第3話:地獄の天使

この星にきて大体 1 週間がたっただろうか。正直言おう。なんの成果も得れていない。たった1週間だと思うかもしれない。しかし1週間探索を続けてきて、ほかの受刑者どころか人のいた痕跡すら何一つ見つからない。しかも毎日毎日あのまずい飯を食べて、ろくに風呂にも入れず無駄に疲れだけがたまっていく。この状況が毎日続

いている。正直そんなすぐに人と接触することはできないと考えていたし、現状も想定内だ。

でもこれが思ったよりつらい。生活に困ってわいるけでもない。飯だってまずいが十分な量は確保できているし、水分の心配もない。洞穴の生活にだってもう慣れた。でも生活が安定して、心にも余裕があるからこそ今後に対する不安であったり孤独感、人の痕跡が見つからないことで一週間しかたってないのに謎の焦燥感すら沸いてくる。精神がおかしくなってしまいそうだ。ここまでつらいとは思いもしなかった。

ここ最近は遠くに見える山脈の方をとりあえずの旅の目標とし、探索を進めている。そして今は昨日見つけた洞穴で今日の旅の準備をするはずなのだが……俺は床に寝転がったまま動けないでいた。

特段体調が悪いというわけではない。でも精神は限界かもしれない。何もやる気が起きない。最近は疲れているはずなのに寝つきも悪かった。1週間前、この星に降り立った時、俺はまだ希望を持っていた。一人とは言ってもベニ坊が俺にはいるし、俺は数年間もほぼ人とかかわらず過ごしてきた。だから 2、3 年くらいだったら誰とも出会えなくても平気だとさえ思っていたのに……なぜだ?

俺は不登校になってからというもの自室に引きこもってパソコンばかりいじっていた。もちろん他人としゃべることもなければ接することすらなかった。あるとすれば、ことあるごとに自室にきて話しかけてくる母親と、友達がいたのかは知らないが友達とは遊ばず毎日のように俺とゲームをしようと言ってきた妹に適当に暴言を吐くくらいだ。その程度で他人と接したとは言えないだろう。引きこもっていた時は寂しいとは微塵も感じなかったのに何で今になって孤独がこんなにつらいんだよ……

「ユーギリ、コノホラアナマズイ。ハヤクニゲタホウガイイ。」

ベニ坊の言葉すらろくに受け取ることが出来ない。もうほっといてくれよ……

何回も何回もベニ坊がしつこく話しかけてくる。もう動きたくない。どこにも行きたくない。そもそもほかの受刑者を探すといったが本当にいるのだろうか?ここに送られるほどの罪を犯す人だってそう多くはないだろうし、もうとっくに俺以外の受刑者は死んで骨になっているかもしれない。じゃあ俺が旅をする意味っていったい何なんだ?いるはずのない人物を探し求めているのだったらこれまでの苦労もこれからの旅も無駄になるだろう。もう……いいか……どうせこのまま旅をつづけたってほかの人を見つけることはできないだろうし。もうどうなってもいいや……

「ドォーン!!!」

突然心臓が飛び出そうになるくらいの衝撃が洞穴の中に響き渡った。あまりの音に俺は飛び起きてしまう。そして振り返り、壁の方を見てみるとなんとそこには壁に突き刺さっているベニ坊の姿があった。多分壁にたたきつけられたのだろう。そのせいかあたりには砂煙が舞っていて視界がとても悪い。ベニ坊に何があったのかを問うが応答はない。まさか…壊れたのか……どうなっているんだ…?

