日陰者だった俺が異世界でシノギを削る

おふとん

プロローグ

 暗い路地裏にひとりの男が立っていた。

 

 その男の名は黒木龍一(くろき りゅういち)。裏の社会では”黒龍”と恐れられた男である。

 

 彼は冷たい夜風に身を寄せ、懐から取り出したタバコに火をつけた。煙が彼の口から吹き出すと、彼の表情にはどこか無機質な冷たさが宿っていた。


 龍一は暴力団の一員だった。数々の抗争や血で染まった闇の世界で、彼は生き抜いてきた。しかし、彼の心にはいつも何かが欠けているように感じられた。彼は自分が本当に求めているものが何なのか、そして本当の力とは何なのか、探し続けていた。


 ある日、龍一は上からの命令を受け、ある倉庫の取引の場に向かった。しかし、その取引は思わぬ事態に発展する。


 彼は仲間からの裏切りに遭い、背中をドスで刺された。全身を激痛が襲い、ゆっくりと地面に倒れ込む。視界は次第に暗くなり、最後の息を引き取ろうとしていた。


 そのとき、意識が混沌とした中でふわりと浮上し、周囲の光景が一変した。 龍一は地上から引き裂かれるような感覚を覚え、突然、目の前が明るく輝く光に包まれたのだ。

 

 彼が次に目覚めたのは、見知らぬ景色に満ちた異世界だった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る