第2話

「へぇー、まじで大変なんだね」


「・・・はい、私以外まだ下は中学生なのでバイトも私しか出来なくて」


春さんがバイトばっかりして居るのは有名で、実は隠れて内職もして居る程だ。


「・・・あのだから、本当に今でもありがとうございます!!これからは下の双子が高校生になるので、なんとかなりそうです」


「ありがとうね。お兄ちゃん」「ありがとうございます。」✖︎3

「ありがとうございます。先輩」「あざっす!!」「あ・・・ありがとうございます」「感謝です!」「(ペコっ)」✖︎2


おー、すごい。11人の女の子姉妹に一斉に感謝されるとは


と言うか、よくこの人数を1ヶ月4万で持ったよな・・・相当バイトしたんだろうなぁ、


家はテレビもないし、現時点で携帯のような者も一つも確認出来ない。

あと正直みんなの服も洗濯し切れてない感じがする。


「・・・」


頑張ったんだな。ギリギリで・・・


_____


それからは天国のような時間だった女の子達に囲まれて、一歳年下の双子に感謝され続けて、もう金を貸し続けた意味を感じた

________

 



「あの、優さん・・・」


「どうしたの?春さん??」


「いつかお金を返しますね」


「・・・」


俺はここで返さなくて良いとは言わない。


「そうだな、いつか・・・家族で10年後くらいに2倍で返してよ」


「はい!!良いですよ」


「・・・よし、ならまだまだ俺は春さんに貸してあげないと」


「え、もう大丈夫ですよ。流石にこれ以上は」


「うん、俺もお小遣いはないし1万だけは減らそうと思う」


「・・・えっ、」


「とりあえずさぁ、これからはお互いに1ヶ月1万ずつで一緒に遊ぼうよ」


「・・・っ!!」


春さんの表情から嬉しそうにして居るのが分かる。でも直ぐに暗くなって


「春さんも高校生だし、コレくらいは良いだろう。」


「ありがとうございます。でも、あの優さん・・・私優さんがお小遣い無いなんて知らなかったです」


「・・・言ってなかったし」


「なんで、言ってくれないんですか!教えてくれないんですか」


「別に言わなくて良いと思ってたし」


「・・・っよく無いですよ。」


春さんは少し怒った顔をする。


「・・・私だって借りる立場として思うことはあったんです。申し訳ないと思っていたし、内心は・・・ずるいって」


ずるい、確かにそう思うだろう。同じ高校生なのに同じ高校生で貸す側と借りる側と言う環境による差が出来て居るのだ。


「・・・だから、私は内心優さんのこと悪口を言ってしまった。いつもだらなしないし、基本はヘラヘラしててインキャだし、普通に考えてお金なんて貸しませんよ、疑いますよ・・・馬鹿じゃないかと思ってましたよ」


いやそこまで思ってたのかよ。まぁ良いけど、そりゃそうだし


「・・・なのに、あなたはずっと貸してくれてました。馬鹿ですよ。将来援交でもするんですか」


出来れば・・・いやなんでも無いです。


「・・・私は、本当は内心ずっとこんなことを思ってたんです。なのにあなたは、あなたは、あなたは」


「あなたは??」


「あなたは・・・あなたは・・・本当に馬鹿です!!」


うん、否定できないね。


そして、春さんは泣いて顔を隠して居るから、とりあえず背中を刺さり頭を撫でた。


泣き止むまで、落ち着くまで


________


「落ち着いた??」


「はい、ごめんなさい。・・・あのこんなこと言ってますけど、まだ私に貸してくれるんですか?」


「うん、むしろちゃんと気にしてたんだなと思ったし余計に良いと思ったよ」


「・・・ありがとうございます」


「それに、俺はお金なくても携帯とかサブスクとかゲームとか遊びまくれるし」


「・・・良いなぁ」


「今度貸してあげるよ」


「良いんですか!!」


「当然!!まぁだからこれからはお互いに月1万でデートしよう」


「デ、で、で、デートですか?」


「デート、まぁって言うのは半分冗談で、」


「は半分」


「他の人はお金たくさん使うじゃん、コーヒー一杯とかで沢山お金使ったりとか」


「・・・そ、そうですね」


「だから俺たちはそう言うのを辞めて、二人で節約して沢山あそぼうよ」


「はい!!」

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