しかしそんな疑問も砂煙がはけ、視界が回復すると一瞬のうちに消滅した。

毛深い体表にサーベルタイガーのような鋭い歯、この世のどの生物も畏怖してしまいそうな恐ろしい顔を持った四足歩行の獣、体長は5mといったところか。そう、目の前にいるのはこの星の原生生物だろう。この瞬間ベニ坊の警告がフラッシュバックした。

ー出会ったら終わりー

この言葉の意味がようやっとわかった気がする。あの鋭い目つき……この世であの目つきを恐れない人なんているのだろうか?その獣は一歩一歩俺の方に迫ってくる。あのベニ坊を壁にたたきつけたんだ。もちろん俺が素手でやり合って勝てる相手ではないだろう。かといってベニ坊のいない今、頼れるものは枝一本すらない。後ろは行き止まりだ。

後ろを振り向いた瞬間、足がすくんで遂には腰を抜かしてしまった。それを好機と見たのか獣は俺にとびかかってくる。終わった。もう回避することもできない。俺は迫ってくる獣を前にして死を覚悟した。

「ラビー!原獣を倒して!」

意識が遠のいていく……とてつもない衝撃と共に原生生物が俺の視界から消えたように見えた。

……走馬灯か……?、わからない。でもどんどんと耳が遠くなっていく。もう俺は死ぬのか…?短い人生だった。悔いしか残ってないがもう精神的には限界だったしな。いっそ潔く死ねてよかったと思うべきなのかもしれない。なぜか痛みも全く感じないし。視界もどんどんと暗転していく。

……でも死ぬのは少し怖いかもしれないな……



……ん……?まだ意識がある?それとも天国、いや地獄か。わからない。俺はそれを確認するために恐る恐る目を開けた。視界がぼやぼやするがこれは死後の世界に来たからか?俺はふと右の方に視線を向ける。そこにはプリズニアには似合わないような華奢な少女がたたずんでいた。年齢は俺と同じといった感じだろうか。顔立ちはぼやけてて見えないがいわゆる清楚系と言った雰囲気のように感じる。身長は座ってて詳しくはわからないが座高から見るに俺と同じで 155 ㎝くらいだろう。髪型もショートではっきり言うと俺好みの女だ。こんなかわいい女の子を生で見るのは久しぶりだ。学校に通ってた時以来見たことがなかったからな。うん。多分ここは天国だろう。だってこんな子が地獄にいるはずがないからな。もちろんプリズニアにも。まあなぜ俺みたいなやつが天国に行けたのかは謎だがな。

「…大丈夫……?」

俺がぼーっと彼女の顔を眺めていると彼女は口を開いた。声も見た目通り柔らかく、透き通った声だ。ここ最近自分の情けないガキボとベニ坊の合成音声しか聞いていなかった俺にはこれ以上にない療養だ。俺は調子に乗ってしゃべりかけてみた。

「ここは…天国ですか…?」

俺はそうかすれた声で尋ねた。すると彼女は不思議そうな顔をして

「…何を……言っているの……?君、この星にいるっていうことは漂流刑でこの星に来たんでしょ…?」

心底不思議そうな声で彼女は言った。

ん?なんで天国の住人からそんな言葉が返ってくるんだ?さらに彼女の傍らを見るとベニ坊と瓜二つのロボットがこちらを向いている。どういうことだ?もしかして現実……?

俺はあまりの衝撃で飛び起きてしまった。彼女は少し驚いた表情でそれを見ていた。

目をぱっちり覚めた状態で今一度見てみると現実とは思えないくらい凛々しい見た目をしている。俺が遠めからおどおどと彼女と目を合わせないように彼女を観察していると俺と同じように宇宙服のようなものを着ている。というか多分俺の宇宙服と同じものだな。ん?同じスーツを着ているということはこの子も俺と同じ受刑者なのか?あと彼女の頭の上には緑色のスライムのような生き物が鎮座していた。彼女はたまにその物体に話しかけてその生物も何かしらの反応をしているのでその生物は彼女になついているのだろう。少なくとも敵ではなさそうだ。すっと壁に目を向けてみるとさっきまで俺を喰おうとしていた獣が横たわっていた。多分死んだのだろう。俺が気を失う前の記憶から察するに多分彼女がこの獣を退治したのだろう。彼女のパーソナルロボットであろうベニ坊似のロボットが手伝ったんだとしてもこんな華奢な女の子がやることではないと思った。というかパーソナルロボットって絶対この形なのか?

