シエルはじめての友達

「うわぁぁぁ、、おとうさん、、いなくなっちゃやだーー」


どうしようこれ、、

俺がこの家を出て行くと知ったシエルが急に泣き始めてしまった。この状況は予想で来ていた。


今の現状を作り出したライアスさんは他の任務があると言って逃げた。

責任取れよ、あのクソジジイ、、


しかし困ったな、こうなる事は予想は出来ていたが実際この状況になってしまったら、

どう解決するか悩む、

別に二度と会えなくなる訳ではないが

それを説明した所でシエルは納得してくれるだろうか?、、

どうしよう、、、


「シエル、、お母さんがいるだろ、、、」

「そうよ、ほら今日はシエルが好きな絵本寝るまでずっと読んであげるから、、」

「いやだ、おとうさんもいっしょがいい、」

「「困ったな」」


2人してお手上げ状態だ、泣いてるシエルを引きはがそうとしても強く服を掴まれてる為に離すこともができない


どうするかマハイルさんと二人で相談する事に


「もぅ、イグここに住めばいいじゃないの?アナタもシエルと別れたくないでしょ」

「そうですけど、俺こう見えて騎士団では結構優秀なんで仕事多いんですよ。」

「じゃ、ここから仕事に通いなさいよ、、」

「そんな事できませんよ、本部と距離もあります、それに逆恨みした盗賊達に襲われる可能性もあるんですよ。俺がいたら対処できますが留守の時に攻められたら終わりですよ、、」

「じゃあ、どうするのこの状況アンタが娘にするとか冗談言ったから、この子本気にしたんじゃないの?」

「それを言うならマハイルさんだって、俺の事をお父さんって呼んだのも原因じゃないんですか?」

「・・・・今はその話は置いといて、シエルの説得をしましょう。」

「そうですね、・・・・じゃあ、毎日は無理ですが時間がある時に週に1回ぐらいここに遊びに来るってのはどうですか?」

「そうね、後、今日の今日でお別れもシエルが悲しむわ、だから今日は泊っていきなさい」

「そうですね、さすがに今日出て行くのはシエルが可愛そうですし、俺もシエルともう少し居たいですからね、、」


結果がまとまった。あとはシエルを説得するだけだが、、

これが一番の難題なんだがな。

頑張ってみるか。


「シエル、別に二度と会えない訳じゃないからな」

「ぐすっ、、ほんとう?」

「ほんとう、ほんとう、毎週必ずシエルに会いに来ると約束する、だからママと一緒にお留守番出来るか?」

「、、うん、出来る」

「よし、いい子だ、おみあげに絵本買ってきてあげるからな、それに今日は少し夜更かしをして遊ぼうか、、」

「ほんと?、やった~!」


ようやくシエルから涙が消え、笑顔が戻る、

なんとか説得に成功したようだ。

やっぱり俺はシエルの笑顔が一番すきだ、このままこの子にはずっと笑顔で楽しい暮らしを謳歌してもらいたいものだ。



ようやくこちらの問題が解決した瞬間

また新たな問題が起きた。

一難去ってまた一難とはよく言ったものだな。


俺が先程までいた洞窟の方向から一人の兵士が飛び出してくる

制圧作戦に参加していた兵士の一人だ。


「イグナルトさん、少しこちらを手伝ってもらっていいですか?」


少し慌てた様子で俺に対して応援要請をする、、

何かあったのだろうか?

めんどくさい、折角シエルと遊ぼうと思っていたのに、、

あと敬語も辞めて貰いたい。


「はぁ、手伝いますが、敬語はやめて下さい、俺はまだ新米兵ですよ」

「いえ、イグナルトさんは新米兵ですが実績で言ったらベテランですので」


騎士団の入団には一つだけ条件がある、

それが年齢制限である

19歳以上でさらに2年間の見習い研修が必要となる。

最速で騎士団になるには17歳で研修生になり2年間の研修を経た後に騎士団に入る方法しかない


しかし俺は騎士団で育ったので12歳から騎士団の任務に参加してきた。

その為に歴だけで言うと約7年間の実績があった。

なので他の若手兵から敬語を使われる事が良くある。

俺は偉そうにするのは嫌いなので、出来れば敬語を辞めて貰いたいが一向にやめてもらえない。


なぜか、皆俺に少しビビってる雰囲気だった。


「それで要件は?」

「はい、移送班の人手が足りずにこちらから数名援兵を出したので調査班の人手が足りなくなってしまいました。

そのため調査を少し手伝ってもらえませんか?」


そういう事か、、

うちは基本的に万年人手が不足しているので、今回の様な件は良くある事で慣れている。


なので応援依頼を受諾する事にした。

俺も少し今回の任務で気になる点が少しあるのでついでに調べる事にしよう。


「わかりました、早く終わらせましょう、」


兵を先に現場に戻る様に伝える

そして俺も現場に行く為に指笛を空に響き渡るように強く吹く、すると上空から俺の使い魔のフェニックスが現れこちらに降りて来た、

フェニックスに乗って移動するのが最も速く移動できる手段なので背中に乗せて貰おうと呼んだ

 

