とても無口な私の神様

吹井賢(ふくいけん)

F県R町、琴坂山の伝承



 あるところに 一人の カミサマが いました


 カミサマは 顔も 身体も 普通の人の ようでした


 たった一つを 除いては



 カミサマの 周囲の人々は


 カミサマを 恐れ 敬い 遠ざけました


 友人 兄弟 両親さえも



 カミサマは 一人でした



 だから 何も知らない旅人が 山で挨拶をすると


 カミサマは 大いに喜び 願いを叶えた と言います


 きっと カミサマは 



 寂しかったのでしょう



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