第3話 食と土産にありつき、いよいよ国鉄色に!

 日帰り温泉に入りましたが、異様なほど疲れが取れました。

 旅先、しかも瀬戸内とは違う気候がよりスパイスになったものと思われます。


 さて、風呂に入ったはいいが、飯を食わねば。

 今朝はそれこそ、一杯のかけそばしか食べていないからね。

 あとは、珈琲をすすりながらスーパーやくもで取材。

 孤独のグルメじゃないけど、

腹が、減った。


 というわけで、日帰り温泉のフロントのおねえさんに尋ねて、近くの飲食店の一をざっとお聞きしました。この時点で13時30分少し前。

 そういわれてみれば、近くに寿司屋があった!

 というわけで、駅方面に向かってしばし歩くと、ちょっと道をそれて少し坂道を登ったところに、若竹寿司という寿司屋さんがありました。

 ここで、一杯飲みながら寿司をいただきました。

 突き出しもあるので、なお重畳。

 地元の岡山で食べる寿司とはまた雰囲気が違って、格別。

 昼の後の休憩前にお世話になりました。


 あとは、駅に向かっていけばいいのだが、ちょっと、土産物を見ておきたいがどこかないかと思っていたら、坂道の下りかけのところにホテルが。

 玉泉と書いて、ぎょくせん。

 ちょうど昼時で土産物店はお休みでしたが、無理を言うのも何かと思ったら、フロントのおねえさんが店を開けてくれました。それで、ピリ辛のかまぼこやらカルカン饅頭のようなお菓子屋やらを買わせていただきました。

 意外なものとしては、シャインマスカットのグミ。これ、ひと箱220円。試しに一つ買ってみました。あとで食レポしましたが、実にうまかった。

 のどぐろの練り物も、買っておけばよかったにゃ~。

 ともあれ、これでこのあたりにはどんな土産物があるかが確認できました。ただ、日帰りの取材にしては荷物が増えてかなわんところ。しゃあないけどさ。


 土産物も確認してある程度確保できたため、あとは再び来た道を歩いて玉造温泉駅へ。と言いたいところですが、少しルートを変えてみました。車道横のガードをくぐって宍道湖方面に出ます。左手出雲市方面には、Aコープ。中学生の頃から旅先でこの手の店を見ると、何とも言えない旅情のようなものを感じてしまうのですが、それはある程度以上の街中に住んでいるからこそかな、と。

 さらに湖のほうに向かうと、巨大な信楽狸のある食堂に。これが、勾玉食堂。結構有名らしいです。この沿線にはあまり飲食店もないため、流行っているとのこと。酒を飲みに来ている人もいるそうな。実は是非来たいと思っていたのですが、結局来れぬままになっておりましてね。今度絶対行ってやろうと思っております。

 大体の土地勘が得られたところで、あとは玉造温泉駅に向って歩いて参ります。確かにここは温泉街ですが、駅前はいたって閑静な住宅街。四戸舞のアパートもありますが、たいていは一軒家ですね。なぜか、松江市の職員の方がお仕事で何やら調査されていました。


 国鉄やくもが来るまであと1時間のところで、駅に着いてしまいました。

 そういえば、酒がないなぁ。

 ということで、予め確認していた地図を思い出しつつ、道路沿いのファミリーマートまで歩いて移動。岡山あたりとはかなり品ぞろえが違います。寿司のおかげで腹はある程度以上膨れているので、つまみはなしで、季節限定のサクラビールのロング缶2本と350ミリ缶1本を買って、再び駅に向かいました。

 駅に着いたのはいいが、まだ時間があります。


 こうなればとにかくホームに出て、列車を見ることに。

 187系のスーパーおきや気動車・電車の普通列車を見て、しばらく時間を過ごしました。駅前の駐車場には先ほどのホテルの他、温泉街のホテルや旅館の送迎用マイクロバスが何台か停まっています。

