時間を越えろ!

「一つだけ、この状況を打開する方法があります…。」

 暫くの沈黙をおいて、ミホが答えました。

「どうするの?

 私達は自壊するし、生命を紡ぎ出す為の手立ては無いのよ?」

「ええ、解ってます。」

 怪訝そうなラビィに対し、ミホは笑みで答えます。


「そのためには…」

 ミホはタツローとラビィの手を取ります。

「貴方達のロボットと私のロボットを合体させ、お互いの炉心エンジンを暴走させるのよ!」

「「へっ?」」

 目が点になるタツロー君とラビィさん。

「私のロボットに埋め込まれたと、貴方達のロボット内で稼働しているを暴走させたうえで、二つのエンジンを融合するの…。」

 力説するミホさんと、何か思い当たるフシがあるらしく、ラビィが不安そうな顔になる。

「そして形成される力場を利用した次元跳躍じげんちょうやくで、私達のだけでも過去世界へ飛ばすのよ!」

「それって…ブラックホー…ムグゥッ!」

 ラビィの口を抑え、タツローに視線を送るミホ。

「それで、ミホと僕は過去の世界に行っても出会えるの?」

「も…勿論よ!」

 タツローが意表を突く…(ラビィにはトンチキに聞こえる)答えを返せば、思わぬ反応に目を見開いてしまうミホさん。

「私が見つけてあげるわ♪」

「了解だ!」

 サムアップをしてみせるミホに答えて、タツローもサムアップをする。

 ラビィは半目になり、渋々了承するのだった。


 ◇ ◇ ◇


「行くわよ!タツロー!」

「おうっ!」

 ラビィの声に合わせロボットを空へ飛び上がらせるタツロー。

 タツロー達のロボットに併せてミホのモンスターも空へ舞い上がる。

「「『ガッタイッ!!』」」

 三人の掛け声に合わせて、誂えたとしか思えないような変形を始める二つの物体。

 シンクロする二つの影が空の中央で一つの物体となる。


 見よ!

 その姿、三つの翼を背負った天使が顕現される!

 白銀に染まる機体は、さながら純白の衣を纏っているようにさえ見える。

 そして、コックピットには三人の姿が見て取れる。


「「主機関暴走オーバードライブッ!」」

 ミホとラビィの息の合った声がコックピットに響き渡ると、白銀の機体は白色の光を放ち始める。

「80…100…120…140…」

 エネルギーの暴走率を読み上げていくラビィ。

「180!

 臨界突破オーバーロードッ!」

 白色の光がへと変わる!


「ミホッ!

 必ず迎えに行くからね!」

「タツローッ!

 私も迎えに行くわ!」

「あんたら、私を忘れるなぁ~っ!」

 言葉の掛け合いが終る頃、白い閃光の中心に出現する…。

 そして、黒い点に向かって収束を始める白い光。


 黒い点は全てを飲み込む。

 ロボットを…

 街を…

 丘陵を含めた一帯を…

 地球を…

 太陽系の惑星群を…

 そして、太陽さえ飲み込んで、太陽系は消滅した。

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