それにしても女の子と話す機会がこれまでほとんどなかったとはいえ、一言も口に出すことが出来ず、その場で固まってしまうとは情けない。するとそれを見かねて彼女が話しかけてきた。

「大丈夫……?だいぶ混乱しているようだけど……?」

そりゃ目の前に急に美少女が現れたら誰だって混乱するよ!と心の中で突っ込みを入れる。

「大丈夫。怖がらないで。私は君と同じだから。……君のパーソナルロボット……」

と彼女はベニ坊の方に目線を向けた。そういえばベニ坊のことを完全に忘れていた。

目線をそらしてみるとベニ坊は地面に張り付いていた。

「ベニ坊」とナマエを呼ぶとベニ坊はスリープ状態から回復したのか再び宙に浮き俺に近寄ってきた。

「よかった…って、お前大丈夫か!?」

ベニ坊の姿をよく見てみると表面に多数に傷が入っているのがわかる。さっき跳ね飛ばされたときにできた傷だろう。

「一応この子の中を見させてもらって…やっぱり跳ね飛ばされたこともあって損傷している箇所もいくらかあったけど、この程度だったら修理すれば全然治ると思うから心配しなくていいからね!」

「そうか…よかった……!」

と思わず心の声を漏らしてしまった。

「アタリマエダ。アンナコトデコワレレバ、パーソナルロボットノコケンニカカワル。」

と満を持してベニ坊が言った。いつも思うんだが一言多いんだよな、いちいち。まあでもいつも通りのベニ坊で安心した。

「この子、ベニ坊っていうの?」

少しベニ坊とじゃれ合っていると彼女が心底不思議そうな顔でそう尋ねてきた。

「へ?アッ、はい……。」

とひょろひょろノ返事を返す。しかもその返事を彼女が優しい顔をしながら聞いているのも中々いたたまれない気持ちになる。

「あ、そういえば自己紹介をするのを忘れていたね。私はテトラ。私も君と同じような理由でこの星に降ろされた人のうちの一人だよ。こっちは私のパーソナルロボットのラビーよ。で多分さっきから気になっていたと思うけど私の頭の上に乗っているのはこの星の原獣のベコンよ。訳あって私によくなついているんだけど基本的には人に害を与えることはないので安心して。君の名前は…?」

「へ?あ……俺……?えッ、あ……カルダ…シェフ…です……」

と俺はテトラから目線を逸らしながらそう答えた。頼むから見つめてこないでくれよ…!するとテトラはまた不思議そうな顔で

「それ……下の名前?苗字だよね…?下の名前も教えてくれないかな……?」

し、下の名前だと……?女性から下の名前を求められたのは初めてだ。苗字だけでも答えるのに精一杯だった俺が下の名前まで……?とりあえず情報を整理する時間が欲しい……。そう一人であたふたしていると……

「ナニキョドッテンダ?ジブンノナマエデモワスレタノカ?オマエノナマエハユーギリダロ?」

と冷静な口調でベニ坊が指摘する。

「ユーギリ……いい名前だね…!」

ぐぬぬ……女子の前で下の名前を言えず固まった挙句、ベニ坊に先に名前を言われてしまうなんて……男として不甲斐なさすぎるだろう……。

そう思い顔を赤らめているとテトラが少し真剣な表情をして話しかけてきた。

「ユーギリはこれからどうしようかとか考えてる……?」

ゆ、ユーギリ……!いきなり下の名前呼び…!心臓がドキッとした。ユーギリ、落ち着け!平静を保つんだ…!

