魔王と勇者の娘

ヒロロ

第1話

魔王領地のとある地下にある1室にて、今まさに新たなる命が密かに誕生しようとしていた。


【???】「ふふ、もうすぐ貴方との子供が産まれますわ」


【???】「あぁ、ようやくだ。だが、もしこの事がバレればお前、そして産まれてくる子供は間違いなく魔王様や、その配下に殺される。例え俺が何を訴えようとも」


【???】「そうね‥。貴方は私と出会わなければ良かったと思う?」


【???】「何を馬鹿な事を言ってる!!俺はお前に会えたからこそ人の温かみを感じる事が出来、人間の事が理解が出来るようになった。それに、人間も魔族もお互いが理解でき争うことのない世界が出来上がると俺はお前と合うことでそう思うようになった」


と話していると、地下の扉が開き1人のメイドの人物がこちらに歩みより


【メイド】「主様、お話の所申し訳ありません。魔王様の使いの者が来られ、魔王様がお話があるから直ちに魔王城に来るようにとの事です」


主様と呼ばれた男は


【主様】「‥魔王様が?分かった直ちに向かうことにする。それまでの間、妻の事を頼むぞ。それと万が一の事があれば力の解放も許可する」


メイドに言い、そして妻を見て


【主様】「すまない‥少し行ってくる」


【妻】「分かりました。貴方のお帰りをお待ちしてます」


と言い主様と呼ばれている者の足元に魔法陣が出現し、青々と光を上げると同時に姿が薄くなりその場から姿を消したのであった。


【メイド】「奥様、主様が帰って来られるまでゆっくりお休みなさいませ。もういつ子供が産まれて来てもおかしくありませんから!!」


【妻】「そうね‥。なら少し休ませてもらうわ!!何かあれば念話で伝えるわね」


と言う言葉を聞きメイドは頷きその場を離れて行くのであった。そして姿が見えなくなったの確認し


【妻】「貴方、何だか嫌な予感がするわ。死なないでよ!この子を見るまでは死なないで」


と呟きゆっくりと目を閉じて休むのであった。


魔王城に到着した男は


【主様】(何やら空気がピリピリとしているな‥何があった)


と思いながら、魔王がいるであろう部屋に向かい部屋の前に到着する。そして部屋から


【魔王】「ようやく来たか。中にはやく入れカルタロス」


と言う声が聞こえ部屋の中に入ると、魔王と呼ばれる人物が椅子に座っておりその近くに5人の人物達が佇んでいた。カルタロスはゆっくりと進み魔王近くに移動し膝をつき


【主様】「魔王様、何用で私を呼んだのでしょうか?」


【魔王】「カルタロス、お主はワシに何か隠し事をしておらんか?」


【主様】「隠し事とは何でしょうか?」


と言うと、佇んでいた中の片目に眼帯をつけていた男が


【眼帯男】「隠しても無駄や、無駄!コイツから全てを聞いたんや」


と言い指を鳴らすと突如と何もない所から男の死体が地面に転がる。


【主様】「ハクビお前、俺の配下を殺す必要があったのか?」


と殺気が部屋に充満する。


ハクビはその殺気をものともせずにカルタロスを見て


【ハクビ】「殺す必要はあるだろ?お前は憎き相手の勇者パーティーの勇者を死んだと偽りその女との子供まで作ったそうじゃないか?そんな裏切り者の配下には死をだ!」


と言い放つ。


それを聞いた残りの4人は知らなかったのかびっくりした様子をみせ、魔王は手で顔を隠す。


【主様】「魔王様‥‥隠し事をしていたのは事実。俺の命はどうなってもいい。だから産まれてくる子供と妻だけはどうか殺さないでほしい」


【魔王】「カルタロス‥‥。お主の頼みでもすまぬがそれは出来ぬが、2人が見つからなければ仕方ないが」


【カルタロス】「‥魔王様。」



【ハクビ】「見つからなければね‥。けど残念ほら」


と言い部屋の入口を指すと、翼が片方なくなりボロボロな状態で拘束されているメイドと、1人の女性を拘束している型の良い男が姿をみせ


【型の良い男】「コイツらだろ?例の勇者パーティーの勇者は?あっけ無かったぜ」


【カルタロス】

(‥アイツは誰だ?俺の配下の最強である、アルセスがあんな状態だと?それにルルアンのお腹が)


【ルルアン】(カルタロス‥、子供は産まれたわ。そして辛うじてアルセスのおかげで、子供を魔法で辺境の地に逃したわ。子供が殺されるよりましでしょう。それに死ぬなら貴方の側で死にたい)


【カルタロス】(馬鹿野郎‥お前も子供と一緒に逃げておけよ!!)


