第4話:プーカのトラッシュ。

「え?・・・普通に留学じゃなかったの?」


「潤之助にならもう話してもいいかな・・・私のこと」


「私、コーンウォール半島にあるボスキャッスルってところで人知れず

暮らしてたの・・・他の魔女たちはとっくに村を出て私とおばあちゃんだけが

暮らしてたんだけどね」


「ある日、ブリング・デスとかって名乗る怪しげな男たちが私をスカウト

しにやって来たの・・・」


「もちろん断ったけど・・・しつこい人たちで、それからも何度も訪ねてきて」

「おばあちゃんは怖がるし・・・かと言って暴力を振るわれたわけじゃないから

魔法を使って撃退もできないし・・・」


「このままじゃ、おばあちゃんにも迷惑がかかると思って知り合いにお願いして

ホームステイを考えたの・・・私、小さい頃から日本のアニメが好きだったから」

「それで日本に・・・留学ってことで・・・」


「それで、僕んちへ来たんだ」


「逃げてきたってのが正しいかも・・・トラブルの嫌だったし」

「今のところ、ブリング・デスの怪しい人たちも現れてないけど」

「やって来るのも時間の問題かも・・・」


「分かった・・・ドールのことは僕が守る・・・なにがあっても」


「ありがとう潤之助」


「じゃ〜これから先は充分気をつけなくちゃ」


その話を聞いて以来、僕は昼間も気をPくなっていた。

夜は特に・・・そういう習慣をつけてたからか僕の家の屋根の上の怪しい

影を時々見るようになった。

それは人よりも小さくて、歩くって言うよりピョコピョコ跳ねてるような

歩き方をしていた。


そしてついにそいつは僕の前に堂々と現れた。

僕が部屋を出ようとドアを開けたら・・・そこにめちゃ小ぶりの人?・・・

人じゃない。


「お、おまえ、誰?」


「俺はプーカのトラッシュだ」


「プーカ?・・・トラッシュ?」


「トラッシュってのが俺の名前だ」

「ドールズベリーの・・・彼女の家で小間使いをしてる妖精だよ」


プーカとは妖魔の一種で、コボルトやゴブリンと同じような部類かな?

主にイギリスのコーンウォール半島に生息する。


「君、見た目はちょっとグロいけど悪い妖精じゃなさそうだね」


「そりゃそうだ、ドールズペリーと暮らしていたくらいだからな」


「はあ・・・思い出した・・・この間、屋根の上をうろちょとしてた

小さい人?・・・だよね」


「そのとおり」


「で、そのトラッシュ?が・・・僕に何の用?」


「これから言うことをよ〜く聞け」

「ドールズベリーがなんで、おまえんちにやって来たかもう知ってるな?」


「知ってる・・・ドールに聞いたからな」


「じゃ〜手っ取り早く説明するとだな」

「ここはもうブリング・デスのやつらに見つかってるぞ」


「うそ・・・それが本当ならドールを守らなきゃ」

「それか、どこかに隠れるとか逃げるとか?」


「残念ながらおまえの力じゃ彼女は守れないし、どこへ逃げようと無駄だ」

「できれば、ここでやつらを全員倒すしかない」

「やつらの中にも魔法を使えるやつもいる」

「怖いのはそいつらだけだ・・・魔法使いさえ倒したら人間はただの烏合の

衆だからな」


「倒すって、魔法も武器も使えない僕がドールを守れれるのか?」

「無理だってい言ったろ・・・でもそれは承知の上で戦うんだ」


「おまえにこれを渡しておく」


「なにそれ?」


「光のペンダントだ」

「このペンダントをクビに掛けて持ってるだけで仮にだが魔法がひとつ使える」


「へ〜そうなんだ・・・」


「攻撃系の魔法だが相手に致命傷を与えるほどじゃないが、かなりな打撃を

与えることができる。

「ペンダントを握って「ウィル・オー・ウィスプ」と呪文を唱えろ

手から出た静電気の球体を敵にぶつけると崩壊してダメージを与えることができる」

「気合を入れずにいたら周りを照らす指針にもなってもくれるから、暗くても

大丈夫だからな」


「どういうこと?」


「つまり、ランプの役目を果たしてくれるってことだ」


「分かった、試してみるよ」

「でもドールは?・・・ドールは魔法使えるんだから戦えるんじゃないのか?」


「ドールの魔法は、差し障りのない魔法ばかりだが、ひとつだけ禁じられた

魔法を持ってるんだ」


「禁じられた魔法?って・・・・なに?」


「それは・・・それは死神を呼び出せるんだ」


つづく。





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