やっちまったのはどっちなんだい

 私は珍しく焦っていた。朝、くだらないジャケ写風の寝癖画像を作って、近況ノートに上げて遊んでいたせいで、歯医者の予約に遅れそうになっていたのだ。


 2月も半ば。暖かさも中途半端で、息子の部屋でちょうど良さそうな上着をパクっていこうと物色していた私は、足元に落ちていた書類の束で滑って足を捻ってしまった。


 全部断捨離したろか。眠れる断捨離魔王である私を刺激する汚部屋。いやしかしこんな時こそ呼吸を整えねばならぬ。


 ちょっと遅刻だなあと思いつつ。ユージュアル・サスペクツごっこで少し足を引きずりながら、ゆっくり歩いて1分圏内にある歯医者に行き、診察券を出そうとすると……。


 そこには『2月14日』と予約日が書いてあるではないか。ちょうど抗生物質を飲み間違えたと電話した日の翌日。


「す……すみません。予約日間違えてました」


 震える私に、受付嬢も別の意味で震えていた。


「だ、大丈夫です。んふ、ふふふ。私もあの時きちんと確認していませんでしたので、ふふ……すみません。先生には言ってあります。どうぞ診察室へ……ふひ」


 お互い確認不足。私は震えたまま診察室に向かい、茫然自失のていで、歯の治療をしてもらうのであった。


 そして、麻酔なしのコウジの治療は、自失していてさえ、とても痛かったのである。


 許さない、コウジ。(八つ当たり)


つづく

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