マハイルさん

(イグナルト視点)


「いやぁ、イグ見ない間に大きくなったわね。」

「マハイルさんもお元気そうで、、」


あの後、マハイルさんに言われるがまま家にあげてもらった、道に迷ってる事を伝えると今晩泊めてもらえる事になった。

ありがたい限りだ、、

 

マハイルさんは騎士団ミカエルの看護兵として働いていた事があり、マハイルさんが入団してきた当初は【女神が現れた】と噂になり一時期すごい騒ぎになった、あの時は総合団長も頭を抱えていたなぁ、そんなマハイルさんも4年前に結婚すると言い騎士団を去った、結婚相手の男性は盗賊に襲われた民間人を看護している時に知り合ったみたいで

偶然通りかかって看護を手伝ってくれた人のようで俺は見たことが無かった


結婚して騎士団を去る時は入団の時より騒ぎがすごく発狂する者もいた、その時総合団長は再び頭を抱えていた、、


俺は出されたコーヒーに口を付け始める、マハイルさんは俺が甘いのが苦手な事を知ってるのでブラックを準備してくれた。


「それにしてもイグ、どうしてこの家の場所が分かったの?」

「あぁ、それはですね、、」


この家は森の中に隠れる様にあった為、普通に森を進めばまず見つかる事がない、その為この場所を見つけた経緯を気にしている様子だった。


俺はここまでの経緯を話した。

森で迷っていると謎の少女に出会い、その少女に付いて来たらこの家に辿り着いた事を。

するとマハイルさんの口から予想通りすぎる回答が返って来た。


「あぁ、それ私の娘ね、、」

「やっぱり、、」


実は少女を見た瞬間に既視感を覚えていた、『どこかで見た事ある顔だな』とそれが今になってやっと分かる、マハイルさんに雰囲気が似ていたんだと特に目が一緒だった。


「マハイルさんに似て可愛いお子さんですね。」

「そうでしょ、うちの娘は世界で一番かわいいからね、もぅ本当に天使。」

「はは、、親バカですね、この調子じゃもなかなかの親バカじゃないですか?」

「、、、、、旦那ねぇ」


【旦那】この単語を出した瞬間にマハイルさんの顔から笑顔が消え空気が重たいものへと変わる、俺は触れてはいけない話題に触れてしまったのだと理解した。


「旦那は事故で亡くなったの娘が生まれる前にね、、」


やってしまった、道理で家の中にある【椅子、コップ、食器】の数が二人分しかない訳だ少し考えたら想像できた事だったの、、


「すいません、、」

「あっ、うんうん、こちらこそ気を使わせてごめんなさい、今は気にして無いから大丈夫よ、」

「そうですか、、」

「そうよ、当時は凄く落ち込んだけど今は娘もいるし悲しくないと言うと嘘になるけど、楽しいわよ、」

「それは良かったです」

「ただねぇ、、シエルが旦那の事をのが心残りね、、」


空気がさらに重たいものに変わる

シエル?娘さんの事だろうか?

マハイルさんは『知れなかった』と言っていた、それは娘に自分が愛した父親の存在を知って欲しかったと言う意味だろう。

たしかに幼い子供にとって両親の存在は大きい、

片方欠けるだけでも子供にとっては大きい不安になる、、

それはオレ自身が良く分かっていた。


2人でお互いの話を語り合っていると部屋のドアが開き『ペチッペチッ』と一人の少女が足音を立てながら部屋に入って来た、その少女はさっき森で会った子供つまりマハイルさんの娘さんだった。


「ママぁ、、おかえりぃ」

「シエル♥、ただいまぁぁ♥」


胃もたれしそうな、クッソ甘い声だった、

『えっ、マハイルさんこんな声出るの』っと思わず心の中でツッコミを入れた、マハイルさんは娘さんを抱きあげ自分の膝の上に乗せると娘さんが『えへへ、』と笑っていた。


「あらシエル、靴また脱いだの?」

「クツ、、きらい、、」


マハイルさんが娘さんが裸足だった事に気づいた。そういえば森であった時も裸足だった気がする、、良く見てないから明確か定までは無いが。

シエルは履物が嫌いな子のようで足の裏が少し土埃で汚れてる様子だった、マハイルさんが娘さんの汚れた足を近くにあったタオルで拭いてあげていた。

その時の顔はさっきまで話していた顔とは違い母親の顔になっていた。


「もぅ、裸足だとケガするから靴を履きなさいと言ってるのに、、、」

「ケガこわくない、、、」

「そう、、じゃあ靴がないとどうなるか教えてあげるわ、、」

「、、へっ」

「ほら、こしょこしょ、、」


マハイルさんが急に娘さんの足の裏をくすぐり始めた、靴や靴下を履いていないので無防備な状態だった。娘さんはくすぐりが弱点なのか口を大きく開けて笑っていた


「あははは、くしゅぐったいひひひ」

「ほら、靴がないとくすぐり攻撃から足守れないわよ、、こしょこしょ」

「うわははは、くつはくからぁ、、、あははやめてぇぇ」

「はい、よろしい、」


くすぐり攻撃が終わり娘さんは息を切らしながらお母さんの膝の上に座っていた、なぜかマハイルは満足げな顔をしていた


そして俺は何を見せられているんだろう?


「あ、イグほったらかしにしてごめんなさい、、」

「いえ、親子仲いいですね、、」

「「えへへ、、」」


2人が同時に笑う、本当に仲がいいなこの親子、


「それより挨拶しないとね、シエル挨拶してあげて」

「はい、しえる=ばいんしゅ、2さいです」

「ば、ばいんしゅ?」

「ヴァインスね」


シエル=ヴァインスそれが彼女の名前のようだ、、

おれはこの時【ヴァインス】の名前に聞き覚えがあったがとりあえず今は考えずに自分もあいさつする。


「初めまして、シエルちゃん、俺はイグナルト=ソル=ルドベキア」

「いそぎんちゃくとべっきー、、、おんなのこみたい」


どんな耳してるんだよ、

って2歳児に言っても仕方ないかこれだから子供は苦手だ、、


実の事を言うと俺は子供が苦手だった。

別に嫌いと言うわけではなくむしろ好きな方だ、しかし子供は繊細な生き物だから俺がかかわってその子の事を傷つけるのが怖くてあまり近づけずにいる、、、

ホントはもっと仲良くなりたいのだがどうすればいいのか分からない、、

そのことを察したのかマハイルさんが不敵な笑みを浮かべ想像もしていない事を言い始めた。


「シエル、お兄ちゃんのお名前難しいからって呼んであげて」


この人信じられない事を言い始めたぞ、、、

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