 ここでちょっと、出雲市方面に移動して、あの歩道橋を眺めてみました。

 ああ、あそこからなら、行きかう列車を見られるなぁ・・・。

 とはいえ、今回はその歩道橋を渡っていません。

 ま、どうせ列車を見るなら、ホームでもいいや。


 やがて、岡山方面から赤のゆったりやくもがやってきました。

 ここで、出雲市方面からの岡山行きやくもを待ちます。そしてそのやくも号こそが国鉄色の6両編成なのです。

 ゆったりの撮影もできたので、4号車の表示がされた場所に戻って、列車を待ちます。ここからの乗車客はそれほどいない模様。これなら確実に座れると確信。何とか特等席も取れるだろう。その予見は的中しました。


 国鉄色やくもの入線を撮影し、4号車の自由席へ。

 なんとここは、かつてのグリーン車サロ381の改造車。元グリーン車だけあって、車掌室もあります。

 車内に入ってみると、客数はわずか。

 予定通り、大山側の特等席を確保できました。さあこれで、岡山に戻ることに。


 列車が出発すると同時に、先ほどファミリーマートで買っておいたサクラビールのロング缶を出し、既に出している特等席の前の背面テーブル2つの飲み物置場にはめ込みます。シート横の小型テーブルも出しており、ここには手帳を置いております。これにて、ビジネスルーム兼居酒屋カウンター完成。

 車掌さん、すぐにやってきて検札。

 宍道湖を横目に見つつ、程なく松江に到着。何人か乗って吐きましたが、一杯にはなりません。この列車、6両中2両が自由席ということもありますが、午後の上りの客はそれほど多くはないというのもあるからかもしれません。


 基本的に、以前から「やくも」は午前の上り、午後の下り列車の客が多い。気動車時代のルポを書かれた先輩はそのことを指摘されていましたが、それは本来この列車が岡山の人ではなく山陰の人と山陰に用事のある関西圏以東の人のための列車であるからというのが、その大きな理由です。それは基本的に気動車時代から一貫しています。

 もっとも下りについては、気動車時代よりスピードアップがなされているため、午前と言っても朝9時や10時台の客は多いようです。というのも、東京近辺こそ飛行機もあるため厳しいでしょうが、関西圏からであれば新幹線で岡山まで1時間とかからず、名古屋でも2時間を割るくらいで来れますから、そのくらいの時間帯がどうしても混むようになるというもの。あと、観光客は12時か13時頃から、山陰方面に帰る客は16時以降という感じで分散されるかな。


 松江で幾分の客を乗せた国鉄やくもは、さらに2駅先の揖屋で反対列車の行き違いをしたのち、安来に停車。ここではそう客の条項はありません。その次の米子から多数の乗客が見込まれます。

 果たして今日はどのくらい、と思っていましたが、米子でも自由席がいっぱいになるほどの客数はありませんでした。この車両だけ見れば、3割程度かな。


 米子を出ると、この列車は新見まで客扱しません。

 ただし、反対列車との行き違いはいくつかありますので、そこで運転停車することになります。

 米子を出て、市民球場の最寄り駅の東山公園、そして山陰本線との分岐駅でもある伯耆大山を通過。ここで山陰本線と別れ、単線の伯備線へと入ってまいります。進行方向左手には、いよいよ本格的に伯耆富士大山が望めます。

 車内放送も入りました。

 かくして再び大山を拝みつつ、列車は伯備線を岡山に向けて快走。今日はなぜかあまり雪を抱いていませんが、富士山のようにも見えるこの山が「伯耆富士」と言われるのもよくわかる気がします。

 しかしいかんせん、ここは単線区間。ほどなく、伯耆溝口に臨時停車。ホームにはまだ残雪が残っています。立春まであと2日。もう、大雪はないでしょう。

 伯耆溝口では漫画の絵が描かれた普通列車と行き違い。幸い、反対側の座席には客がいませんので、移動して撮影。

 すでに、ビールはロング缶2本目に突入していました。

 行き違いを済ませ、列車はさらに峠へと向かいます。上り列車は、日野川の流れの逆をひたすら、上り勾配に向けて進んでまいります。

                             (続く)

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