区は?」


「例えば カナガワの人口が一千人だとして 十人に一人が犯罪者になるとします つまりカナガワの人口のうち百人が犯罪者という事です」


「うん」


「この百人の犯罪者をカナガワ中に住まわせるより 一箇所にまとめた方がいいと思いませんか?」


「百人の犯罪者捕まえればいいじゃん」


「まだ百人が犯罪を犯したとも限りませんし 全員を捕まえたところで残りの九百人の人口から新たに九十人の犯罪者が絶対に現れます」


「今まで犯罪をしてなかった人が犯罪者になるの?」


「そうです」


「変!」


「そう言われても…… この世界に平和限界が存在する限りこれは受け入れる他無いんです」


「犯罪者がいなくならないから 犯罪者のいる場所を限定して管理してるって事?」


「タイガさん! そうです! それをって…… 名前は別にどうでもいいです……」


「行動社会学?」


「っあ はい 高校では治安維持の分野を…… け 警養関では必修です……よね?」


「……」


 インガは何も言わずに黙った。それは雪華が警養関であるかどうか鎌をかけてきたからだった。


「正直納得はできてないけど 雪華が言うなら……」


「落葉地区の破壊にこだわる必要は無いです 私も考えるので別のことにしませんか?」


「考えてくれる?」


「はい! もちろんです!」


「じゃあ 今日はもう頭パンパンだから 寝る!」


 時刻はもう既に零時を回っていた。


 次の日、雪菜が布団から姿を消していた。


 机の上には『シロフクロウ』からの置き手紙が置いてあった。




✴︎後書き

最後まで読んでくれてありがとうございます。

やっと話が進みそうです。

行動社会学はぎり現実にないはずです。


修正加えました。

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