立方体型・マトリョーシカ・密室・バラバラ殺人事件

村田鉄則

1話 決意

「バラバラ殺人事件!?」

 つい数分前に発見された事件の報告を後輩から聞き、署内の喫煙室で、俺は思わず、素っ頓狂な声をあげてしまった。驚きのあまり、煙草を下に落とした。煙が俺の前を通り過ぎる。一番市販のもので安いというだけで買っている不味い煙草の煙で、少し鼻に残るような変なにおいがする。

 俺は、確認のために、もう一度報告を言うように彼に促した。


「先ほども申しました通り、先輩のお友達のミステリー作家・真取まとり洋四郎ようしろうさんが、あのヘンテコな自宅でバラバラ殺人にあったんです。5つの家に真取さんの身体がそれぞれ頭・胸・腕・腰・脚という風にバラバラに入ってたらしいです。第一発見者は彼と一緒に住む奥さんでした。上に頼んで、先輩が現場に行けるよう手配しますか?」

 俺はその後輩の言葉に、私情を仕事に挟むのはどうかと思い、暫し口を噤んだが…結局、そうするよう彼に指示をした。仕事がどうとか関係ない。アイツとは幼稚園からの仲だ。あいつを殺した犯人をとっつかまえてやる!!

 かくして俺とあの事件との闘いが始まった。

 立方体型・マトリョーシカ・密室・バラバラ殺人事件との闘いが。

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