第4話いじめ2



こっちに来る前にアップロードした動画のその後を検索。

偉いことになってるぞ。

ネットでの話題でも凄く炎上してたよ。


「よく耐えた。何があっても、絶対味方だから」


「なんてひどいの。まわりが間違っているわ。見ていて涙しました」


「いじめられたのは、あなたのせいじゃない。どうすればいいか、一緒に考えましょう」


そんな励ましのコメントが書かれてた。

俺は、それを見て涙が止めどもなく泣いた。




動画の内容は、中学最後の出来事だった。



俺は、『いじめ』をしてた3人組を呼び出した。


呼び出した場所は、古くなった空き家だ。


案の定3人は、薄ら笑いをしながらやって来た。


「もう『いじめ』なんか止めてくれ」


悲痛な訴えだ。ここで止めてくれと思った。


「いい度胸だな・・・よくも先公にチクったな」


いきなり殴りかかって来た。

軽く右にかわしたが、もう1人が蹴ってきて腹に命中。


「ゲッ」と腹を抱えるが2人して押し倒される。


1人は、腕を押さえる。

もう1人は、足を押さえた。


残りの奴が、そのまま腹をボコボコに・・・

目立つ顔をさけた殴り方だ。


顔が腫れていたら誰もが『いじめ』と思うからに他ならない。


「絶対に顔を殴るな!スマホを持ってないか調べろ」


ズボンも脱がされる。


「どこにも持ってない」


「いい事を思いついた。タク、こいつのケツの穴に突っ込め」


「嫌だよ」


「俺に逆らうのか・・・俺のパンチの餌食になりたか」


「わかったよ」


俺は抵抗した。


2人して押さえつけられて、どうにも出来ない。


「タク!出したのか」


「急に興奮したら出てしまったよ」


「お前って奴は、笑える」


俺の惨めな姿をあざ笑いやがった。

そして、3人して小便をして「二度と呼ぶな!」と捨てセリフを残して去っていった。



俺がスマホを隠して設置して撮っていたことも知らずに。


それにしてもレイプされるとは、とめどなく涙があふれた。

小便姿は惨めだった。


『いじめ』を止めるなら許す積もりだったのに・・・


レイプの真実を隠すしかなかった。

だから、あの時は恥じて証拠として出せなかった。

しかし、冒険者になると決めたら、そんな思いが吹っ切れた。


だから俺の顔にモザイク処理してネットにアップロード。

いくら吹っ切れても俺の顔は晒せない。


モザイク処理しないでアップロードなんか出来ないよ。





3人の顔を晒しているからネットで身元が、ばれるのも早かった。

3人の通う高校には、連日抗議の電話だ。


そんな彼らに学校生徒は、容赦しない。


「おい!レイプ野郎・・・・・・よく学校に来れたな」


「そうよ、クズ以下よ」


「卑劣な男ね。あんなことを平気でできるなんて信じられない。はやく学校を辞めてよ」


「学校の恥さらし」


反対に『いじめ』の対象になってた。

もう誰も助けてくれない。



校門前で動画を撮りながら非難するユーチューバーの存在は痛い。


「学校側は、犯罪者を通わせることなんか無理だ。温情として自主退学しなさい」


学校は、3人を自主退学させて早い処分にした。

記者のコメントには「学校に通う以前の出来事で遺憾に思ってます」と言い放った。




中学校もヤバイ状況だ。

校長や担任は、連日つるし上げになって自主退職。


それでも世間は、許さない。

校長や担任の家まで報道陣が押し掛けてきて「ピンポン、ピンポン」と鳴らし続ける。

塀からのぞいて「『いじめ』はあったのですか、なかったのですか、それだけ教えてください」


あああ、塀には『教育者の恥』と書かれていた。


近所の評判もがた落ち。

主婦が報道陣を見ながら話し込んでいる。


「嫌だわ、あんな人たちと近所にいるなんて」


「本当に教育者の恥よ」


「息子の相談をした私なんか、息子からバカにされたわ」


「いやねーー」





教育委員会も報道陣の取材攻勢がやばかった。

毎日、職場や家に大勢の取材班が押し掛ける。


毎日、同じ質問。


なので『いじめ』の隠蔽に係わった人は、辞めさせられる運命。

だから退職届けだす。


「君らのお陰で大変だったよ。退職届けを受けよう。しかし、退職金を受けようと思わないで欲しい。退職金を受けると言い張るなら解雇処分だ。それも民事で訴えるからね」


退職金を受取ったら、もっとヒートアップするのは目に見えている。


それでも止まない取材攻勢。

過去の不倫まで暴いて報道してる。

そして、熟年離婚をする羽目に・・・・・・



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