跳んでモナカ。(ウルチョラウーマン・デリージョ )

猫野 尻尾

第1話:ゴースト・イン・ザ・モナカ。

さて、ここはキューカン町、フクロウ商店街三丁目4番地。

フクロウ商店街の一番端っこに橋がかかっていてその橋を渡ってすぐの川の

ほとりに僕の家兼親父の工房がある。


僕のお親父は科学者。

名前は「和菓子田 外郎わがしだ ういろう

工業用ロボットなんかを製造してる会社に勤めている科学者兼技術者。

発明家でもある・・・自称だけど。


そして僕の名前は「和菓子田 大福わがしだ だいふく」17歳高校生。


僕には三つ歳下の「和菓子田 モナカ」って妹がいて家族三人暮らしだった。

お母さんはモナカが生まれてすぐに病気で亡くなったんだ。


それ以外は平和だった我が家にまたまた不幸が起こった。

妹のモナカが不慮の事故で亡くなったんだ。

交通事故だった。


僕はショックから立ち直るまで、ご飯も喉を通らなかった。


とくに親父はモナカの死を受け入れられず、連日地下の工房に籠もった。

なにかに夢中になってないと、やりきれなかったんだろう。


親父の作るものはほとんどが使い物にならないガラクタやポンコツばかり。

たいして役に立たないものばかり作っては発明品を持ち込んで特許申請も

してはいるが取れた試しがない。


親父が工房jから出て来ないので、なにを作ってるのか知りたくて覗いて

見たけど、分からなかった。

だけど、そのうちそれが形を成し始めると僕にも分かってきた。


人の形をしたそれを親父に聞いてみた、そしたら、モナカだって言う。

モナカだって?

そう・・・親父はモナカを作ってたんだ。


親父はモナカの脳を保管してて、それでモナカのサイボーグを作ってた。

ロボットでもなくアンドロイドでもない・・・サイボーグ。

脳は人間の時のまま生きていて、体だけが機械・・・つまり義体。


こうして僕にサイボーグの妹ができた。

だけど、事故の後遺症でモナカの脳の記憶の一部が欠落しているらしく

それが原因で知能が少し遅れたポンコツサイボーグが生まれることになった。


つまり、教育が必要ってことらしい。


サイボーグとして生まれ変わった「和菓子田わがしだ モナカ」


モナカは生まれたばっかだから歳は0歳。

でも、もとは三つ歳下の妹だからね・・・当年とって15歳ってことになる。


それはいいんだけど今のモナカは人間の赤ちゃんに等しい知能。

欠落した記憶を埋めなくちゃいけない。

会社でうんざりするくらいそんな作業をやってる親父は、そう言うことに

飽き飽きしているのかモナカの教育を僕におしつけた。


大福が世話しろってわけ。


作るだけ作っておいて、あとは知らんぷり? 仮にもモナカの父親だろう?

僕の飽きっぽい性格は親父に似たのかも。


なわけで僕はモナカの教育と面倒を見なきゃならなくなった。

断ってもよかったんだけど、可愛い妹が戻ってきてくれたんだ、それだけでも

モナカの面倒を見てやる価値はあるってもんだろ?。

それにモナカが生きてた時だって面倒は見てやってたし・・・。

引き受るしかなないだろう?


で、モナカが最初にしゃべった言葉は「アホ、ボケ、死ね」だった。


「完全にバグってる・・・」


治してやれば問題はないと思うけど、まあ一応言語機能はちゃんと働いて

るみたいだ。

これが口癖にならなきゃいいけどね。


作業はラインをつないで脳に直接データを入力するんじゃなく人間と同じで

目で見て耳で聞いて覚える・・・僕は電脳とかデジタルのは詳しくないから

しかたない。

原始的な教育がはじまった。

無機質にデータをインプットするよりは子供を育てるようにコミュニケーション

を取りながらのほうがモナカにはいいみたいだ。

AIと違ってモナカの脳は人間の脳だから疲労だってする。


ひとつ心配なことがるとしたら、それはモナカは親父が作ったってこと。

発明品「ガラクタ」と同じでポンコツだってこと。


それだけが一番心配。


てなワケで未知数なモナカと僕たち親子の三人の生活がはじまった。

というより親父はモナカの教育には感知しないつもりらしいから僕とモナカの

二人だけの生活ってとこだな。


とぅ〜び〜こんて乳。


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