ライトノベル作家への道(カクヨム編)

逆霧@ファンタジア文庫よりでびぅ

第1話 僕、ライトノベル作家になる!

<登場人物>


勇太くん

 小学五年生

 父親がギャンブル狂いで、いつも家にはお金がない。

 一獲千金を夢見て小説家を目指す。


フォグ博士

 ライトノベル研究所の所長。

 近所に住む子供たちを連れ帰っては、小説の書き方を教えている


さつきちゃん。

 勇太くんのクラスメイト。

 小説研究所の建物の大家さん一家の娘。

 最近勇太くんの事が気になっている。


リバース・フェニックス

 フォグ博士の飼っているオウム。

 フォグ博士の足りないナニかを補う。

 ライバルは、あのトリ。



 ◇◇◇



 とても暖かい日曜日でした。


 勇太くんの家では、いつものように朝から揉め事です。父親が生活費を握りしめ、パチンコへ行くと言っています。母親が必死でそれを止めようとしますが、父親は生活費を持って強引に家から出て行ってしまいました。


「しくしく……」

「お母さん、泣かないで」

「でも、今月の生活費が……」

「ほら、今日こそはお父さんも大勝ちして帰ってくるかもしれないじゃん」

「あの人、ギャンブル弱いから……」


 確かにお父さんが勝ってきたのを勇太くんはあまり記憶していません。一瞬言葉に詰まった勇太くんでしたが、お母さんを安心させなければいけません。


「大丈夫だよ、それなら僕が稼ぐよ!」

「勇太? 一体何を言っているの?」

「三丁目のフォレストビルのおじさんが、書籍化作家になるノウハウを教えてくれるって言ってたんだ」

「フォレストビルのおじさんって……算数塾の?」

「算数以外にも趣味でライトノベル作家になるための勉強を教えてくれているんだって。お金もかからないからお母さんは心配しないで」

「勇太、あんたまさか……ワナビ―になるっていうの?」

「大丈夫、僕を信用して!」

「ゆーたー!」


 勇太くんはお母さんの制止を振り切って家を飛び出しました。

 そしてそのまま、三丁目のフォレストビルへ向かいました。


 フォレストビルは、四階建ての少し古めかしい昭和感あふれるビルです。その二階には「ライトノベル研究所」という看板がかかっていました。

 少し重いドアを勇太くんはギィと開きました。


「博士! 来たよ! 勇太だよ!」


 すると、奥からは立派なあごひげを弄りながら、少し太めのおじさんが出てきました。


「おお、勇太くんか。どうしたんだ?」

「どうしたって、ライトノベル作家になるやり方を教えてくれるって言ったじゃないか」

「お、おうおうおう。そうだったそうだった。ふむ、まかせたまえ」


 おじさんの名前はフォグ博士。このライトノベル研究所の所長をしている人です。フォグ博士はニヤリと笑い、勇太くんを奥の部屋へ連れて行きました。


 奥の部屋には、壁際にキャスター付きのホワイトボードが置いてあり、それに向かって3列の長いテーブルと椅子が置いてありました。


 まるでちょっとした教室の様です。


 博士は夜にはそのまま数学の塾を経営していて、そのお金で何とかこの研究所を成り立たせている苦労人でした。



「じゃあ、まずはライトノベルとは……」


 フォグ博士が話し始めた時、バンと大きな音がして一人の女の子が部屋に飛び込んできました。


「フォグ博士!」

「あ、さ、さつきちゃん……。ど、どどど、どうしたんだい?」

「どうしたじゃないでしょ。また今月の家賃が入金されてないってお父さんが怒ってたよ!」

「あ、ら、来週には払うって、ホントだからっ」


 どうやら、フォグ博士はこの部屋の家賃を滞納しているようです。カンカンに怒るさつきちゃんは、ふと教室に勇太くんが目を丸くして座っているのに気が付きました。


「あっ……。ゆ、勇太くん?」

「さ、さつきちゃん……?」


 二人の様子を見てフォグ博士は何やら悪い顔をします。


「おやおや、お二人はお知り合いだったのかな?」

「さつきちゃんは学校の同級生なんだ……」

「そ、そうよ……勇太くんは、たっただのクラスメイト」


 二人はすぐにナニかを否定するかのように、クラスメイトというのを強調していました。フォグ博士はハハンと笑います。


「なるほど、今日はね、勇太くんがライトノベルの作家になるためにここに来たんじゃ」

「ライトノベルの作家? 勇太くんが?」

「う、うん……」


 勇太くんはちょっぴり恥ずかしそうに答えます。


「そうだ、これから勇太くんにライトノベル作家になるためのレッスンを始めるんじゃ。もしよかったらさつきちゃんも一緒にどうかな?」

「え? 私は……」

「勇太くんと一緒にがんばろうじゃないか」

「勇太くんと? ……う、うん。私、がんばる!」


 さつきちゃんは恥ずかしそうに勇太の事をチラ見すると、高らかに宣言をしました。


 こうして、二人はフォグ博士の授業を受けることになりました。



 この物語は、ライトノベル作家を目指す二人の少年少女の熱い汗と情熱の物語です。




※異論暴論色々出るかもしれないので、基本コメントに返信はしない方針ですw

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