第6話 夜の闇

夏も終わり夜は冷んやり肌寒くなってきた頃。

夜突然携帯にメッセージが来た。


今から会えない?

知らない番号…


誰?

君のファンだよ。

は?誰?

とにかく今から会えない?家まで行く。


えっ…家?家知ってんの?

怖すぎる。


無理です。


じゃあ明日学校の外で待つわ。


それも無理です。


いつなら会える?


ー…めんどくさい。

いいよ。どこ行けばいいの?


家の近くまで行くよ。


全てがどうでもよかった。

あまり自分を大事にしていなかったしやりたいこともよく分からない。

極端な話早く大人になって自由になりたいし、家にもあんまりいたくない。


夜だったけど家を出た。

少し歩くと男の人が立ってた。

知らない人。

街灯の下でタバコを吸ってスーツを着てた。

スーツといっても会社に来ていくような物ではなくホストが着るスーツ。


「よかった!来てくれた。」

「誰?」

「涼だよ。よろしく!」


チャラい。嫌いなタイプ。

来なきゃ良かった。


「何か用事?」

「彼氏今いる?俺とかどう?」

「いないけど無理。帰るね」

「待って!じゃあぎゅーだけしよ?」

「やだよ。私のことどこで知ったの?」


最悪だった。

少しだけ付き合って別れたあの彼が勝手に紹介したらしい。

なんなのあいつ。

別に好きではなかったからあれだけど普通勝手に紹介するかな…。

早く別れて本当良かった。


涼はホストで今は彼女はいなくてとりあえず誰かと付き合いたかったらしい。

私の一個上だけど高校は辞めていて地元では割と有名らしい。

その後話しながらなんとなくキスしようとしてきたけど顔の前で腕をクロスさせてガードした。

「じゃあ友達になってよ」

「気が向いたらね」

「また連絡するわ!」

そう言って帰って行った。


特に何もなくて安心した。

家のすぐ近くだったけど無事帰れてホッとする。

夜遊び歩いてる友達になんとなく連絡した。


ねぇ。久しぶり!涼って人から連絡きた。

知ってるー?


いきなり?知ってるよ!


さっきあったんだけどいきなり遊ぼーとか付き合わない?とか言ってきて無理って言って帰ってきたよ。


えー。あいつはよくないよ。てか夜出れるの?

遊ぼうよ〜


いいよ。遊ぼー!


昼と夜の友達は別。

違う世界があって、夜は夜のネットワークが存在する。

昼にはない刺激が夜にはある。

この時代はまだネットが弱い。

遊んだり刺激を求めるにはみんな外に出て遊ぶ。


平凡で不満はないけど少し退屈な毎日。

これから始まる夜遊びにワクワクしてた。



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