「一応この星に降りてきた者は一度本部に連れて行かなければならないという決まりなんだけど…大丈夫かな…?」

ん?本部?どういうことだ?話についていけん。困惑した顔をしていたのだろう、俺が話を理解できていないことを察したのかテトラは慌てて捕捉した。

「あっ、この星には一応受刑者同士で集まったコミュニティがあってこの星にいるほとんどの人間はこのコミュニティに所属しているの。それで新しい受刑者を見つけた場合ここからだいたい 500kmくらい進んだところにあるコミュニティの本部に連れて行かないといけないという決まりがあるの。」

「コミュニティって……この星には俺たち以外にも人間がたくさんいるのか!?」

思わず心の声が漏れてしまった。でもそりゃそうだろ。これまで 1 週間一人でそのコミュニティを探し続けて諦めかけていたんだ。相手から見つけてもらう形にはなってしまったが自分の目標を達成することが出来たんだ。こんなに嬉しいことはないだろう。驚いたような顔でテトラはうなずくと

「うん…。私も最近は本部に行っていないから正確な数はわからないけどだいたい 1000 人くらいいるかな。」

「1000人も……」

1000 人……星流しが導入されてから 50 年とちょっとしか経っていないとは言え何百兆にも及ぶ世界人口だ。このくらいの人数は別に妥当か。しかし 500kmか……気の遠くなりそうな距離だな。本来ならベニ坊が電動ボード代わりになったはずだったんだが、あいにくベニ坊は損傷中で長時間動かすことはできないだろう。というか今の状況でベニ坊の上に乗っていいのか?とすら思ってしまう。これではその本部までどれくらいかかるか…考えるだけでも気が遠くなる。

「確かに今のベニ坊君を使うのは少し厳しいかもね…でも本部以外にもいくつか集落があるから心配しなくて大丈夫だよ。」

と俺の引きつった顔を何かを察したのかテトラはそう諭した。そうなのか……それだったらまだ安心できるな。

「ねぇ…実は新しい受刑者を初めて見つけた人が基本的には責任をもって本部まで連れて行かないといけないんだけど…集落には私以外にも本部にユーギリを連れて行ってくれる人はたくさんいる。だからほかの人が良いっていうんだったら全然いいんだけど…。ま、まあここから 20km くらいしたところに私がお世話になっている集落があるからとりあえずはその集落に来ない?そこでこの子の整備だってできし…!……どうする……?」

どうするって……それって要は私と一緒に旅をしないって誘われているってことだよな…?マジで…あまりのどんでん返しに言葉を失ってしまうだろ…!?こんな同世代の女の子と一緒に…!?ハーレムアニメでももう少しマシな展開なのに…。本当に大丈夫か…?弄ばれているんじゃないのか…?とでもだからってほかに頼れる人はいない。このまま一人で荒野を徘徊したって意味ないんだし。あと……これ以上一人は嫌……だしな……。

というかそんな近くに集落があるのか…!じゃあ少なくともその集落までは連れて行ってもらうべきだな。そこでベニ坊の修理もできるみたいだし。そう思った俺は意を決してテトラにこう言った。

「……いきます……。」

テトラはそれを聞くとニコッと微笑んで

「うん!わかった!これからよろしくね!ユーギリ!」

と言い、テトラはおもむろに右手を上げた。えっ、もももしかして……握手!?握手を要求されてるのか!?おいおい、さっき会ったばっかりだぞ!?スキンシップが強すぎるだろ!?でも何だろうか……無視できる雰囲気ではない。

ど、どうすればいい!?がっちりつかむべきなのか?それとも添えるだけの方がいいのか?わからない。女子と握手どころか女子の手に触るなんて小学校低学年の時の遠足以来だぞ!?どんな顔をすればいい?そんなことを考えながら俺は震えながら恐る恐る握手をした。何だろうか……年相応な手ではあるんだが……そんな見た目とは裏腹に年不相応とても柔らかく、温かく、そして包容力のあるこの感触は…どこか懐かしい感じがする……いや、気のせいか。


こうして俺はこの星にきて初めての知り合いが出来た。



彼女に出会って丸 1 日がたった。いくら陰キャでコミュ障とはいえ丸1日二人きりだったのでもうだいぶ慣れた。とは言ってもお互い会話のキャッチボールが出来ずに会話がすぐ途切れてしまうのだがな。まあ人付きあいの面では両方受け身の性格っぽいしな。まあこの1日でテトラにはいろいろなことを教えてもらった。まず年は近いと思っていたがまさか同い年だったとは思わなかった。にしてもこの包容力のある感じ…とても同い年とは思えないな……いや、もしかしたら俺が知らないだけであれが普通なのかもしれないがな。それとこの星の住人は互いに犯した罪を語るのはタブーとしているらしい。まあ多分共同生活をしていく上でその情報は障害でしかないのだろう。そりゃそうだ。俺だって誰にも自分の犯した罪を語るつもりはない。詳細がどうであれ引かれるのは確実だからな。

