とある北関東地方の怖い話

暗頃

姉の話

姉からときどき奇妙な体験を聞くことがある。


お互いに大学生だったころ、帰宅時間が被りそうだったので間ち合わせて一緒に帰ることにした。

JRの駅からさらにローカル線で2駅、小さな地元の最寄り駅に到着した。3駅しかない路線だが母が学生の頃は蒸気機関車だったらしく、それなりに歴史のある駅だった。


改札を抜けて、駐輪場までいこうとしていたところ、姉が話し出した。

「改札通った時、すごくボロボロで、腕に包帯まいている親子のような2人が横切ったの見えなかった?なんか雰囲気的に今の人じゃなくて、戦時中みたいな恰好に見えたんだけど…」

私はそのような人物にすれ違った感覚はなかった。現実の人だったのかもしれないが、なんだか不気味だった。


祖父の姉(大叔母)からの話だと、私の地元は戦時中は銃工場などもあり、そこを狙った空襲もあったそうだ。大叔母もよく警報を聞いて避難したとのこと。

空襲の被害に見合われた親子の姿が、姉には見えていたのかもしれない。

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