第2話 物件概要

 直樹なおきがネットで初めてこの物件の概要を見た時、『お祓いをするかどうかはご自身でお決めください』という、いわくありげな文言に目が留まった。ヤバい物件なのかと調べていくうちに、都市伝説サイトで先の情報へとたどり着いたのだ。


 正直、霊や呪いといった類のものは信じていないが、そういう話題はそれほど嫌いではなかった。

 直樹は一通り目を通した後、再度物件概要に目を通した。

 おはらいをするかどうかはご自身で――。


 ということは、今時点ではしていないということだろうか。それとも、一度や二度では足りないのか。


 直樹はその怪しげな山荘がどうにも気になり、所有者と連絡を取り、嘘偽りのない正しい情報を提供してもらったのだった。


 バス通り、とは言っても朝と晩にしかバスは来ないのだが、そこから細い私道に入り、曲がりくねった坂道を三百メートルほど上っていくと、山荘がある。

 私道はさらに上へと続いていくが途中で行き止まりになる。他に家はない。


 所有者はかれこれ一年近く立ち寄っていないため、建物が今、どのような状態かは分からない。が、一年前に撮影した写真ならある、ということでそれを見せてもらったのだ。


 肝心のお祓いついて尋ねると、こう返ってきた。

『お祓いはしていません。それを決めるのは、次の所有者です』


 謎めいた言葉だ。

 だが、その理由を聞いて直樹は納得した。

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