第17話 わからせ姉妹丼を堪能した!

 ヒョーガキランドを出た俺たちは、ワカラセチャイナ大陸に山賊団のお宝があるという情報を聞きつけたので、まずはそこへ向かってみることにした。


 大陸に上陸して三日。山賊団のアジト『凌辱泊りょうじょくはく』へ向かう途中、道端で一人の女の子が泣いているのに出くわした。


 女の子は見たところJS5~6くらいだろうか。長く伸びたブロンドの髪はボサボサで、着ている衣服も薄汚れてまるで浮浪児のようだ。


 女の子はうずくまってしくしくと泣いているのだが、時折り見せる目つきに俺はすぐさまメスガキ臭を感じ取った。


「おやおや、こんなところでどうしましたか?」


 俺が気をつけろと叫ぶよりも前に、シコルが目にも留まらぬ早さで女の子の元へ駆け寄ると声をかけた。


 こういう時は本当に素早いなこいつ。そして、シコルが女の子の肩にそっと手をかけたその時だった。


「はい、おじさんアウト~♡」


 それまでしくしくと泣いていた女の子の顔がニタァっとした底意地の悪い笑みに変わった。


 カシャ、カシャカシャ!


 そして、どこからともなくカメラのシャッター音が鳴り響いた。


「今のばっちり写真撮っちゃったもんね~♡」


 するともう一人、道端の木陰からスマホを手にした女の子が出てきた。こっちの女の子は泣いている女の子よりも少し上、JC1~2くらいだろうか。同じように髪はボサボサ、着ている服もボロボロで、髪色や顔立ちからするとこの二人は姉妹のようだ。そしてこの子からもとてつもないメスガキ臭が漂っている。


「こ、これは一体どういうことですか!?」


 状況を飲み込めずにオロオロとするシコル。


 いやお前、見事にはめられたんだっての。道端では何があっても絶対女の子に声をかけてはならないってのは常識中の常識でしょうが。


「おじさん、それ声かけ事案だからね♡ 証拠もばっちり押さえたから♡」


 姉と見られるメスガキが、無慈悲な笑みを浮かべてスマホをシコルへ突きつける。


「あ、いや、その……、わ、私はそんなつもりではなく、神に仕える者として純粋に目の前の女の子を助けようとしただけで………」


 氷河期おじさんの悲しいさがなのか、シコルは見苦しいほどに狼狽えて身の潔白を訴える。


 だが、こうなってしまったらもはや手遅れ、こちらのいかなる主張も通用しない。


「声かけだけじゃなくて、手も触れてたからこれって強制わいせつでもいけるじゃん♡」

「いやいやいや! 私は本当に親切心から声をかけて助けようとしただけですから!」

「そんなのかんけーねーから♡ つーことで、これ拡散されて社会的に死にたくなかったら、有り金全部おいていけ♡」

「わ、わわわ、わかりました! お金は全部あげますから、どうか拡散だけはしないでください、お願いします!」


 有り金だけじゃなく、着ている服まで脱ぎだしたシコル。


「そんなくせー服はいらねーし♡ つーか、そこにいるおっさんにババアも同じだぞ~♡ 有り金みんな置いてけよ~♡」

「やったね、お姉ちゃん♡ これで今日の晩ご飯は久しぶりにご馳走食べられるね♡」


 なるほど、このメスガキ姉妹はここで通りすがりのおじさんを罠にはめては金品を巻き上げているというわけか。それにこの辺りは山賊団のアジトにも近いし、もしかするとこの姉妹は山賊団の一味なのかもしれない。


 何にせよ、こういう悪いことをするメスガキどもをきっちりわからせてやるのが大人の務め、いや、氷河期おじさんの務めってもんだ!


 俺は《わからせ棒》を使った。


「ふぇ? 何それ?? あ、あたしに触れたらアウトだって言ったじゃん! や、やぁだぁ! お姉ちゃん、助けて……ひゃあ゛あ゛あ゛」


 俺は《わからせ棒》を使った。


「い、痛い痛い! あっ、あんっ、はッ……、や、やめて! ひっ、あうっ、ふぇええん……、いやらぁ! あんっ、あっ♡ ハッ♡ んあっ♡ あひっ♡ あああ……♡」

「ちょっとおっさん! 妹に何やってんの? それってガチで犯罪だから! 妹から離れろ! え? やだっ! こっちくんな、ざこ!」


 俺は《わからせ棒》を使った。


「さ、触んなっ! は、放せよ、クソざこ! や、やだ……、お願い、やめて! い、いやあああああ! こほぉおおおお……、お゛お゛お゛お゛お゛」


 俺は《わからせ棒》を使った。


「あっ、はんっ、おっ、んあっ……、あ、あたしらにこんなことして、あんッ、はっ、タダで済むと思って……ひゃん♡ あっ♡ はんッ♡ おっ♡ んおっ♡ ああっ♡」

「あぁ! お姉ちゃんばっかズルい♡ あたしにも~♡ あんっ♡ んおっ♡ おッ♡ ふぉ♡ だめ、お姉ちゃんあたしが先なの♡ あ゛♡ おんッ♡ あひっ♡ お゛っ♡ ふおっ♡」


 俺は《わからせ棒》を使った。


「ああん、お姉ちゃんあたしにも~♡ あんッ♡ おっ♡ ん゛おっ♡ はああ♡ こらぁ、あたしが先って言ってんじゃん♡ あぁ♡ ひッ♡ あ゛んっ♡ お゛ふっ♡ ズルいズルい~、あたしも~♡ じゃあ一緒にしよ♡ うんお姉ちゃん♡ あッ♡ あ゛ひっ♡ あんッ♡ いいっ♡ お゛んっ♡ ふっ♡ ひあああああ♡ はあああああ♡」


 こうして俺はわからせ姉妹丼を心ゆくまで堪能した。


「ただの氷河期のクソざこおじさんだと思ったけどなかなかやるじゃん♡」

「お金や宝石なんかよりすんごいお宝持っててびっくりしちゃった♡ ねぇおじさん、そのお宝もっと欲しいんだけど♡」

「あぁ、お姉ちゃん独り占めはダメだよ~♡ あたしだっておじさんのお宝いっぱい欲しいもん♡」


 メスガキ姉妹にすっかり懐かれた俺は、せっかくなので姉妹丼をおかわりした。


「おい、コドージ! 姉妹丼を独り占めとはズルいではないか! ワシらにも一口味わせてくれい!」

「ムフーッ! そ、そうですよコドージ殿! 私にもぜひ! で、できれば私は妹の方を……」


 ヤライソにシコルが目の色を変えてせがんできたので、俺がたっぷり堪能したあとに好きにさせてやった。


「あたしはでカツアゲといこうかしら!」


どうやらトヨーコは、このメスガキ姉妹を丼ではなくカツアゲでいただくつもりのようだ。


 いやお前、そんなメニューなんてないから。やはりこの女のメスガキへの恨みは根深く、そしてどこまでも金には貪欲だわ。


 ひとしきりみんなでわからせたあとにメスガキ姉妹に話を聞いてみると、やはりこの二人は山賊団の一味ということだった。そこで俺たちは、このメスガキ姉妹の案内で山賊団のアジト『凌辱泊』へと向かうことにした。

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