闇のフィクサー

えびえびえび

エピローグ

「あー、失敗したなぁ…」


拳銃で撃たれた出血が止まらない腹部を抑えながら凛は今までの事を振り返っていた。


周りにはサングラスをかけたスーツ姿の俺のボディーガード達が数十人おり、必死に

この拠点を襲った麻薬の餌食となった奴の親族と撃ち合いをしていた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


俺がこの世界に入ったのは19そこらの時だった。

両親が共に交通事故で他界し、大学に入学したと同時に独り身となってしまった。

奨学金などの支援金を借りれば何とか大学には行けたが、気力がなかった。

最愛の両親が2人同時にこの世を去ってしまったのだ。

そのショックで5日ほどショックで何も食べずに毛布にくるまった。

1週間ほどしてようやく動けるようになり、メシはコンビニ弁当やカップ麺でしのぐ

ようになり、毎日スマホやパソコンで職を探していた。

両親が口癖のように言っていた「とにかく幸せになりなさい」

という言葉だけを思い出して、一生懸命高額なバイトを探していた。



ある日、いつものようにパソコンにかじりついて求人広告を見ていると、

とんでもない高額報酬の仕事が目についた。

『完全歩合制(月給最高100万) 希望勤務日重視 服装自由 ノルマ有』

(何だ?…これは…)

凛は喰らいつく様に求人広告の電話番号に連絡し、即採用となった。

それが凛の最初の裏の仕事であった。



最初は事務所のような場所に入り、そこでパケに入れられた白い粉を数十袋渡された。

翌日から組織から言われた隠語を使いながらネットで客を探して、売場を始めた。

凜はねずみ講方式でどんどん客を増やしていった。



10年後にはが経つ頃には組織の若頭まで上り詰め、組織の規模自体も大きくなっていった。

それから数年後、独立を果たし、凜は自分の薬だけを扱う組織を立ち上げた。


新しく立ち上げた組織では麻薬の密輸をより簡単にするために、麻薬探知犬が空港や税関で探知できないような完全無臭の麻薬の開発に取り掛かった。


5年がかりの研究でようやくその麻薬は完成し、密輸の成功率は格段に跳ね上がった。


そのおかげか、また数年たつ頃には『日本の麻薬王』と言われるまでになっており、海外進出もしていた。


少しずつだが中国、フィリピン、マレーシア、韓国など…着々と主にアジアで活動範囲を広げていった。



それからしばらくた経つと凛にアジアでは敵と呼べるものはいなくなっていた。



(とうとう世界を相手にする時が来たか…)



そんなことを海外の拠点の1つで考えてたいた矢先だった。


突然爆発音がし、ボディーガードの一人が俺がいる部屋に駆け込んできた。


「凜さん、襲撃です!」

そうボディーガードが言った瞬間俺の背後の窓ガラスが割れ、手榴弾が投げ込まれた。


俺は必死に壁に掛けてあったサブマシンガンを手に取り、ボディーガード数人と共に部屋を出た。


それからは必死にボディーガード達と応戦するも敵の方が圧倒的に数が多く、一人…

また一人…と護衛は散っていった。


ついには俺も腹に銃弾を食らい、地面に倒れこんだ。

不思議と痛みはないが腹が熱く感じられた。



腹を撃たれてら数分後、少し血の気が引いて、敵が何か言っているのが聞こえた。



「息子の仇だ!クソ野郎めが!」


てっきりこの国の現地組織が抗争を始めたものだと思っていた俺は驚いたと同時に、意味が分からなくなった。


(どういうことだ?…仇?まさか俺がが売った薬で薬中になって死んだ奴の家族か?

馬鹿馬鹿しい…俺は薬を売っただけだぞ?買ったのはてめえの息子で俺は買うように強制してなんかもない…なのにどうしてあんなに怒るんだ?…)


長年薬を売り歩いている凜には遺族の感情が理解できなかった。


そんなことを考えてるうちについに護衛のボディーガード集団は全滅した。


床は血のプールになっており、遺族たちが必死にボディーガード達を一人一人俺かどうか確認していた。


最後の抵抗をしようと近くにあった長年使っているカスタム済みのMac10を手に取ろうとしたが、手を伸ばすのがやっとで持ち上げる力は残っていなかった。


徐々に体温が低くなっていくのが自分でも理解できた。


そしてついには…


(あ…意識が朦朧としてきた。そろそろ限界かなぁ)





そこで俺の意識は途切れた。

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