第2話 どケチな上司

どケチな上司がいた。

営業所の責任者であるにもかかわらず、ランチ会や飲み会では一文たりとも多く支払うことはない。むしろ足りない分を部下に払わせる始末だ。

自分の金だけでなく、会社の金にもうるさい。

たとえそれが100円であろうとも、上司の個人的見解で必要ないと判断すれば、経費で落としてはもらえない。


そのため、タカナシ含む営業所のメンバーは稟議がまわせず、仕事で必要なものも泣く泣く自分で購入する羽目になっていた。



営業所では、ちょくちょくパソコンを別の場所や社員の自宅に発送する必要があった。

その日も、社員から急ぎの発送依頼が来た。


しかし、梱包材の在庫がない。

梱包材にどケチ上司の発注許可はおりない。

近くに買えるお店もない。

自宅からもプチプチを持参したりしてはいたが、すぐに足りなくなってしまう。



仕方なく、自分は社内にあったもので隙間をうめて、社員の自宅に送付した。



後日。



社員は、出社してくるなりツッこんできた。

「タカナシさん、事情はわかってますけど、ゴミが届いたかと思いましたwww」

彼も稟議がおりない被害者の一員である。



すまぬ、N氏よ。

傷がつかぬよう、社内にあったサブウェイの袋にpcを入れ、

壊れないよう、伝票を剥がしたヤマト便の袋を何個も何個も入れて、隙間をきっちり埋めさせてもらったよ。








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る