でも逆に親密な間柄になった人や恋愛関係になった人とは自分の罪をカミングアウトをし合うという文化もあるらしい。嘘だろ?と思ったがこう特殊な環境だからこういう文化が独自に育まれるのは別におかしいことではないだろう。まあプロポーズの言葉が「君が何をしてここに来たのかおしえてくれないか?」と言ってプロポーズしたカップルもいたらしい。うん、ちょっと時代についていけないかもしれない……

普通にプロポーズしろよ!?何ちょっとオシャンティな表現を使ってるんだよ!?

まあこれは置いといて次はこの星の自然についてだ。まず俺が襲われたあのイノシシみたいな獣のことだ。あの生物はフェロセス・セイバーという中々かっこいい名前の肉食獣で、この星にいる肉食生物の中で結構大型な部類に入るらしい。基本的には単体で行動することが多いらしくこの星では最もポピュラーな肉食獣でもあるらしい。あれがポピュラー…先が思いやられるな…

で何やらこの星の動物はどれも小型化する傾向にあるらしい。そしてこの星の人たちはこの星の生物を原獣と呼称しているらしい。この星の人たちはこう洒落た表現が好きなのだろうか…?セイバーより大きな動物はテトラもほぼ見たことがないらしい。いや、あれよりでかい動物がいたらたまらないがな!

そして逆にこの星の植物は割と大型化する傾向があるらしい。というかこの星の植物自体光合成をしていないらしい。

なぜだろうか?基本的に植物は光合成するし、銀河中に版図を広げた今の人類の常識でも植物は基本光合成をする者だというのが一般認識だ。テトラに詳しく聞いてみたがここの植物のほとんどは地中から養分を取り入れているらしい。だがそれ以上はまだ解明されておらずテトラでもわからないらしい。そんなこんなでテトラと接するのはだいぶ慣れたのだが……。

もう一つの謎の生物、ベコンのスキンシップが激しすぎる。体調は 0.5mくらいでまるでスライムのように変幻自在に形を変えることが出来るみたいだ。というか完全にスライムだな、色も緑色だし。タコのような軟体動物のようなものだと思ってくれればいい。そんな奴がさっきからずっと体にまとわりついてくる。さっきまでテトラの頭の上にいたんだがな……テトラがいうのは

「ユーギリになついているんだと思うよ!」

とほほえましそうな顔でそう返されたがこちらとしてはたまったものではない。人間ではではないのでテトラのスキンシップに比べたら全然冷静でいられるが、それにしてもこれはスキンシップにもほどがあると思う。好かれるのはありがたいが流石にうざい。そろそろ引きはがしてもいいだろうか?

まあそれはそうとして風を切りながらベニ坊で大地を疾走するのはとても気持ちいいものだ。スピードはオーバーヒートを考慮して自転車くらいのスピードしか出していないがそれでもやはり気分がいいな。

そうこうしているとだいぶ丘の頂上の方にいつの間にか着いていたようだ。丘には高い植物一本も生えていないのでめっちゃ見晴らしがいい。

しばらくあたりを見渡していると正面奥に何やら煙のようなものが複数たっているのが見えた。よく見てみると大きさはそんなにだが民家のようなものも見える。周りの植物に擬態しているのでわかりにくいが多分そうだ。さらに目を凝らしてみてみると何やら柵であったり小屋のような明らかに人工物であろうものが確認できる。

もしかしてここは……

「ここの眺め、最高でしょ。……で、奥に見えるのがさっき話した集落よ。」

とテトラは俺の思考を遮るように言った。やっと……遂にここが……遂についたのか...


俺は初めて見る光景に思わず言葉を奪われてしまった。

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