叫べ! 僕らのジャイアント・パンダー!!

サイノメ

序章 コードネーム『G』

 その時、人類は思い知らされた、自分たちが地上の霊長などでは無いことを。

 地球から見れば地表の生き物などノミ程度の存在であることを。


 地上を人類の明りが蹂躙してから100年以上が過ぎた。

 初期には大国同士が争う戦争こそ有ったものの、おおむね穏やかな日々が続いていた。

 しかし、夜空に星がきらめく平和を突き破りが現れた。

 自然の法則を無視した突然変異種の様なヤツ。

 全長50メートルを超えたヤツ。

 その姿は人々の傲慢に怒る神か、大自然の逆襲か。

 ただただ直進しているだけなのに、あらゆる家屋や施設がなぎ倒され、川に入ろうものなら、その体積分あふれた河川の水は護岸を簡単に超える。

 ヤツの直接被害だけでなく、二次被害も甚大なものとなった。


 その威容に恐れた人々は軍を動かし、これに対処しようとした。

 多くの軍人は図体がデカいだけのケダモノ程度に考えていたが、結果軍の大敗に終わった。

 その白と黒の体毛を備えた表皮はいかなる火砲もしのぎ、巨体が振るう手足は容易に人類の兵器をなぎ倒していく。


 人類は後退を続け、やがて大陸東端の先に位置する島国に絶対防衛線を敷くことにした。

 その頃よりヤツはある名前で呼ばれるようになった。

 コードネーム『G』。

 それはgodとして崇めたのか、guiltyの意識なのか。

 その真意は政府上層部だけが知るものであった。


 そして今、Gへの対応を迫られた世界防衛機構より派遣された司令官と参謀がそれぞれのルートにて、この島国の統合司令部へと足を踏み入れたのであった。

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