ピスケスとジェミニのプレイヤー#3

「ハァ!ハァ!ハァ!!」


「……」


仄暗い反転世界リバーサルワールドの中をガス欠になるまで走り続け、やがて歪んだ建物の中へと隠れる。


息を整えていると、背中を預けていた壁が恐ろしく鋭い杖によって貫通する。


幸い体には当たらなかった為、すぐさま壁から離れ、また全速力で駆け出す。


すると後方から大きな建物を次々と切り裂き、破壊しながら迫ってくる黒にオーラに覆われたおぞましき者。


それはまさしくあの時の乱入者と瓜二つだった。


顔であろう箇所から瞳が赤黒く光り始め、剣のように鋭い杖を持ち、投げ槍のように空を貫き始め――


「ガハァッ!!?」


彼の身体ごと地面に沈める。


辺りに広がる鉄のような臭いに血の池……ゆっくりとした足取りで、やがて血の池へと踏みは入り、心臓に刺さった杖を乱暴に引き抜き、痛みに悶えるラミィの両腕と両足を不思議な力で押さえつける。


「――ッ!!?」


底の見えないその邪悪な瞳はまさしく悪魔。


やがて悪魔は杖を振り上げ――





「ハァ!!ハァ……ハァ」


「大丈夫かマスター?」


どうやら今の出来事は全て夢だったらしく、心配そうにレオーが上から見つめてくる。


上から……?


「え?えぇぇぇ!!?」


レオーの太股の上に頭をのせられていたことに驚く。


「眠ってしまっていたようでな、それより魘されていたようだが……大丈夫か?」


「あっあぁ(と言うかこの柔らかい感触でどうでもよくなったよ!!)」


顔が紅潮しながら裏返った声でそう答えると、慌てながら頭を上げる。


恥ずかしながらレオーから目線をそらした時だった。





ドドドドドドドド――ッ!!


まるで隕石が落下してきたかのような衝撃音が、体全体に振動する。


何事かと外を眺めると、空から2体のピスケティーナと空を舞う男が、煙が吹き荒れる落下付近まで移動していた。


「空の旅はいかがだったかな?」


彼が誰かに向けてそう尋ねると、衝撃が発生したね箇所から、瓦礫を次々と投げ、中から鬼龍と鬼龍を守るようにしてタウラティカが姿を現す。


「アイツらはさっきの!」


「ハァ……ゴブ――グァッ!!」


しかし両者とも既に瀕死に近い状態、体に幾つも風穴が空いているというのに、何故立つことが出来るのか不思議に思うぐらいだ。


「そんな満身創痍な状態で何が出来るのかな?次の一撃で君は無事に還れるワケだが、言い残すことは無いかね?」


「ハァ……テメェみてぇな坊っちゃんに、言い残すことなんざねぇよ」


鬼龍は残りHP100の状態で、もはや立っているのがやっとで、意識すらもう持ちそうになかった。


しかしカンバーはそんな彼に情けをかけるワケもなく、ディスクからカードを引き――


「死になさい」


必殺アクション『ピスケストーム』

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