第3話母親の優しさを感じる。彼女

「ねぇ、ねぇ、今日のお弁当の中身は何?」姫埼夢歌が、今日も

 俺の弁当の中身に興味をしめしてきた。うちの母のズボラ弁当

 の中身を興味をもつなんて。この世界を探しても、おそらくは

 姫埼夢歌しかいないだろう。俺は、姫埼に弁当の中身をみせる。

 「今日のは、そんなに変なのじゃないぞ」「いいから。いいからさぁ」

 姫埼はルンルン気分で、俺の弁当を見る。「へぇーこういうパターンも

 あるんだねぇ」姫埼が、今日の俺の弁当の中身の感想を述べた。

 今日の弁当の中身は、レトルトカレーだった。弁当箱の蓋に

 レトルトカレーの袋がのせられ。食べる時に、自分でご飯に

 かける感じだった。俺は、それを見た瞬間に顔を真っ赤に染まった。

 いや、さすがにめんどくさすぎるだろ。せめて、カレーをかけた状態に

 してもらいたい。そう思っていると、姫埼が笑いだした。かなり大声で

 笑いだしたので。周りのクラスメイトが、姫埼の方に向いた。

 普段は無表情な彼女が、急に笑いだしたから。クラス中がどよめきだした。

 「今の笑い声って、姫埼さんだよな?」「あぁ、だと思うけど・・・・・・」

 「姫埼さんって、あんな風に笑うんだ。ちょっと意外かも」などと

 クラス中が、姫埼さんに注目していた。それに気づいた。姫埼さんは

 急に笑うのやめて。いつもの無表情な顔に戻る。それを見た。

 クラスメイトは、姫埼さんから視線を外し。何事もなかったみたいに

 いつもの状態に戻った。俺は、この瞬間だけ。自分だけ。時間が止まったのかと

 錯覚するぐらい。いつものお昼休みの光景に戻っていた。いつも通りの

 お昼休みの光景に戻った事を確認した。姫埼さんは、再び。俺の方に

 顔を向け。小声で、俺に囁くように話す。「大野くんの弁当の中身があまりにも

 優しかったから。つい大声で笑らちゃった」と姫埼さんが言う。

 俺の弁当の中身が優しいから笑った?姫埼さんは、何を言っているんだと思い。

 俺は姫埼さんに、言葉の意味を聞く。「それって、どう言う意味?」そう聞く。

 俺に、姫埼さんは笑みを浮かべって。優しい眼差しで、俺の質問に答えた。

 「だってさぁ。カレーを弁当に入れると弁当箱から。カレーが染みちゃうでしょ。

  だからあえてのレトルトカレーなんだよ。食べる時に自分でカレーをかければ。

  弁当箱から、カレーが染みなくて済むでしょう」「はぁーそうですか?」

  それは、母がめんどくさいだけで。袋ごと弁当にのせただけなのに。

  母のズボラを優しさと思っている。姫埼さんの笑みを見ながら。俺は

  レトルトカレー弁当を食べる。「おいしい?」と姫埼さんが聞くので。

  俺は「うん」と短い返事をした。このレトルトカレー中辛って書いてあるけど。

  俺には甘く感じるのは、姫埼さんを見ているから。感じているかもしれない。

  だから、今日の弁当はいつもより。美味しく感じていた。

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る