第10話 シコルにヤライソ、そしてトヨーコの本気を見た!!

 砂漠の国メスシスをあとにした俺たちは、恥中海と呼ばれる海を越えるべくジイオーラルタル海峡へとやってきた。


 この海峡には大陸を結ぶ大きな橋が架かっているのだが、そこを渡るには関所を通らなければならない。

 

 早速その関所へ行ってみると……。


「おじさんたちどっからきたの?♡ あ、聞くまでもないか♡ どう見ても氷河期だもんね♡」


 開口一番にそう煽ってきたのは、関所の役人とみられるメスガキだった。


 役人の制服なのか、高校のブレザーのような服を着たメスガキは、年齢もJK1、2くらいに見える。しかもその制服をギャルのように着崩していて、胸元から覗く挑発的な谷間がわからせ心をくすぐってくる。


「おじさんたち、ここを通りたいの?♡ だったらあたしをわからせてみなよ♡ まぁざこなおじさんたちにはムリだろうけど~♡ きししししし♡」


 ずいぶんと威勢のいいメスガキだな。いいだろう、なら望み通りさくっとわからせて……。


「コドージ殿! ここは我らに任せてはくれませんか?」

「さよう! 《わからせ棒》などなくても、ワシらにだってわからせることができるところを見せてやるのじゃ!」


 俺が《わからせ棒》を使おうとしたところ、それを制止してシコルとヤライソがそんなことを言いだした。


「あたしだって、たまにはこの手でメスガキをぎゃふんと言わせてやりたいわ!」


 二人に続いてトヨーコまでもがそんな風に息巻いている。いや、ババアのお前にわからせることなんてできないだろうが。


「ふんっ、あたしにはがあるもの!」


 トヨーコが不敵な笑みを浮かべながら拳を握りしめた。


 え? そっち?? ガチな物理攻撃をかます気かよ!


 ていうかシコル、お前この間JKはメスガキじゃないとか言ってなかったっけ? 目の前のメスガキはどうみてもJKくらいなんだがそれでもいいのか??


 色々とつっこみたいところがあるものの、まあいい。そこまで言うのなら見せてもらおうじゃないか、お前らの本気ってやつを!


「ちょっと~、あたしのこと無視して氷河期同士で何ごちゃごちゃやってるわけ~♡ まぁざこが束になってかかってきても全然余裕だしぃ~♡」


「ふんっ! 吠えていられるのも今のうちじゃ、メスガキ! 推して参るぞ!」


 パラリララリラ♪


 ヤライソは『スカピー』の魔法を唱えた。


 しかしメスガキにはきかなかった。


「え、何なに~?♡ あたしのこと魔法で眠らせようとしてんの~?♡ でもきいてねーし♡ きしし♡」


 パラリララリラ♪


 ヤライソは『スカピー』の魔法を唱えた。


 しかしメスガキにはきかなかった。


「きかねーし♡ ジジイ、クソざこ過ぎる~♡ ほらほら~、もっとかけてみろよ~♡」


 パラリララリラ♪


 ヤライソは『スカピー』の魔法を唱えた。


 しかしメスガキにはきかなかった。


「きっしししし♡ もうムリじゃね?♡ つか、どうしたのジジイ、悔しいの?♡ 顔がゆでだこみたいだよ?♡」

「ぐぬぬ……、なぜ、なぜワシの魔法がきかんのじゃあああ!」


 その後も何度やっても魔法はメスガキにはきかずに、その度に煽られまくるヤライソのメンタルがそろろそ限界に達してきたようだ。


 パラリララリラ♪


 シコルは『アオラレン』の魔法を唱えた。


 ヤライソの煽り守備力が5上がった。


 パラリララリラ♪


 シコルは『アオリミ』の魔法を唱えた。


 ヤライソのAHP(煽りヒットポイント)が20回復した。


 ほう、シコルのやつ、ヤライソの煽り守備力を上げたりAHPを回復してやったり、僧侶としての役割をしっかりと果たしているじゃないか。


 俺はちょっとだけシコルのことを見直した。


 パラリララリラ♪


 ヤライソは『スカピーマ』の魔法を唱えた。


「何度やっても無駄だってジジイ♡ じゃ、そろそろこっちもガチで煽って……ムニャムニャ」


 『スカピーマ』は『スカピー』の上位魔法で、そのためか魔法がきいてメスガキを眠らせることに成功したようだ。ヤライソめ、出し惜しみなんてしないで最初からその魔法使っとけっての。


 ここからの展開はもはや一方的だった。シコルやヤライソが眠ったメスガキを容赦なくわからせていく。


「ちょっとどいて、二人とも!」


 トヨーコがわからせている二人を強引に押しのけると、メスガキに拳をお見舞いし始めた。


「このっ、このっ! お前らいつもいつも商売の邪魔をしやがって! もう二度と商売できなくしてやるんだから!」


 え!? 拳ってのは殴るんじゃなくて、まさかのそっち??


 《わからせ棒》がないババアのトヨーコがどのようにわからせるのかと思ったら、拳を使っての想像の遥か上をいくわからせ方だった。


 商売の恨みは恐ろしいと思うのと同時に、俺はトヨーコの闇を垣間見た気がしてめっちゃドン引く。


 こうしてシコル、ヤライソ、トヨーコの三人は、連係プレーによって関所のメスガキをわからせたのだった。


 あれ? 今回、俺わからせてないんだけど??

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