第20話 汚染土壌の話

 最近は汚染土壌について厳しく規制するようになってきた。汚染土壌とは、高度成長時代の工場跡地などで土壌に薬品等の汚染物質が含まれているという負の遺産から来ていることが多いが、自然由来という物も多くある。子供が土を触った手で食べ物を食べると健康を害するということなのだが、当たり前の話だが自然由来は昔からあった話である。

 危険性を否定するべきではないかもしれないが、危険度は論議してよい。例えば水道水の基準がある。知られていないが国の基準は結構甘い。例えばトイレの水を流さないで一週間放置すると、便器が茶色くなったりする地域がある。普通に考えれば、同じ水道水を飲もうとは思わないだろう。個人的には多摩地域に住んでおり、東京都がコマーシャルするくらいきれいな水を使用していると思っている。そのまま飲んでもうまい。水道法よりも条例の方がかなり厳しい地域に住んでいるのでこういう結果になっているのだが、水道水は飲めないと思っている人も多いからペットボトル入りの水はあいも変わらず売れ続けている。

 さて、汚染土壌の話に戻ろう。結局厳しい基準を設けると、国内の土壌は汚染されているところが多くなる。それでは、汚染とは何だろうか。例えば発がん性物質という物がある。煙草だって酒だって発がん性物質である。嗜好品ではなく普通に摂取するものでも、発がん性物質は多い。それでは発がん性物質を摂取したらがんになるのかといえば、可能性が増えるかもしれないが必ずなるものでもない。要するに程度は別にして可能性が増えるかどうかというだけなのである。土壌も一緒で、汚染物質を継続的に触ってその手で食べ物に直接触って食べれば危険性は増すだろうけれどもちょっとやそっと触ったからといって病気に直結するものではないのではないかと私は思っている。

 環境基準という環境省が定めたものがある。結構厳しい基準だが実は望ましいとされる数値であり規制値ではなく、将来的に目指したい数値である。だから、守らなくても罰則はない。守らなくてはならない法令の1/10の厳しさだったりするので、まさに理想といってよいだろう。一方実際に使われる法令では守ることができる基準を定めている。理想ではなく現実だ。

 自然由来というのは厄介だ。普通に生活していれば問題にすることは無い。しかし一歩建設関係に関係するとにわかに問題となる。過剰といってもおかしくない基準値が設定され、土壌の処理費が数倍に跳ね上がる。自分の工場から漏洩したなら仕方ないとしても自然由来は納得しにくい。自然由来ならば自然に利用しますよというのが、普通の思考だろう。そういう意味では国は新しく建築土木を作ろうとする人の足かせとなっている気がする。

 さて、確かな裏付けがあるわけではないが国内の皆が正しく汚染土壌を扱っているかはかなり疑問だと思う。どういうデータのとり方をしたのかは不明だが、PCBもかなり不適正処理をされたらしい。正直者のみに莫大な金がかかるという構図だから、さもありなんというところだろうか。第三者から刺される可能性のある名もある企業は順守するけれども、第三者から刺されない零細企業ならわざわざ高額を費やして順守するとは思えない。正直者が損をするという構図は何とかならないものか?そして過剰な規制は止めるか正直者の懐が痛まないようにするか、考えた方がよいと思う。

 書いていてちょっと思ったのだが、汚染土壌もPCBも処分に高額なお金がかかる。ということは、ここから得る消費税も結構高額なのかな?ひょっとして国は税収欲しさにやっている面もあるのかな?そういうよこしまな考えではないことを期待したいが、健康に悪いとされるたばこは税収が高額なので日本では国が規制しないで逆に奨励しているという人もいる。何が正しいのか。ファクトフルネスを身につけて公平な考え方をしたいものである。

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