そんな念話をしている2人。


【ハクビ】「魔王様、これで殺してもよろしいですね?カルタロスも同様に殺しましょう」


【魔王】(カルタロス、お前の助けがなければ我々魔王軍はここまで成長は出来なかった。お前がワシを支えてくれたおかげだ。お前と妻を一瞬でワシが殺してくれる。)


【カルタロス】(魔王様‥、ハクビに殺されるよりはマシか。ルルアン‥お前とあえて楽しかった。)


【ルルアン】(カルタロス‥私も貴方とあえて良かったわ)


と念話し、次の瞬間に魔王の右手から2つの赤いレーザーがカルタロスとルルアンの心臓を貫き、2人は痛みを感じる前に即死し


【魔王】「ハクビよワシが殺した。文句はないな?それとそこのアルセスはここに置いていけ。それにその様子だとアルセスはもう死にかけておるしそれ以外のカルタロスの配下はそこの男が皆殺しにしたんだろ」


【ハクビ】「了解です魔王様。おい、その女を離せ」


と言い放つとアルセスを地面に置き、その男はハクビの後を追いその部屋から出て行くのであった。


そして、残りの4人もその場から離れて行くがその中の1人の女性がその場に残りカルタロスの死体と勇者ルルアンの死体を抱え、魔王様の元に持って行き


【女性】「カルタロス様、何故このような事を‥。私は貴方様が拾ってくれ大切に育ててくれたから幹部までのぼり詰めれた。貴方様がいたからやってこれた‥私はこれからどうしたらいいのです。」


と涙をながす女。それに魔王が肩に手をやり


【魔王】「ならば、逃がしたであろうカルタロスの子供を育てるのだ。それに正しければ近いうちにワシはハクビに殺されるであろうからの」

(近いと言わなければこの子は残る‥ワシは残された2日で出来ることはしておかんとな)



【女】「えっ?魔王様それはどいう事です?」


【魔王】「何、ワシの要らぬ能力の予知夢がそう見せたのだ。見えたと言うことは各自に起こる。そうすればワシとカルタロスが作り上げたこの魔界そのものが変わるだろ」



【女】「‥‥」


【魔王】「カルタロスの子供を見つけだせ。これが最後のワシの命令だ。それとお主は怪しまれぬよう死んだ事にする。カルタロスが死んだ事で精神が壊れワシを襲ったとして」


魔王を見て


【女】「‥その命確かに受け取りました。必ず見つけ出します。魔王様、ありがとうございました」


と言い足元に魔法陣を展開しその場から姿を消したのだった。


そして残った魔王はカルタロスとルルアンを見て


【魔王】「‥カルタロスお前は何故、ワシにこの事を話さなかった?ワシが信じられなかったのか?それとも話すまでもなかったのか?」


するとかすれる様な声で


【アルセス】「違います魔王様‥カルタロス様は話そうとされていました。けれど幹部の1人であったカルタロス様は魔王様に迷惑をかけたくなかったのです。話をし他の者にバレれば魔王様までも危険な事になると思い話さなかったのです」


【魔王】「そうか‥。自分の方が危険なのにワシの心配までするとは本当にカルタロスお主は馬鹿よの‥」


【アルセス】「魔王様お二人の子供は魔王領の端の端、名なき地に転移させました。それとハクビ達は子供を転移させた事は知らないはずです。それと私の使い魔が共にいますのでしばらくは大丈夫だと」


【魔王】「その様な所に転移させたのか?まぁそこならば大丈夫であろう。ヨハネスに魔法でそこに行くよう知らせよう」


足元に魔法陣を展開した


【アルセス】「‥ヨハネス様の死を確実にするために死体が必要でしょう。死ぬ前に死体偽‥造魔‥法で死‥体をお作りしま‥す‥」


と言い放ちアルセスは力尽き魔法陣からヨハネスの死体が出現したのであった。


【魔王】「カルタロス、お前は言い部下に恵まれているな。アルセス、お前には感謝だ。カルタロス、ルルアン、アルセスゆっくりと休め。ワシも近いうちにそちらにいくからその時はワシを殴るなりしてくれ」


と言い3人の死体を魔法で作った棺にいれ空間にしまいその場から姿をけしたのであった。









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