無敵のJKたちは、'箱'根の温泉テーマパークを目指すようです【KAC20243 参加作品】

あら フォウ かもんべいべ

第1話 箱と言えば?







  あたし、香坂 凪沙(コウサカ ナギサ)は無事、高校三年生に進級してしばらく、4月17日の誕生日を迎えたことにより、ついに車の運転免許を取得できる年齢となった。


 誕生日はいつものようにウィラと小幡から盛大に祝ってもらったし、イナ先生からのプレゼントも相変わらずセンスが良い。


 最高の誕生祝いからの翌日、早速教習所を予約し、最短で取得出来るように日程を組んだ。


 既に単車の免許(普通自動二輪)はあるので、煩わしい学科は免除。


 あとはおとなしく教習車を乗り回していれば、あっという間に卒業し、免許センターで書き換えれば終わり。


 証明写真に写る私を見れば、まるでマグショットそのものであり、どうしてこうも人相が悪くなるんだろうね?


 全く、不思議でしょうがないし、ウィラと小幡に爆笑されたのは言うまでもない。


 ともあれ、これで修学旅行の自由時間を、より自由に過ごせる算段は整った。


 当分先のことだけど、現地のレンタカー屋さんへの予約も済ませたことだし……それまではそうだね、折角車の免許があることだし、早速ウィラをドライブに誘うのもいいかもね?


 車はどうしようか……ああ、地元の友達から借りるか。


 しばらく連絡していなかったし、あいつらちゃんと真面目にやってるのか、ちょっとだけ心配だね。


 携帯端末に手を伸ばして連絡帳を開き、どこか懐かしい地元の奴らの名前を見れば、ちょっとヤンチャしていた頃を思い出す。


 片っ端から掛けてみれば、久々の連絡にも関わらず、すぐに繋がり、あの頃の思い出話で盛り上がったのさ。


 ああ、勿論車を借りることも出来そうだ───。







  ウィラをドライブに誘い、早速二人で予定を立てている楽しいひととき。


 どこに行こうかなんて話をしている流れで、せっかくだし、ちょっと温泉にでも足を伸ばしてみよう……と、ここまではすんなり決まった。


 問題はここからで、連休を利用してゆっくりと温泉旅館に泊まって楽しむか、それとも水着で遊べる温泉テーマパークを楽しむか、二人で熱い議論を交わした結果、遊びたい盛りのあたしとウィラは、夏に向けて買った新しい水着を一足早く、お披露目したいとなったわけだ。


 そんな訳で実に民主的な議論の末、お互いになんら遺憾なく決まった温泉テーマパーク。


 温泉テーマパークと言えば、【’箱’根】の小涌園。


 水着を着たまま、色々な温泉を楽しめる訳で、個人的にはドクターフィッシュが気になるし、温水のウォータースライダーもいいね。


 お土産はそうだね、’箱’根湯本で温泉まんじゅう買ったり、’箱’根寄木細工のキーホルダーも良さそうだ。


 さて、そうと決まれば早速、チケットの確保はウィラに任せ、あたしは金曜日の放課後に地元へ帰り、地元の友達から車を借りて、そのままとんぼ返りをする予定だ。


 日付が変わる前には戻って来れるだろうし、翌朝にウィラを拾って’箱’根を目指すって訳だ。


 ところで、当日のお昼ご飯はどうしよう?……あ、せっかくだからあそこに行くか。


 日本で一番、駅から近い漁港の市場飯なんて最高だろ?


 ’箱’根に入る手前でちょっと寄り道して一息入れたいし、小田原周辺で食べられる海の幸が気になって仕方ない。


 アジは勿論のこと、スミヤキ、オシツケって魚が、小田原で好まれているけど全国的にはマイナーな地魚として有名らしく、マイナーなりの理由はあれど、とってもおいしいらしい。


 ああ、とっても楽しみで早く金曜日の放課後にならないものかな?───。








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