【用語解説】

 【邪神の息吹】


・大量の瘴気が源泉から放出、広範囲に拡散する事によって引き起こされる大規模な厄災。暗雲による日照率の減少、大雨や強風など異常気象の増加、大気や土壌、水質の汚染、疫病の蔓延、自然荒廃、凶作と飢饉、極度の飢餓による生物の狂暴化や突然変異、アンデッドの大量発生が、地域によって発生時期は異なるものの世界各地で起こり、百年単位で発生と終息を繰り返す。



 【魔素マナ


・世界に満ちる元素。魔素マナや魔力は地水火風光闇ちすいかふうこうあんの六属性に分類される。魔素マナは『地脈』を通じて世界全土に行き渡り、『源泉』から放出されて拡散する。魔素マナが豊富に溢れる地域では地形や動植物も影響を受ける。



 【瘴気】


・『邪神の息吹』の原因となる有毒素。その正体は高濃度の闇属性魔素マナ。これが地脈や源泉から大量に溢れ出る事で『邪神の息吹』が発生する。闇属性故にアンデッドに好影響を及ぼし、瘴気が充満している地では強力なアンデッドの大量発生が見られる。光属性の魔力で浄化が可能。



 【魔力】


・体内に取り込んだ魔素マナを元に練られる生命エネルギー。草一本、虫一匹に至るまで全生命が共通して宿している。魔法が使える程の「魔力保有力」「魔力変換力」「魔力放出力」を備えた人間を『魔才持ち』、優れた魔力で独自の進化を遂げた人間以外の生物種全般を『魔物』と呼称する。



 【聖女】


・ウルヴァルゼ帝国を見舞う『邪神の息吹』を鎮める目的で、『招聖の儀』によって異世界の『日出づる国』から召喚された乙女。三百年前に初代『聖女』が『邪神の息吹』を鎮めて以来、その名は救世主と同義。



 【招聖しょうせい


・『邪神の息吹』を鎮める素質を秘めた乙女のみが『聖女』として選ばれ、異世界転移する過程で素質が開花、超越的な魔力を発現する。三百年前の王国時代に行われた史上初の『儀式』で初代『聖女』が、二度目となる今回の『儀式』でカグヤとテルサの二人が召喚された。



 【ウルヴァルゼ帝国】


・西大陸の八割を有する超大国。帝都はエルザンパール。国教はサウル教。かつては王国を称し、隣接するラッセウム帝国の圧迫に苛まれる弱小国だったが、三百年前の『聖戦』によってラッセウム帝国や周辺国を『聖戦』によって次々に侵略、大帝国へ発展した。



 【栄耀教会えいようきょうかい


・太陽神サウルとその教えを奉じる一大教団。三百年前に初代『聖女』を召喚し、当時の『邪神の息吹』を終息させた功績から、皇室にも匹敵する権威と多くの教徒を獲得、今日まで絶大な財力と社会的影響力を保ち続けている。一方で聖職者による汚職や犯罪、過剰な営利活動、それに伴う治安悪化、聖騎士団の横暴な活動、国政への過干渉が大きな社会問題となっており、反感を覚える者は数多い。



 【サウレス=サンジョーレ曙光島しょこうとう


・帝都エルザンパールの東にあるサウレス湾に浮かぶ、栄耀教会の総本山として知られる孤島。全域が教団の直轄領であり、本土との距離は約七百メートル。往来には橋や船を用いる。島内にはサウレリオン大聖堂、礼拝堂、聖職者達の住居となる聖宮殿、教会図書館、聖騎士団本部が建造され、地下には秘密の儀式場や冥獄墓所が築かれている。



 【聖なる一族】


・栄耀教会に仕える聖職者を数多く輩出する、ウルヴァルゼ帝国の名門貴族の通称。中でもズンダルク家、エーゲリッヒ家、ベルサール家が大きな力を持っており、現在の教団の要職もこの三家とその一門が独占している。



 【聖騎士団】


・栄耀教会が保有する直轄軍。教団所属者の中でも、特に信仰心と家格と才覚を認められた者のみが入団できる。聖水武具や光属性の魔法の使い手が充実、対アンデッド戦に特化している為、『邪神の息吹』の時代に於ける主戦力として認知されているが、宗教的権威と軍事力を背景に悪質な活動を繰り返しており、市民からの評判は芳しくない。



 【アンデッド(不死魔物)】


・生命力を喪失し、霊魂と魔力で活動する魔物。死した生物が闇属性の魔素マナや魔力の影響を受ける事で生じる。不死身かつ不老不死となり、魔力も闇属性に特化、身体能力も大きく増強する。共通の弱点として光属性の魔法や聖水、紫外線が挙げられ、脳髄や脊椎の損傷でも活動停止に陥る。



 【冥獄墓所めいごくぼしょ


・サウレス=サンジョーレ曙光島しょこうとうにある、サウレリオン大聖堂の地下に建造された巨大墓所。栄耀教会によって「極悪」「神敵」と認定された重罪人の遺体が保管されている。その数は数千体にも及ぶが、遺体は全て首を切断、かつ聖水で浄められている為、通常はアンデッド化する事は無い。

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