第19話 ようやく、役者は揃った。
これは学生としての相応しい身なりをするためで、疎かにすれば減点の対象にもなり得る。また成績不振な場合においては、補習を受けることが義務付けられていた。従って、平均点以下は改めて試験を受けなければならない。
その中で最も過酷なのが、再試においての赤点。これを3回繰り返せば、容赦なく留年が確定。同じく、出席日数が足りなくても、このような処置が下される。よって、こうした環境の中で、
すなわち、学年でもトップクラスの頭脳を持っていることの証明にもなる。けれど、
そんな思い出の話を、母親の
恋愛に関しては臆病で不器用、お互いの関係を壊したくなかったに違いない。こうした想いもあってか、
「それは悪かったわね。けど、10点もじゃなくて、10点しかでしょ」
「10点しか? おいおい、どんな屁理屈だよ。普通はな、学年一位と二位の点数差っていったら3点以内だぜ。言ってる意味おかしくないか?」
「やだやだ、ほんと細かい男って嫌よね。順位のことしか頭にないんだから。もっと他のことにも、気持ちを察して欲しいものだわ」
「他のこと? ――っていうか、嫌ならこの手、さっさとどけろよ」
一方の
(ちゅぅ…………母さん、ほんとに母さんなんだね。会いたかった、会いたかったよ、母さん…………)
二人の姿に、積年の想いが蘇る
けれど、今は感傷に浸っている場合ではない。二人の仲を成就させるためにも、
だからこそ、別な形で未来を変えなければ、幸せなどやって来るはずもない。ゆえに、
(ちゅぅ。とりあえず、役者は揃った。といっても、これからどうするか、改めて策を練らねば……)
このように、どう読み解かせるか頭を悩ませていた
「はあ? どけろって、そんな言い方しなくてもいいでしょ。そもそも、私が名前を呼んでも答えない
「俺が悪い?」
こうしたやり取りは、まるで夫婦喧嘩のような光景。といっても、未来を知る
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