俺、雷でバチバチ遊んでたら、人気配信者の危機を救ってバズったらしい。

シロイ

第1話

「暇だなぁ」


俺――鳴神なるかみ なつは独りごちた。


いつもの午後の授業が終わりあとは帰るだけの暇な時間。

周りのヤツらはこれから始まる部活や遊びに行く約束などを取りつけていた。


「相変わらず暇そうな顔してんな、夏」


親友の水瀬みなせ れいが話しかけてきた。こいつは、いいとこのお坊ちゃんだが面白いやつだ


「そんな君にいい情報をあげよう」


いい情報?なんだそれは?暇してたし、少しくらいは聞いてやろう(上から目線)


「いい情報ねぇ、それでその情報とは?」


すると怜は待ってましたと言わんばかりに言った。


「来週、近くにあるダンジョンが一般公開されるんだよ」


ダンジョン、この世界に突如として現れた建造物。その中には、ゲームなどにいる魔物が沢山いる。一般的には危険が潜んでおり、危ない場所だ。


だがダンジョンは世界各国の技術を発展させた。この日本も数十年前までは、エネルギー不足や、貧困などに苦しんできたがダンジョンの出現によって、それらが大幅に改善された。と授業で習った。


「それに隣のクラスの配信者、たちばな 一華いちかがそのダンジョンで配信をするらしいんだよ」


橘 一華、彼女はダンジョン配信というものをしていて、その可愛らしい見た目に加え、ダンジョンの中層まで潜ることができるという実力派の配信者だ。


「へぇ、後半の情報はいらないけど、あのダンジョンが一般公開されるのか」


一般公開されるということは、比較的安全であり、ダンジョンの中が下層まで攻略された。ということだ。


「その話をするってことは、お前ダンジョンにでも行くのか?」


「いやいや、ダンジョンなんか行けるかっての。怪我して帰ってでもしてみろ、ぜってえ親にぶっ飛ばされる。それに俺は見る専なんだ」


「あっそう。じゃあ俺になんでこの話をしたの?」


俺は疑問に思ったことを怜に聞いてみた。


「毎日、毎日お前と話してると、暇だ暇だってうるせぇからだよ。いいだろ?面白そうな話題だっただろ?」


「まあ、面白かったな」


「だろ?ってことでお前がダンジョンに入るための手続きは完了してるから、来週行ってこい」


「は?」


こいつなんて言った?俺がダンジョンに入るための?手続きを?終わらせた?


?????????


「待って?おかしくない?お前が俺のダンジョンの手続きを終わらせたの?なんで?」


「そこは、家の力を使ってよ」


そうだったこいつボンボンだった。こんなところで、常識が通用しなくなるのかよ。


「いやいや、行かないよ。そもそも知識も何もないし。お前と一緒で危ないところには行きたくねぇよ」


「まあまあ、落ち着きなさいよ。夏くん?ダンジョンに入る前に、講習が開かれて色々と知ることもできるし、最低限の物はこっちで揃えちゃうから」


「くん付けすんなキモイ。そんなに色々してくれるのも嬉しいが、ダンジョンには行きたくない。いくらお前の頼みでも無理だ」


「それじゃあいつも通り、じゃんけんをして勝った方の言うことを聞くってのはどうだい?」


俺たちは、意見が違った場合毎回じゃんけんをして決めている。これが1番手っ取り早いからだ。


「うーん、だけどな」


これは下手をしたら命に関わりがあるかもしれない。だから、じゃんけんごときじゃ決めるのは難しい。


「じゃあ夏が勝っても負けても、6ヶ月分の家賃をだそう」


「何やってんだ、さっさとやるぞ」


ごめん、それには勝てないわ。


「「最初はグー!じゃんけん、ぽん!!」」










時はたち、翌週探索者連合前。


「どうしてこうなった」


あの後、怜とじゃんけんをし見事大敗北を期した俺は、約束通りダンジョンに来ていた。行かないっていう選択肢もあったが、今日の朝に『まさか行かないなんてことはないよねぇ〜』と煽られたので、対抗して『行ってやらァ』と言ってしまった。


「ま、まあ6ヶ月分の家賃を約束に来たんだ。条件としては破格の条件だ」



「186番でお待ちの、鳴神 夏様。能力調査室へと移動してください」


ついに自分の番になった。すーごく長かった。扉を開け入ると、中には試験官?が2人居た。そしてその前には、水晶があった。


「ではお座りください」


「はい」


「では質問をします。あなたの職業を教えてください。」


「私は明星高校に通っている1年生です」


などの簡単な質問をされ、最後に水晶をわたされた。


「最後にあなたの能力を調べます。なにか質問はありますか?」






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