フェニックスが俺の近くによるとシエルが怖がるように俺に強くしがみついた。

そういえば、シエルに俺の使い魔を見せるのは初めてだったな。


見た目は結構大きく威圧感があるので子供にとっては少し怖いかもしれないな。


「シエル、、、怖いか?」

「うん、鳥さんこわい、、」


やはり、少し怯えてるようだ、

その様子を見ていたフェニックスがシエルに近づく、

俺は抱っこしてるシエルを地面に降ろす、俺も膝を着き目線を低くする、


「シエル、大丈夫だ、、コイツは俺の使い魔だから危害を加えない、、」

「、、本当に?」

「あぁ、俺を信じて」


シエルは近づいてくるフェニックスに怯えているが俺が大丈夫、大丈夫と言い聞かせる。

だがやはり怖いようで俺の腕に強くしがみつく、その様子を見ていたマハイルさんも少し不安そうだったので俺が大丈夫と顔で合図を送った


フェニックスがシエルの目の前に立ち片翼を広げシエルの方へ向ける、

その瞬間『ひぃ!』と悲鳴をあげるシエルは恐怖で目を閉じてしまった。

少し場に緊張が走る


そんな目を閉じ怯えている少女の頬をフェニックスは自分の羽を頬を優しく、くすぐる様に触った


「、、、ふ、、ふふ、、、ぷっ、あはははは、くすぐったいよ」


シエルの笑い声が緊張した空気を和らげる。

もう大丈夫そうだなと安心した。


俺の使い魔ソルズガルダは基本的に攻撃性が高く凶暴で人にはあまり懐かない魔獣の為、ほんの少し心配はしていたが、

仮にもコイツは俺の使い魔だ、俺の命令無く人を傷つける事はしないと信じていた、


「マハイルさんもう大丈夫そうですね。」

「えぇ、少しヒヤッとしたは」


マハイルさんも少し不安そうにこちらを見ていたので大丈夫だと報告する。

その間もシエルはクスクスとくすぐったそうに笑っていた。

実際にくすぐられているから無理もないか、、、


なんかフェニックスも楽しそうにじゃれ合っているので無理に止める事をしないでマハイルさんと二人で見守っていた。


「あははは、もう、やめてとりさん、、、」


【やめて】の願いを聞き入れる様にフェニックスは静かにくすぐる羽を離す。

そしてシエルはフェニックスの事をゆっくり見つめる少し笑ったおかげかシエルから恐怖の感情が消え好奇心の様な無邪気な感情を向ける。

それを感じ取ったのかフェニックスは頭上にある冠羽を嬉しそうに揺らし嬉しそうに「キュ」と鳴いた。


その瞬間シエルの口からボソッと漏れるように【可愛い】の一言が漏れた


「、、、かわいい」


その瞬間シエルはフェニックスに抱き着く、フェニックスも満更でない様子で両翼で包み込むように抱きしめていた。


「えへへ、もふもふで、きもちいい」

「良かったな、仲良くなれて」


シエルが『うん』と元気よく返事をした。


「おとうさん、このこの、おなまえは?」

「あぁ、名前はフェニックスっていうんだ。」

「ふぇ、ふぇに、、、もうむずかしいからフェニちゃんでいいや。」


フェニックスが嬉しそうに鳴く、気に入った様子だ。

フェニ、、確かに言いやすいな、俺もそう呼ぶ事にしよう。


「さてと、シエル仲良くなった所悪いが俺フェニとちょっと仕事に行ってくるよ」

「えぇ、せっかく、なかよくなったのに」


シエルが拗ね始める、仲良くなったばかりで少し申し訳ない気はしたが何とか説得してフェニを返してもらった。


俺はフェニの背中に乗り現場に向かう準備をする、フェニに乗れば3分ほどで目的地に着くだろう。


「じゃあ、マハイルさん少し出かけてきます。」

「分かったわ、早く帰って来なさいよ、おいしいご飯を作って待ってるから、、」

「はい、夕食までには必ず帰ってきます。」

「おとうさん、シエルにもごほんよんでね。」

「うん、わかったよ、急いで終わらせて帰ってくる。」

「「いってらっしゃい!」」


2人のいってらっしゃの返事の答えるとフェニに乗り目的地に向かうのだった。


そして

この会話が俺とマハイルさんが最後にした会話になるのだった、、、


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