小さな幸せ

『積もらないかな、今年も』

細雪が降って来る度、彼女が白い息を吐きながら、言っていた事を思い出す。

どうしてんのかねぇ、あいつは。

一人郷愁に浸っていると、頬に温かい感触がした。

「ごめんね〜、コンビニ混んでてさ」

 彼女が……妻が昔と変わらない笑顔で、ホットココアを俺の頬に当てた。

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